タウンプレスよみうり

読売センター幸手が隔週で発行している地域ミニコミ紙「タウンプレスよみうり」の内容をご紹介

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友達の輪354号    トマト農家 江森 正之 さん 

新年明けましておめでとうございます。読者の皆様には良い年を迎えられたことと思います。本年も「友達の輪」をよろしくお願いいたします。さて、今年のトップを飾っていただくのは、船川豊さんからご紹介いただきました江森正之さんに登場いただきます。江森さんはトマト農家を経営されている方です。 友達の輪写真

本紙 船川さんからトマトを専門に作られている方で農業に詳しい方とご紹介いただきました。

江森(敬称略)こんにちは。船川さんは私の農業の先輩で大先生です。ハウス栽培のノウハウはすべて船川さんに教わりました。

本紙 代々農家なんですか?

作物の変遷

江森 我が家では母が農業を始めましたから、私は二代目になります。私たちはトマトを作り続けて30年弱ですが、始めた当時はイチゴを作っていました。東京オリンピックの頃、幸手はイチゴの産地で有名でした。私は家庭の事情でガソリンスタンドに勤めていましたが、三年勤めたときに母のやっていた農業に戻ろうと思いました。そして、イチゴだとこれからは厳しいだろうと感じたので、ハウスでキュウリを始めたのです。最盛期には500Kgのキュウリを毎日出荷していましたが、時代の流れを感じ(オイルショックの前のことでしたが)これからはキュウリだけでは農家の経営は難しくなるのではと、思い切ってキュウリ中心から三つ葉に転換しました。

関西では、青い三つ葉をホウレンソウと同じように食べる習慣がありますが、関東ではあまり一般的ではありませんでした。当時は関西との交流も進んできたころでした。時代の流れに乗って売れるのではと感じたのです。大手の流通業者と契約して三つ葉を納品しましたが、残念なことに売れませんでした。関東で三つ葉が受け入れられるには三年早すぎたようです。

本紙 時流に乗るのは難しいですね。

友達の輪写真 採りきれなくて

江森 消費行動も変わりました。ドレッシングが流行り、野菜の味よりも見た目のきれいさが重視されるようになりました。時代が変わっていたんですね。これから何を作ろうかと悩んでいた時期に、母が亡くなりました。母が元気だった時にはサラダ菜も作っていました。

そのころ作っていたハウスは500坪くらいあり、農協などへ出荷していましたが、毎日ものすごい量が採れるので採りきれないのです。それで、この機に思い切ってトマト一本に絞ったのです。トマトは収穫が一日おきで間に合うので私と妻でなんとかこなせたのです。今はトマトを900坪の土地で作っていますが、昔は270~280ケースを一日で採っていたときもありました。妻と二人でケンカしながらやっていたことを思い出しますね。二人しかいませんからどちらも必死ですよ(笑)。

朝から妻が採って、私が箱に詰めるのですが、どんどんトマトが実って大変でした。どうにも出荷が間に合わなくなってしまった時に、たまたまトマトを買いに来ていた人がパートで手伝ってくれることになり、それからはパートさん達と妻と私でやっています。先日までパートさん三人でやってくれていたのですが、一人が転居で辞めてしまい、今新しいパートさんを募集をしています。年齢制限なし、健康でやる気のある方、ぜひご連絡ください。お待ちしています。(電話42-3984江森)

本紙 おいしいと評判のようですが。

王様トマト

江森 昔から作るものの味にはとてもこだわっていました。大きな産地で出荷量の多い組合は誰からも80点を採れる作物をつくらざるをえないんですね。だから私は、もし60点くらいしか取れないことが起きてしまってもリスクを取って味の良いものを作ろうとしています。逆にそれが私たちの強みだと思います。冒険するからこそ味の良い物が作れるのです。今は「もも太郎」という品種が有名ですが、うちは「王様トマト」という品種を栽培しています。これは「もも太郎」とは違い酸味があります。好き嫌いがあるかもしれません。「もも太郎」はどちらかというと女性や子供に好かれますが、酸味がないため旨味が出にくいので、うちは「王様トマト」を作っています。これは、お父さんには人気の味です。

うちでは昔から酸味のあるトマトを作っていまして、酸味のあるトマトを土壌で工夫して味に旨味を出しています。作物の味は8割は土で決まります。トマトは土が味を作ってくれるのです。土を作るための堆肥も自分で作っています。安心のためです。堆肥作りはもみ殻を集めて一年間寝かせとても大変ですが、トマトを作る上で欠かせない大切な作業で毎年20トン作っています。

本紙 小売もされていますね。

120点目指して

江森 トマトの箱売りをずっと続けていましたが、ライフスタイルも変わり、毎日鮮度のよいものを買いにくるようになりました。「箱売りしかしない」というのは買う方のことを考えていなかったなと反省しています。トマトを買いに来た人達は小売りでほしいという人が多かったので、人手不足でしたからトマトの自動販売機を置きました。無駄にならず小売りできるので本当に良かったと思います。ただ袋詰めが大変になってしまいましたが(笑)。

おいしいトマトを作るのも、人生も、100点を目標にしていると結局は80点くらいしか取れないことが多いですよね。ですから私はどうせやるならば120点取るためにがんばってみようと挑戦しています。これからもおいしいトマトを作って食べてもらえることが何よりの地域貢献だと考えています。農業を始めてから今日まで本当に色々な人にお世話になりとても感謝しています。農業を始めて経験も長くなりましたが、謙虚に色々な方のご意見をいただくようにしています。ご意見やご要望をいただけるのは成長できるまたとない機会だと思って耳をかたむけるようにしています。

本紙 では、お友達をご紹介下さい。

江森 高校の同級生でコンビニを経営されている小島 繁さんをご紹介します。 本紙 ありがとうございました。益々のご活躍をお祈りいたします。(江森さんは環境にやさしい「エコファーマー」も認証され、埼玉県からは特別栽培トマトに認証されています。取材では初めてのトマト狩を体験させていただき、トマトも頂いてしまいました。とっても甘くて隠し味のように酸味も効いて美味しいトマトでした。昔から“トマトは医者いらず“と呼ばれ身体に良い食べ物ですね。幸手においしいトマト発見の報告でした。)

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