友達の輪449号(2013年12月22日発行)
ボサノバ店長 前田 直久さんへ
クリスマスも間近に迫りイルミネーションに飾られたまち並みが、夕刻になると際立ってきました。さて、今号は本年最後の「タウンプレスよみうり」となりました。そして、今年の友達の輪のトリを務めていただくのは、ヘアーサロン美輝の川島慶子さんからご紹介いただいたボサノバのマスターの長男である前田直久さんに登場いただきます。
【本紙】 こんばんは。これからお忙しい時期に入りますね。ボサノバさんは創業してからどれくらいになりますか?
【前田】(敬称略) 35年になるそうです。父であるマスターが音楽が好きで、それでなにかやりたいと思って「ボサノバ」を始めたそうです。幸手に帰ってきたのは去年の11月で、ちょうど1年になります。
【本紙】 その前はなにをなさっていたんですか?
力試しに前橋
【前田】 18歳の頃から家業である「ボサノバ」を手伝ってはいたんですけど、どんなに一生懸命お客さんを呼んだり、売上を上げても父であるマスターのカラーが強いお客さんが多いですから、「お前は親父の七光り」だとか、「親がいるから仕事が出来るんだぞ」というようなことを言われたりもするわけです。それで、頑張りが認めてもらえないのかな、という憤りが自分のなかに生まれ、自分の力を試したいと思ったのです。最初は東京に行こうと思ってました。しかし、相談した方に「東京は地方の寄せ集め、運が良ければ売れるようなところじゃないの?」と言われ、「地方都市だったら土地の風習もあるし、よそ者を受け付けない難しさもあるから、地方都市で成功することが出来れば本物じゃないの?」と。これを真に受けてしまったんですね。それで、幸手から近い地方都市だと宇都宮か前橋だな、と候補にあげ、宇都宮は父が行き来があったので、なんの繋がりもない前橋に単身で行くことに決めたのです。最初はホストクラブに勤めました。
【本紙】 両親の反応はどうでしたか?ホストクラブというイメージは持っていたんですか?
吐いては飲み
【前田】 父は「じゃあ、行って来いや」という風でした。知り合いもひとりもいない中なので、いまでは出来ないような苦労もしましたね。でも、行った先でぽんとホストクラブに面接に行って無事に採用になったのは幸いでした。ホストの仕事は想定内でほんとにがむしゃらに飲んでいました。つぶれては飲んで、吐いては飲んでという繰り返しでした。売上もそうですがお客さんを楽しませるのが第一でした。前橋に行って4ヶ月目でナンバーワンになり、そして2年間ナンバーワンを守り続けた後、そのお店を辞めて24歳のときに自分のお店を出したのです。夜の10時にお店は開店なんですが、夕方の6時には町に出て名刺配りをやっていました。そこで上手く話が出来れば「お店に来て」と営業ですね。雨の日も風の日も毎日やっていました。まるで選挙の朝立ちのようなものです。でも、こういう地道な営業の繰り返しでお客さんが増えていきます。お店にきてもらうだけではなく、お店に来る前にお食事に付き合うこともあります。お客さんは自分が可愛がっている子を上にしてあげたいという気持ちからいろいろなアクションをとるのです。すごいお客さんですと、一晩で200~300万円飲まれる方もいます。今、同じことをやれ、と言われてもさすがに出来ませんが。
【本紙】 タニマチのような気持ちなんでしょうね?そういうお客さんが重なったりはしないんですか?また、お客さんとのコミュニケーションも大事ですよね。
新聞が情報源
【前田】 女性の場合はあっちがヘネシーを入れたとすると、「じゃあこっちはXOを入れて」となったり、「今度はシャンパン」果てには「ビール1ケース持って来い」などと対抗心が強い気がします。それらをホストが飲むわけですけど、まあ、体を壊しますよね。でも、上にしてあげたいという気持ちから来ていますので、それに応えないといけません。そして、これが毎日です。お酒が強い訳ではないのですが、アルコール分を殺して飲んでいる感じです。気を張っていれば酔わない感じですが、お店が終わるともう全員がダウンです。そのまま店のなかで寝てしまい、お昼頃に起きて帰っていました。お客様とのコミュニケーションはとても大切です。基本はスポーツ新聞を毎日読む事ですね。群馬県はギャンブルで言えば、競輪・競馬・オート・競艇と全部がある県です。ギャンブルが盛んなので、お金がよく動いているところです。ギャンブル面の話ですと、誰々が優勝したとか、誰々が優勝戦にでるとかスポーツ新聞を見れば当然わかります。芸能関係も分かりますし、社会面を見れば一通りのことは書かれています。従業員にスポーツ新聞を毎朝見るように伝えてあります。知らないことは知らないことで、逆にお客さんというのは話したがりの人もいますので、聞き上手に回ってあげると喜ばれます。お客さんによって対応を変えていくのが大事なんです。極端なことを言えば、役者になるようなものだと思います。こういった部分の見極めは感覚なんだと思いますが。
【本紙】 すごい世界ですね。幸手に帰ってきていかがですか?
【前田】 生まれ育った地元ですし、知り合いも友達もいますが、常々「寂しいまち」だなと思っています。20年前とそんなに変わっていないです。変わったのは4号線沿いくらいです。今までの経験から、まちを盛り上げるには「3つのもの」が必要と感じています。それは「若もの・馬鹿もの・よそもの」の「3つ」です。この3つの人たちがまちを盛り上げるのです。私たちのお客さんには多い層なので、私たちの商売でもまちの発展の為に明るく出来る材料になれれば、という気持ちはあります。
【本紙】 ご趣味は?
【前田】 ゴルフが好きで23年くらいやっています。ハンディキャップは6ですね。先日、幸手・久喜・鷲宮・菖蒲での市町村対抗戦団体戦で幸手が優勝しました。
【本紙】 では、お友達をご紹介下さい。
【前田】 レストハウス『ボルドー』のオーナーシェフ山崎俊也さんを紹介します。
【本紙】 ありがとうございました。これからクリスマスも控えお忙しい時期かと思いますが、ご繁栄を祈念いたします。
(前田さんはとても感じの良い人でお客さんにも人気のようです。また、24日、25日はクリスマスパーティを企画しているそうで、基本的に週末あるバンド演奏も予定が合えば来てもらうそうです。気になる料金ですがとてもリーズナブルで、3.000円もあれば十分に楽しんでいただけるとのことです。ボサノバ・TEL:0480(43)3260幸手市西1-15-31 営業時間:20:00~ラスト 12月29日まで営業・1月4より営業)