友達の輪477号(2015年2月15日発行)
声楽家 ソプラノ 山野井 千晴さんへ
水仙まつりも終盤となり、いよいよ春へのカウントダウンが始まります。さて、今回の友達の輪に登場いただく方はベネッセこども英語教室の石山ヤヨ江さんよりご紹介いただいた同じ教室で英語を教えている山野井千晴さんです。山野井さんはソプラノ歌手です。
【本紙】 こんにちは。石山さんから英語教師仲間と紹介いただきました。本業はソプラノ歌手だそうですね?
【山野井】(敬称略) はじめまして。私は幼少期にピアノ始め、ピアノを専攻していこうと高校の頃まで思っていました。高校ではテニス部に所属して、朝昼晩はもちろん、年末年始も休まずに毎日本当に無我夢中でやっていました。ところが、夢中にやりすぎ肘を壊してしまいペンも持てない、箸も持てない状態でピアノがまったく弾けない時期がありました。音楽が出来ないフラストレーションに、声楽家の母から「ちょっと歌ってみる?」と勧められたのです。それで最初に1回歌ってみたら、高校生ながらに歌うことの喜びを感じ、高校3年の時に歌の道を進んでみようと思ったのです。母は娘が自分と同じ声楽の道に入るとは思っていなかったようですね。
【本紙】 親子で声楽家なのですね。
ロッシーニ研究
【山野井】声楽というのは個々の体が楽器という非常に独特な、また魅力的なものだと思います。ですから、母が声楽家だから私もそういう風になれるという確証もありませんし、そんな不確かなところから始まっているのです。そして、大学に進学し、芸能ではなく勉学としての音楽をもっと掘り下げたいと思い大学院に進学したときに、ロッシーニという作曲家の作品に触れる時間が長かったのです。もっと彼の独自性や作曲技法などを研究したいと思い、修士で2年間研究しました。修士論文を書いたときに初めてのイタリアでロッシーニのお墓参りに行きました。フィレンツェのサンタクローチェ教会に彼のお墓があるのです。ロッシーニのお墓に参ったときに、「この文化の中で、このイタリアの空気の中で存在して、色んな曲を書き上げたのだな」と思ったらもう感動してしまってしばらくその場に立ちすくんで泣いていました。周囲にいた現地の人から奇異の目で見られていましたけど、私の中ではとても大事な瞬間であり、彼の存在を感じて、「演奏家として磨きをかけ、あなたの作品をもっと深く読み取って世の中に出していきます」と思った瞬間でした。16世紀~19世紀の作品は音源が残っているものもありますが、再現するのは楽譜しかありません。私たち演奏家は彼らの遺した楽譜という媒体を使い、可能な限り作曲家の意図まで汲み取って再現するのが仕事です。もっと楽譜を読みたい、もっと作曲家のことを知りたいと思って博士課程に3年半行き音楽博士号を取得しました。大学院修了後はオペラの舞台に立つことが多くなりました。それで、しっかりと学ぼうと二期会の研修所に入り、役を演じることや、舞台での立ち振る舞いなどの基本的なことを学びました。イタリアにも行って学んできました。研修所でもイタリアでも本当にいい先生と巡りあうことができたので、今もおかげさまで楽しく歌わせてもらっています。
【本紙】 どんな演奏活動をされているのですか?
すまえるクリスマスコンサート
【山野井】 オペラ、ジョイントコンサート、ソロコンサートなどもあります。クラシックというと難しいようなイメージがあると思うのですが、そういったイメージをなくしていくというのも大事なことだと思っています。また、地元でも歌っていきたいと考えています。近くにレストランがあり、去年の3月にランチタイムコンサートをやりました。ご好評をいただき、違うお店でもコンサートをやりました。遠くから来てくださる方も嬉しいですが、隣近所に住んでいる方が聞いていただけるような演奏活動をしていきたいなと思って企画を立ち上げています。それと平行して杉戸高野台にスマイルプロジェクトというのがあるのですが、音楽と音楽を通じて笑顔あふれる街づくりをしたいということで、杉戸高野台に住んでいる方が中心となって活動を行っています。音楽を通じて人と共感したり笑顔が出来たりということで、私が思っていることと理念が一致したので、去年のクリスマスコンサートからすまえるパフォーマーという形で演奏させてもらっています。ツイッター
【本紙】 声楽の教室もやられているそうですね?レッスン料っておいくらくらいですか?
声楽教室を主宰
【山野井】 声楽の教室は母が主宰している大宮の土呂教室と「スタジオベルカント杉戸高野台教室」で開いています。ベルカントはイタリアの伝統的な歌唱法のことを言います。私はレッスンで扱う曲は柔軟に対応していきたいと思っています。例えばポピュラーな曲をやりたいというのであれば、イタリアの古典歌曲などの発声のメソッドのために必要な曲と一緒にご希望の曲もやっていきましょう、という感じですね。私の教室運営の理念として、歌いたい曲を理にかなった発声で気持ちよく歌うというのがあります。サンタルチアが大好きな方がいまして、それが歌いたいということで通っている方もいますよ。ミュージカルのキャッツのメモリーを歌いたいとか、アメージンググレースを歌いたいという方もいます。クラシックというよりも、どう声を出せばいいのか、という点だと思います。レッスン料はお問い合わせいただく形になりますが、目安としては週1回1時間のレッスンでお月謝は8000円~になります。歌がお好きな方であれば年齢、性別に関係なく一緒に楽しくレッスンをさせて頂きたいと思っております。レッスン見学、無料体験レッスン随時受け付けています。
【本紙】 これからの夢はありますか?
【山野井】 これまで演奏活動が出来たり、勉強が出来たりしたのは家族や先生方のおかげです。その感謝の思いを持ち続けながら、小さい会場でも大きい会場でもオペラであろうとコンサートであろうと、ベストな演奏が出来るようにしていきたいですね。そのためにはテクニックの向上しかありませんから、そこをとにかく磨いていきたいです。私たちの道って死ぬまで勉強だと思うのです。マリア・カラスという非常に有名なソプラノ歌手の「みんな死ぬまで学生よ」という言葉を聞いたときにとても励まされましたし、私も死ぬまで学ぼうと思いを強く持ちました。
【本紙】 益々のご活躍をお祈りします。では、お友達をご紹介ください。
【山野井】 幸手桜高校近くにあります「おうちカフェ・フレブル」の石井正一さんを紹介します。
【本紙】 ありがとうございました。(山野井さんはご自身を「歌うと元気でいられ、歌わないと調子が悪くなる」と不思議がるほど歌が大好きな方と感じました。感性豊かに地域のコミュニティも大切にされていました。)スタジオベルカント(声楽教室)杉戸高野台教室 Tel.090-5538-8706杉戸町高野台南1-10-1 (曜日、時間相談可。詳細はお電話にてお問い合わせください。) 山野井千晴ホームページ