タウンプレスよみうり

読売センター幸手が隔週で発行している地域ミニコミ紙「タウンプレスよみうり」の内容をご紹介

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友達の輪490号(2015年9月6日発行) 
株式会社やまと薬品代表取締役社長 目 繁明さんへ

朝夕すっかり秋らしくなり、赤とんぼも夕暮れを演出しています。さて、本日の友達の輪は五霞町長染谷森雄さんからご紹介いただいた目(さがみ)繁明さんに登場いただきます。目さんは幸手市内でやまと薬品を経営されています。

【本紙】 五霞町長より幼なじみと紹介いただきました。創業はいつになるのですか?

【目】(敬称略) 当社の法人としての創業は昭和42年の12月です。元々、家内の父親がやっていた事業です。最初は奈良から出向していました。日本の薬のルーツは富山、奈良、佐賀の3県から始まります。それが出回るようになったのが今から350年前の江戸時代です。特に奈良は昔から関東地方に得意先を持っていて、当社も関東一円に5万件くらいの得意先がありました。しかし、段々と間に合わなくなり、本社としてこちらに移すことになりました。現在は大宮にある営業所から南は都内まで、北は前橋と熊谷にある営業所を介して営業していますが、あまり広すぎても把握しきれないので、3万件くらいに抑えるようにしています。

【本紙】 日本の薬の歴史は世界的に見ても古いのですか?

日本人の信用友達の輪写真

【目】 日本の場合は置き薬から始まっていますから、使わない限りお代が発生しないという点では古いですし、珍しいかもしれません。置き薬というものは、信用を前提としたシステムです。勝手に使って、そのまま逃げてしまうということも今でもありますが、それでも信用が基礎となっているというのは素晴らしいことだと思います。置き薬は会社の在庫となりますから、在庫管理としても異例な形ですね。店にないのに、在庫という形になるわけですから。例えば一家庭に3万円くらいの薬が5万件あったとしたら、額としては凄いことになりますね。置き薬は冬場は風邪薬を中心にして、夏場は冷たいものを食べてお腹を壊すこともありますので、お腹の薬。5月頃には頭痛が流行ることがありますので、そういったシーズンに合わせて揃えるようにしています。今ですと、血液の粘性を下げる薬なども組み合わせて置くようにしています。悪化するより前に早く薬を飲むようにすれば快復も早くなると言う事です。しかし、配置薬にも消費期限があります。薬業界は消費期限前にメーカーが交換してくれますので、配置薬から引き上げて新しい薬と交換してもらうようにしています。

【本紙】 件数が多いと顧客管理も大変ですね。

趣味のプログラム

【目】 昔は事務員が7人も8人もいて、台帳管理をそろばんでやっていたのですが大変でした。コンピューターも導入したかったのですが、当時は高価で手が届きませんでしたし、ソフトウェアも充実していませんでした。30年くらい前にアップルが始めてLisaというコンピューターを出したのでアメリカまで買いに行きました。でも、ソフトがないので、自分でプログラムを組みました。こういったことは好きなので、いくらでも出来るのです。当時、人材を雇用して会社の一部門としてソフトの販売部門を立ち上げたのですが、あまりやりすぎると本業が疎かになってしまうので、自分で組んだプログラムを、某コンピューターメーカーに「出来るだけユーザーに安く分けて欲しい」という約束で提供しました。今はこれを元にしてiPadを使い、何万件という得意先になにが置いてあって、いくらになっているのかという得意先の在庫が直ちに出るようになっています。

【本紙】 元々、コンピューター関連の事をされてたのですか?

夢中になって

【目】 専門は土木で県の土木部に勤めていました。私が土木の勉強をしていた学生の頃はIBMの機械が一番安くて3億とか4億円しました。それで、夜中に使わせてもらうのが精一杯で、夜な夜な大学に通うくらいコンピューターは好きで、今でも趣味はプログラミングです。ですから、お正月の3日間など部屋にこもりっぱなしでプログラミングして、部屋から出てきたらひげが生えていて誰だかわからなかったということもありました。私が会っていて楽しく、また話が合うのがいわゆるおたくという部類で、色んなところから身分を隠して集まってくるところがあるのですが、明け方まで語り合ったりするのは楽しいですね。あと3年で70歳になりますが、部屋に閉じこもるのではなく、食糧危機に備えて土地を買って畑を始め、魚なども飼い始めました。電気も自分で太陽電池パネルを買ってきて、自分で作った電気をコンピューターに供給して、それで魚を管理して、出来たら野菜の日照時間なども管理したいと考えてます。パネルや蓄電池を買っていて気になったのが高性能なものはほとんど外国製です。日本の技術がすごく遅れているのを感じて将来を危惧しています。

【本紙】 古い車の写真が飾られていますが?

機械が好き

友達の輪写真

【目】 写真の車はホンダのS600とS2000ですね。高校時代からの車好きが集まったグループです。S600は自分たちで古いものを買ってきて、1年がかりでレストアを終えて走れるようにしました。私はそんなに時間が取れないので10年くらい前のS2000を買ってきて、分からないところは車屋さんに聞きながら作業をしました。去年にテスト走行として山形の鳥海山に行ったときの写真です。今でも乗っていますが、ますますエスカレートして、キャブレターを電子式にしたりしています。なぜ私がS2000かというと、本田宗一郎が「エンジンはピストンリングだ」と言ったのですが、S2000の一番初期型のAP1というのはピストンスピードが世界で一番でした。4気筒250馬力エンジンのレッドゾーンはだいたい1万回転くらいで、今ではこんな高回転エンジンはありません。S2000の一番初期型だけがそうで次からスペックが変わってしまいました。それで、方々を探し回ってやっと見つけた車です。MTなので、さすがに年なのか、クラッチを踏むのが段々と辛くなってきました。(笑)コンピューターにしても車にしても、機械が好きなのだと思いますよ。

【本紙】 専務さんにバトンを渡されたそうですが?

【目】 そうですね。一生懸命頑張っていますので、仕事はなるべく専務に任せて、私はこれから社員さんのことをしっかりと考えていかなければと思っています。当社の定年は60歳ですが定年を迎える方に「これからどうするの」と聞いてみると、今の年金じゃ生活が難しいという方が多いのです。また、65歳でないと年金も貰えないですし、65歳になっても仕事を続けたいという人も多いですね。社員さんが年をとってくると、営業が厳しくなってきたときに大変というのもありますし、違う仕事やもう少し楽な仕事に振ってあげたほうがいいのかなと最近思うようになりました。今は年金も十分に貰っていないという方もいますから、年をとってもその労力である程度の給料を払えるような業務を開発しなければということで頭が一杯ですね。

【本紙】 社員さんにはありがたいお話ですね。では、お友達をご紹介ください。

【目】 久我クリニックの院長である久我英世先生を紹介します。

【本紙】 ありがとうございました。お仕事に趣味にますますのご活躍を祈念いたします。(目さんは埼玉県薬剤師会の常務理事も務めており、お忙しい毎日の中、大好きなパソコンや車や自給自足システムなど、人生を楽しんでいるように感じました。好きなものに没頭する「ものづくりの原点」を感じるお話しでした。)