十月に入り暑い日もありますが、朝夕めっきり涼しくなりました。北海道ではそろそろ紅葉の便りも聞こえてきました。さて、本日の友達の輪にはHEARTY美容室の新井 篤さんからご紹介いただいた関 和弘さんに登場いただきます。関さんは幸手市上吉羽で農家料理「なごみ」のオーナーシェフです。
農家料理 なごみ
オーナーシェフ 関 和弘さん
本誌取材 木 康夫
【木】こんにちは。今日はランチタイムが終わったばかりというお忙しいところにお邪魔してしまい申し訳ございません。よろしくお願いいたします。
【関(敬称略)】新井さんからお電話を頂いて、この企画にご紹介したいというので驚きました。どうぞよろしくお願いいたします。新井さんは当店のお客様です。食材にもとても関心がある常連さんです。
【木】関さんはどうしてこの農家料理を始められたのですか?
体を壊して転職
【関】実家は工務店ですが、家業に就くことはせずに、石油会社に就職して触媒などの研究開発をしているエンジニアでした。会社では環境に適したガソリンの有害物質を取り除く触媒の研究をしていました.。20代の後半に持病のため手術をし、入院生活の中で食事が人を喜ばせることを知り、元気になったら食の道で生きていこうと決意をしていました。ただ、飲食店に勤めるにも全く違ったジャンルの仕事でしたので、夜間の料理学校に通いフレンチレストランに就職したのです。しかし、体の調子が完全ではなくて病気が再発してしまい、フレンチレストランも辞めることになってしまいました。でも、その後慶應病院で再手術をし、その経過が良かったので体調も回復し、今度は目黒のイタリアンレストランに勤務したのです。三年間勉強しました。
【木】180度違う職業ですね。それでどうされたのですか?
【関】ある時、石油会社の研究所の先輩が会社を辞めて実家の熊本に帰って農家になるというのです。しばらくして、その先輩から有機栽培の野菜と玄米が送られてきました。早速、いただくととっても美味しいのです。しかも玄米を食べ続けたら体の調子も更に良くなってきたのです。こんなにも食べるもので違うものなのかと感じたとともに、食の大切さというものを改めて実感した瞬間でした。その後、現在高田馬場にある「ライフリー」という自然食のレストランで、出会った先輩にお借りしたいろいろな自然食に関する本を見ていたら、船越康弘さんという方の食に対する考え方に出会ったのです。船越さんは「おいしく、楽しく、ありがたく」をモットーに岡山の山奥で民宿を経営しており、そこで自然食の料理を出しているのです。そこにはたくさんの人たちが従業員として無償でいいから働かせて欲しいと応募してくるほどの人気で、私もなんとしても会いたくなり、一ヶ月間研修させてもらうことが出来たのです。船越さんは「すべて感謝が一番大切」と話され「食材に感謝していただきましょう」と食材へのこだわりを教えてくれました。
【木】貴重な体験ですね。
地元で農家料理
【関】そうですね。この一ヶ月は自分にとってとても大切な基礎になっています。研修後、時間があったので先輩の熊本の農家に立ち寄らせていただいたり、福岡にある自然養鶏場と農家レストランなども訪ね歩きました。徐々にですが自分でも自然の食材を活かしたレストランを開きたいという思いが大きくなっていきました。そして、地元の幸手でお店を開こうと考えたのですが、家族を含めて大反対を受けました。ご覧のとおりの田舎に、レストランなどを開いてお客様が来るはずもないし、こだわりの農家料理など食べに来る人はいないだろうというのです。しかし、自分の体を通して感じたことと、食の大切さや食材への感謝をコンセプトに開けばかならずお客様は来てくれると、家族を説得して開業しました。オーナーシェフとしてスタッフ二名でスタートしました。
【木】全国からお客様が訪れると伺いましたが?
重ね煮料理が人気
【関】開店四年になりますが、二年目くらいから遠方より来られる方が増えてきました。遠くは仙台から来られた方もいらっしゃいます。農家料理として専門誌などに紹介されたこともあって、マクロビオテックやオーガニック料理に関心の高い方がやって来られますね。特に桜の季節は権現堂から歩いてこられる方もたくさんいらしてうれしく思っています。食材にもこだわり国産で取れる食材はすべて国産のものを使い、野菜は当店や近隣で採れたものを使っています。調味料なども自然食店から調達しています。そして、自然にあるものを無理なく調和させる料理を提供させていただいております。開店当初は野菜だけしか出していなかったのですが、さすがに野菜だけですとお客様の要望に応えられないので、魚や肉も野菜と調和させて召し上がっていただこうと、それらを含んだ「重ね煮料理」を出し始めたのです。重ね煮は野菜と魚や肉を重ねて野菜の水分を利用して調理するものです。野菜の持っている旨みと魚や肉の旨みが調和しておいしい料理です。公民館から料理教室の依頼を受け「重ね煮料理教室」を中央公民館、南公民館でそれぞれ八回講座で開かせていただきました。
【木】ぜひ、一度食べに来たいと思います。では、お友だちをご紹介下さい。
【関】一緒にイベントなどを開催している東宮仙佳(とうみやのりか)さんをご紹介します。東宮さんは「聖なる石&天使」というパワーストーンのお店を開いている方です。
【木】本日はお忙しい中ありがとうございました。益々のご繁栄とご活躍をお祈りいたします。
(関さんは地元を活性化したいという強い気持ちをもっておられ、先月28日にも「秋市」と称して地元14店のネットワークでイベントを開催されたようです。今後もイベントを行いたいと元気に語ってくれました。http://minpai.orahoo.com/nagomi/)