タウンプレスよみうり

読売センター幸手が隔週で発行している地域ミニコミ紙「タウンプレスよみうり」の内容をご紹介

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友達の輪407号(2012年3月18日発行) 
㈱京社寺建築馬場 代表取締役 馬場 雅孝さん 馬場真紀さんへ

各地で桜が開花して幸手の権現堂の桜もつぼみが大きくなってきたように感じます。さて、本日の友達の輪には「パティスリー オーチャード」のオーナーシェフである遠山昌弘さんご夫妻からご紹介いただいた馬場雅孝さんご夫妻に登場いただきます。馬場さんは社寺の専門建築を行う会社を経営されています。

【本紙】 こんにちは。遠山範子さんから奥様の馬場真紀さんをご紹介頂きました。よろしくお願いします。社寺の専門建築と伺いましたが?

【馬場真紀】(敬称略)こんにちは。遠山さんとは、子どもを通じてのお友達です。当社は神社、お寺などの専門建築を行っています。私は主人をサポートする役割で、仕事の内容については主人に聞いていただけますか。

【本紙】 社寺の専門建築ということですが、ご主人はもともとこのお仕事に関係があったのですか?

【馬場雅孝】(敬称略)こんにちは。実は私の父の実家が神社で高校を卒業する時に、神主にならないかと誘われました。しかし、個人的に神主には興味がなく、体を動かす仕事がしたかったのです。そこで、将来は実家の神社にも関わることも出来るだろうと思い宮大工という職業を選択しました。

【本紙】 それでどうされたのですか?

京都で修行 友達の輪写真

【馬場(雅)】 高校を卒業後、京都へあてもなく修業先を求めて行きました。事前に社寺建築を行っている会社を何社か調べたうえで、アポイントも取らずに飛び込みです。当てのない就職活動でした。もちろんたくさん断られました。でも、最終的に1社の親方が「京都に知り合いもいなく、一人で来たのなら受け入れる」と言ってくれたのです。今の時代、就職といえば、親や先生の紹介で就職先を決める、という人が多い中で、一人で財布一つだけで京都へ来た、という覚悟と姿勢が親方の目に留まったようです。すぐに準備をしてひと月後には京都で働き始めていました。

【本紙】 経験はまったく無かったのですか?

道具箱作り

【馬場(雅)】 ものを作るのは小さいころから好きですが、特別な技術を勉強してきたわけでもなく、ゼロからの修業でした。最初は自分の道具箱作りです。最低限の道具をあてがわれるのでその道具を入れる箱を自分で作るのが最初の仕事です。それに対し先輩がケチを付けるのです。(笑)それが代々の習わしなのです。そして、来上がった道具箱を何年も仕事で持ち歩くのです。それで何年かしたときに、最初に作ったものがいかに素人だったかを実感し、「成長したな」と感じられるのです。道具箱を作ったあとは掃除と、刃物砥ぎの毎日でした。5年は見習いでした。5年を過ぎると年明けとなり、先輩方の前で披露目のお祝いをしてもらい、先輩に礼服をプレゼントしてもらった記憶があります。でも、5年程度ではお寺の本堂などを手がけるのは無理です。本堂は10年以上のキャリアがないとやらせてもらえませんでした。

【本紙】 いままでどんな所を手がけたのですか?

日本一の鐘楼友達の輪写真

【馬場(雅)】 有名なところですと京都の寂光院や曼殊院、御所などを手掛けました。思い出深いものは日本一の鐘楼を作り上げたことです。4尺の柱を用いて49トンの鐘楼を2棟作りました。49トンの鐘となると直径は3.5m、厚みは30センチです。日本の社寺建築でこの大きさの建築物はありませんでした。3年かかりましたが、その当時はもう精魂尽き果てるまでここに入り込みました。出来上がったあとの達成感がとても強く、日本一のものを作り上げたので、どんな仕事でもできる自信がつきました。京都で19年間の修業でしたが、こちらに戻ってくるきっかけとなったは、勉強で知り合った栃木の人に、大きいお寺の仕事に誘われたことです。私の実家は岩槻で仕事が栃木でしたから、その中間地点ということで幸手に住まいを選びました。今は栃木の下野市のお寺を手掛けています。お寺のお仕事は一般の大工さんではできないものもあり、こだわりのあるお寺さんは宮大工を探してくれて、わざわざ住職さんが訪ねてきて声をかけてくれることも多いです。

【本紙】 奥様もご一緒に仕事されているのですか?ご自宅も新築されたばかりのようですね?

二人三脚で

【馬場(真)】 私も建築の学校を出ていて、図面関係の知識もありますので、会社の管理部門をメインに主人と二人三脚で頑張っています。この家は建てて2か月です。大工仕事は主人が一人で手がけました。実は住宅は初めてで、サッシも入れたことがなかったものですから、人に聞きながら作業していたようです(笑)。宮大工としてのこだわりもあるようで、楓と桜がうちの娘たちの名前なのですが、楓と桜の型を違う木材で柱に埋め込んだり、坪庭を造ったりしています。でも、主人は出来上がったあとに「小さい平屋でもいいので、すべて自分の手で造った純木造数寄屋造りの家を建てたい」と言ってます。(笑)

【本紙】 趣味ややりたいことなどありますか?

【馬場(雅)】 趣味はスキーです。妻は仕事へ行っていると思ったら、スキーへ出かけていた、そんな感じで突発的に出かけていきます。(笑)大会などは出ませんが、キャリアも25年になります。やりたいことは東北の被災地の方を支援したいですね。震災1年を迎えましたが、就職先がないという話をよく聞きます。就職活動をする高校生に支援活動をしたいです。被災地に新しく大工町と呼べるくらいの規模で、大工さんを育てられたらと思います。一人では無理ですから、思いを共にする人達と協力出来たらと思っています。京都で修業していた時の仲間が全国にいますから、そのネットワークを東北でも活かしたいです。

【本紙】 みんなで支援したいですね。ではお友だちをご紹介下さい。

【馬場(雅)】 自宅を建てる時に設計管理をして下さった監督さんで三陽不動産㈱の荒川洋一さんをご紹介します。

【本紙】 ありがとうございました。(馬場さんはとっても家族思いの方で、庭にも楓と桜が植えてあり、奥様と同じ読みの槙の木が、偶然にも楓の木についてきたそうです。また、宮大工としては、市内で見かける小宮や稲荷が傷んでいることがとても気になるそうです。専門分野ですから正しい修理の相談に気軽に声をかけていただければと話してくれました。)

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