タウンプレスよみうり

読売センター幸手が隔週で発行している地域ミニコミ紙「タウンプレスよみうり」の内容をご紹介

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友達の輪466号(2014年9月7日発行) 
芦葉工藝社一級建築士事務所
㈱芦葉建設 代表取締役 芦葉 武尊さんへ

今月中旬から10月上旬にかけ、彼岸花とも呼ばれる曼珠沙華(まんじゅしゃげ)で権現堂堤が真っ赤に染まります。曼珠沙華まつりには多くの観光客も来訪され賑わいが期待されます。さて、本日の友達の輪には小島健一さんにご紹介いただいた芦葉武尊さん登場いただきます。芦葉さんは建築のお仕事をされている方です。

【本紙】 こんにちは。小島さんから先輩と紹介いただきました。芦葉さんは埼玉県商工会青年部連合会会長をされているそうですね。ご苦労様です。お仕事の方は二代目と伺いましたが?

【芦葉】(敬称略) 連合会長職は2年任期で今年度で引き継ぐ予定です。昨年は埼玉県で商工会青年部の全国大会を主管させていただきました。忙しいことばかりですが貴重な経験をたくさんさせていただき光栄に感じています。当社は父が中学を卒業後、大工の丁稚に出てそれから5年くらいで自立したのが創業になるかと思います。父が21、22歳くらいのときでしょうか。昔はやる気があれば、それくらいでも親方になれたみたいですね。父が今年65歳になりますから、創業して44年くらいになります。その後、時を経て平成8年に株式会社になりました。当時、私が大学を卒業したくらいのときですね。

【本紙】 当時から家業を継ぐ予定だったのですか?

日本の建築を守る友達の輪写真

【芦葉】それが不思議なもので、レールに載せられてしまっていたようで、いつの間にか建築の魅力に引き込まれてしまっていたんですね。実は、小さい時から「大工さんっていいな」と思っていました。しかし、決定的だったのが大学生のときに日本建築士の先生に学んだことだと思います。今のように建築様式が多様化する前の日本建築の歴史やその流れを紹介してくれた先生でした。大抵の大学教授は難しい話ばかりをして、ちんぷんかんぷんだったのですが、「自分の父や自分の会社がやっている仕事が正しい」ということをその先生は学術的に教えてくれたのです。それを聞いて、歴史ある日本の建築を守らなければいけないと強く考えました。どういうことかと言うと「技術はもちろんだが、人と風と文化もそうだよ」と言われたときに、父がやっている仕事というのは作るだけでなく、守る仕事なんだと強く感じたのです。いまは合理化されてどんどん商品化されている住宅ではありますが、日本の建築は日本の人間が一番守らないとダメなことだと教えられました。それからは、生涯をかけてそういったことを紹介していこうと夢を描いていて、いまでもそれは変わっていません。それで、大学在学中に建築設計事務所でアルバイトをして、卒業後父が教えた職人さんのところで技術指導をしてもらい、その後稼業に入る事になります。

【本紙】 芦葉工藝社さんの主な仕事はなんですか?

伝統工法を守る

【芦葉】 木造建築が中心になります。それ以外に鉄骨造もやっています。当社の基本的な考え方は合理化をしないで、むしろ昔を思い出して昔のいいものを掘り出していこうというものです。大工さんのやるべき仕事というのは、家を作るというのももちろんですが、技術を継承する事も大工が生涯をかけてやらないといけないことだと思います。そういう部分でいくと、昔のものを掘り起こして身につけていくということをやっている工務店です。木の1本1本と向き合っていくということをやっているのです。昔から変わらない伝統在来軸組工法という工法があります。これは木と木を使って組み合わせるもので、300年前の建物でも500年前の建物でも理論は一緒です。日本で日本の木を用いた建築物はすでに完成されているのです。例えば五重塔では耐震設計がきちんとされていて、揺らしても揺らしても瓦がちょっと落ちるくらいで倒れません。そういうものを「どうして住宅に活かさないのかな?」と思うときもあります。当社が年間300棟くらい作る工務店だったらちょっと出来ないかもしれませんけど、当社は年間10棟でいいので、その中でそれを守っていくというのが当社の木造住宅に対するスタイルです

【本紙】 日本の木だと高価なイメージがありますね。

大工志

友達の輪写真

【芦葉】 そんなことはありません。実は山の木の価格は下がってきています。じっくりと探せば安くていいものは見つかります。でも、時間がなかったりして、なかなかそういうものを使わないのです。いま建て替えている住宅がありますが、築60年経っているのですが、次の新築に向けて先祖代々のお爺ちゃん、お父さんが材料を集めていてそれが倉庫に眠っているのです。それで新築して、次に庭にケヤキを植えておけば、100年もすればまた次の材料になります。考えてみると昔の住宅ほどエコなものはないと思います。もちろん、住宅メーカーの家が悪いということではありません。ただ、これから30年くらい経つと、木と向き合いながら住在来軸組工法で住宅を作れる大工さんは少なくなってくると思うと大変なことだと思っています。ですから、工務店をやっていて一番大事なことってなにかな?と考えると、良い家を作ったり利益をあげるというのももちろん大事ですが、それ以上に大事なのが人を育てるということなのです。現在スタッフは全部で11名いますが、昔ながらの伝統在来軸組工法を習得しているのは4名です。そして、見習いで頑張っている20代が3名、新人も入ってくる予定です。この若い人達が育ってきたら、脇棟梁をつけてさらに育てていきます。時間はかかりますけど、そこは仕方ないですね。大工と言うもの一人前になには、例えば社寺を作るのに40年くらいかかると言われています。ところが、大工さんの寿命は50年くらいです。それで考えると一人前になって1回作るか作らないかで終わってしまうのです。だから本当に極めたら何十年かかるかわからないですね。大工を志で大工志というのですが、一生大工志です。

【本紙】 夢はなんですか?また、芦葉工藝舎というネーミングには意味が?

日本建築の良さ

【芦葉】 日本建築の素晴らしさや可能性を海外の方たちが素晴らしいと言ってくれますが、それを一番大事にしていないのが日本人ではないかと思います。ですから、日本建築の良さを正しく伝え、魅力を乗せてたくさん発信していきたいと思います。また同じ気持ちを持った職人たちを増やしていきたいですね。社名も日本建築の良さを伝承していきたい強い信念を込めて、あえて古い文字を使い芦葉工藝社と名づけ、ロゴマークも、昔の組子という難しい技術をデザインとして取り入れました。いるのかもしれません。『親子同士で仕事の関係となると難しい』と聞きますが、当社では特に問題なく出来ていると思います。

【本紙】 素敵ですね。では、お友達をご紹介下さい。

【芦葉】 地域でいろいろ活躍されている斉藤畳屋の斉藤勇さんをご紹介します。

【本紙】 ありがとうございました。ますますのご活躍を祈念します。(芦葉さんは以前は山登り、サーフィン、釣りとアウトドアを楽しんでいたそうですが、今は子どもさんたちとスキーに行くことが一番の楽しみだそうです。常に次世代の子どもたちと同じ目線でコミュニケーションをとる姿勢に惹かれました。)