友達の輪359号 橋本工芸 代表 橋本 裕 さん
今日は昼夜の長さもほぼ等しい春分の日です。昔から冬の陽気が去って春になると言われていますが、心身共に春を感じる時期になりました。さて、本日の友達の輪には、訪問リハビリのお仕事をされている小倉栄一さんからご紹介いただいた橋本裕さんに登場いただきます。橋本さんは皮革製品の製作をされている方です。
本紙 こんにちは。小倉さんから古い友人と紹介いただきました。よろしくお願いいたします。
ボランティア仲間
橋本 小倉さんとはボランティアを通しての仲間です。「明るい社会づくりの会」というボランティア団体に参加しています。この会は全国各市町村にあり、私たちは春日部、幸手、岩槻、杉戸、庄和、宮代、白岡の地域でボランティア活動をしています。町内のごみを拾ったり、市民祭りでお店を出してその売上を恵まれない子どもたちに寄付をしたりと色々活動をしています。
来週の3月28日にはらのパーク宮代でチャリティグランドゴルフを主催しチャリティ金を寄付します。10月にもチャリティゴルフを開催します。また、今年で9回目ですがアフリカへ毛布送る運動を行います。初年度は800枚くらいの毛布が集まりました。コンテナ一個で莫大な輸送代が掛かかるのでこちらの寄付もお願いしています。過去二回の送料も寄付で賄うことができました。皆さまのご協力にとても感謝しています。もし、毛布が余っている人がいればぜひお出しください。こちらの運動は事務局を春日部において「明るい社会づくりの会」が主体でやっています。
また、こういった活動に参加していて思うことは、ボランティアの精神が日本人にもっと広まればと思います。欧米などの外国では、ボランティア精神が社会に広く根付いていますので、日本もチャリティやボランティアに興味を持ってくれる人が多くなるといいなと思います。また、私自身もどこかで助けを求めているかたがいれば、ぜひ助けになりたいと思って日々生活しています。
本紙 ボランティア活動は大事ですよね。お仕事について伺いたいのですが?
無断欠勤!
橋本 実はいろいろと仕事をしてきました。最初の仕事は学校を卒業して波板を作る会社に勤めました。当時は同期入社の仲間が250人もいました。私は常に「同期の中でトップになりたい」という気持ちが強い人間でした。
ところが、三年目の20歳のとき、前日親戚の所で遅くまで呑んでしまい、翌日寝坊して無断欠勤をしてしまったのです。一日無断で休んでしまったので、もうこれは同期の中でトップになるのは駄目だと思ってしまったのでしょうね。翌日に退職届を出してしまいました。工場長からは「技術があるのにもったいない」と言ってもらえるまでにはなっていたのですが、無断欠勤をした自分が許せなかったのでしょう。(笑)
そして、今度は自転車メーカーに入りました。そこでは商品の企画をする部署に配属され、色々な商品企画をしていました。ある時、大人の三輪車を考案して上司に提出しました。当時は大人向けの三輪車なんてありませんから、「これは画期的だ!」と自信を持って提案したのです。しかし、即効却下。私には「不便さを便利にしたい」と特許が取れるような発想でしたから、この会社では、活かすことができないし、自分も成長できないと感じ辞めることにしました。
その次は特許品のボールチェーンを作っている会社へ行きましたが、新婚旅行中に一日休みすぎてしまい、またしても無断欠勤してしまったことが許せず退職してしまいました。(笑)
本紙 それで現在に至るのですね。
女房の仕事から
橋本 そうなんですが、オイルショックが起こり、今度は仕事がなくなってしまったのです。そこで、女房も、その兄も革製品の仕事をしていたので、私もやってみようかということで始めたのです。最初は女房の仕事を見ながら内職程度でしたが、仕事が出来るようになると一晩で三万円の稼ぎになりました。サラリーマンの初任給が三万円の時代に、「あ、これはいい仕事だな」と思い本格的に始めることにしたのです。昭和44年の事で幸手には翌年の昭和45年に住み始めました。今は紳士物のお財布を主に作っています。
皮は、オーストリッチとクロコダイルを専門にやっています。作り方は、メーカーから材料を渡されて一枚皮を裁断して作っています。細かいパーツに至るまですべて手作業です。財布をつくるには細かい作業まで含めると60工程くらいがあり、すべて私が行っています。
本紙 技術力が求められますね。
ものを大事に
橋本 でも、外国製品に押され、皮製品を手作業で作る職人は、だんだんと少なくなっています。技術力を必要とされますし、手間暇がかかるので、あまりやる人がいません。私の専門はお財布ですが、もし依頼があればベルトやハンドバックなど作ることができます。修理の依頼もあります。日本は裕福すぎるのでしょうか?ものを大事にしない人が増えてしまったように思います。昔の人は修理して大切に使いつづけています。財布やカバンなどで大事にしているものがあれば一度ご相談ください。皮製品は直してまた使えるようになるかもしれません。高いものを購入して、購入したお店に行っても直してもらえない場合はうちに来てもらえば、直せるものもあるかと思います。職人さんの友達も多いですから、色々な皮製品の対応が出来ると思います。
ちなみに、カバンは特に直すのが大変です。一度全部縫い合わせを解いてバラしますから。そして皮に一度針を通したら、また同じところに針の穴を通さないといけません。そうしないと見た目にも以前の針の穴が目立ってしまい使えなくなってしまうからです。ですから、カバンの修理の時は特に慎重に、針の穴ひと目ひと目を合わせながらの作業になります。
本紙 では、お友達をご紹介下さい。
橋本 老人大学などで活躍されている今野貞三さんを紹介します。
本紙 ありがとうございました。これからもボランティアにお仕事にご活躍下さい。