タウンプレスよみうり

読売センター幸手が隔週で発行している地域ミニコミ紙「タウンプレスよみうり」の内容をご紹介

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友達の輪362号  おはなしの森 代表 小野寺 るり子 さん

ゴールデンウィークも過ぎ、爽やかな初夏の風を感じる季節になりました。さて、本日の友達の輪には、ふるさと北上民話研究会の高橋道直さんからご紹介いただきました「おはなしの森」代表の小野寺るり子さんに登場いただきます。友達の輪写真

本紙 こんにちは。高橋さんから読み聞かせで活躍されている方とご紹介いただきました。

小野寺(敬称略)こんにちは。よろしくお願いいたします。私も「北上民話研究会」に入っています。私の通っていた高校が岩手県の北上市にあり、その縁で北上出身の皆さんと楽しくやらせていただいています。ご紹介のように「おはなしの森」というグループの代表を務めていますが、この会を立ち上げたのは1996年の9月のことです。

本紙 会の活動はどのようなものなのですか?

ストーリーテリング

小野寺 活動内容は、子どもたちに「ストーリーテリング=素話(すばなし)」をする、というものです。ストーリーテリングとは、なじみのない言葉かもしれませんが、本を見ないで子どもたちの顔をみて、物語や昔話をお話しするものです。子どもたちは、私たちから語られる言葉だけで、お話の情景を想像し、自らで考えていく力をつけていきます。子どもたちにお話を聞かせ、肉声の言葉を通して心を育てるということがとてもいいことなんです。お話を自分で読むのと違って、聞かせてもらうと、それが子どもたちにとって、一つの経験になっていくんです。

また、昔話には、困難を乗り越えて幸せになるお話が多く、子どもに対しては「悪いことをするとだめなんだよ」とただ口で言って聞かせるよりも、自分で体験して身につけていくという「芽生え」に役だっていると思います。言葉でいうよりも、お話として聞かせたほうが子どもたちの心に響きますし、子どもたちは心を解放されることによってそのことが身についていきます。「お話の中にあるように、苦しくても頑張ろうとか、悪いことしちゃいけないんだな」など本当に子どもたちに判ってもらえることにもつながります。アメリカの図書館では、図書館員が職務として、子どもたちにお話しを聞かせるということをやっているそうです。ストーリーテリングは子どもを本好きにするとてもよい方法です。

本紙 どんなきっかけではじめられたのですか?

子どもと文庫通い

小野寺 私は転勤族で平成2年の4月に幸手に越してきました。幸手の前は世田谷区に住んでいました。世田谷区に越してきたときに、家の近くに文庫があり子どもと一緒に行き、お話を聞かせてもらったことがきっかけです。しばらく通っているうちに、山の木文庫で「お話をやってみないか」と言われて、始めることになりました。文庫ではストーリーテリング以外にもいろんな活動があり、親子で折り紙をしたりなど、幅広い活動をしていました。まさか、ストーリーテリングをこんなに長く続けるとは思ってもいませんでした。

本紙 幸手に越されてからも続けられたのですね。 友達の輪写真

地元の子どもたちに

小野寺 越して来たばかりは、地元にそういう活動をしている場所がなかったので、春日部や大宮、都内に足を運び「お話」に触れていました。しかし、ある時「地元の子どもたちにこそ、お話を聞かせずにどうする」と思ったのです。それで地元でやろうと思ったのです。しかし、幸手には親戚も縁故もおらず、バックグラウンドがない状態で始めたものですから、「ストーリーテリング」を知っていただくということに、ものすごく苦労しました。ストーリーテリングを子どもたちに体験してもらおうと、96年に「おはなし森の会」を立ち上げました。良いお話をもっと多くの子どもたちに聞かせたいという思いで、ストーリーテリングを学校に導入してもらおうと、校長先生に直接お話しに行ったりしました。長い時間がかかりましたが、現在では12人のメンバーたちが学校でお話をするようになりました。

本紙 思いを伝えるのは大変でしたね。

小学校のカリキュラム

小野寺 そうですね。お話の会の時間を学校で必ず設けてもらえるというわけではなく、毎年校長先生が変わったりすると、「今年度はいつ入れてもらえますか」ということで、お願いに行っていました。学校側としても、教育委員会からやりなさいと言われている内容ではありませんから、学校長が変わったりするとまた方針が変わって、来年度のことが決まってないということがずっと続いていました。小学校に導入していただけるようになるまでの苦労は並大抵ではなかったですが、子どもたちへお話を届けたいという思いでここまで来ました。今でこそ、前年度に年間の予定表をいただけるようになりました。今年度もすべての学校の予定が決まっています。

お話をする際には、「おはなしのろうそく」の灯りをつけてお話をします。このろうそくは子どもたちをお話の世界に引き込むために使われたといわれています。私たちも学校の許可をもらって、ろうそくの灯りをつけています。ろうそくは願い事がかなうろうそくになるという言い伝えもあり、お話が終わった時に「お願い事を一つだけ唱えましょう」と子どもたちと一緒にお願いしています。学校以外には幼稚園、保育園にも行き、絵本の「読み聞かせ」をしています。また図書館では毎年10月、大人のために耳で楽しむ「昔っこを楽しむ会」というのを図書館と共催で催しています。

本紙 ストーリーテリングをやる心得みたいなものはありますか?

小野寺 まず子どもが好きであること、「お話」が好きであることが一番大切です。お話を子どもたちと一緒に楽しむということができればいいと思います。しかし、それが自分の楽しみのためにというわけではなく、子どもたちが楽しんでいることが、自分の喜びとして感じられるということを忘れてはいけないのです。常に子どもの立場にたってやっていかないといけませんね。お話を聞いて生きる力が育って欲しい、その為に、今必要なもの、楽しいものを子どもたちに届けたいという思いで日々活動をしています。

本紙 では、お友達をご紹介下さい。

小野寺 子どもたちに英語の指導をされている槇恵子さんをご紹介します。

本紙 ありがとうございました。これからも益々のご活躍お祈りいたします。

(小野寺さんたちは「子育てするためにどういうことが必要か」ということを大切に活動されているそうで、感性豊かな子どもたちの育成に大きな役割を感じました。)

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