友達の輪496号(2015年12月6日発行)
まちの整骨院 幸手代表 馬場 茂明さんへ
師走に入りお忙しい日々を送られている方も多いことでしょう。本日の友達の輪は石井酒造の石井誠さんからご紹介いただいた、馬場茂明さんに登場いただきます。馬場さんは幸手をはじめ数か所で整骨院等を経営されている方です。
【本紙】 まちの整骨院として多店舗展開されていますが、幸手店はいつオープンされたのですか?
【馬場】(敬称略) 今年の7月になります。当社は現在整骨院が4店舗、デイサービスが1店舗、そして、訪問マッサージを1店舗展開しております。5年前に杉戸で開院したのが始まりです。
【本紙】 若くして起業されたのですね。このお仕事に就かれたきっかけなどは?
挫折からの転身
【馬場】 中学生からバスケットをやっていて、部活では選抜の選手になったりして天狗になっていました。それで、全国大会を目指せる県立高校の先生に声をかけていただき、その高校に進みました。しかし、部員全体で100人近くいて、選手層が厚く私は2軍や3軍という扱いでした。初めて挫折というものを味わいました。大学からもチームに来てくれ、という話もあったのですが、身長174では続けていくのも難しいというのもありましたし、怪我も多かったので諦めた感じですね。バスケット選手が駄目というよりも、活躍するレベルになかったというのが始まりだったのかも知れません。それで、スポーツをやっていましたので、体を治すというところに興味があり、高校生の冬休みの頃に整骨院の専門学校に入ることが決まりました。そして、学校側に頼んで冬休みから修行に出たいということを伝え、修行先の整骨院で働かせていただきました。
【本紙】 独立するときに不安とかなかったですか。
25歳で独立
【馬場】 正直なかったですね。恥ずかしい話で、いま改めて考えるとぞっとしますね。親には一度反対されていまして、親戚にも反対されていました。なんといっても25歳でしたから、当然の反応だったのかもしれません。母親は医療の仕事でしたので、最初は薬剤師になりなさいと言われていたのですが、見たことのない仕事ですし、自分の中でイメージがつかなかったのです。整骨の仕事に興味を持ったのも、バスケットの関係でよく通っていたから、イメージがしやすかったというのもありますね。18歳から本格的に修行して修行期間も7年間で、資格もその間に勉強して取得しました。いい先輩たちに巡り合えたというのも大きいですね。技術は反復練習ですし、知識も繰り返し勉強して覚えていかないといけないものです。その辺に対して先輩達がつきっきりで一生懸命教えてくれました。こういった環境も良かったのだと思います。特に3店舗目の修業の時にキネシオテープの創設者の弟子の先生に出会いました。そこの治療院で「これだ」と思いましてよく勉強させてもらいました。
【本紙】 多店舗経営をされていますがご苦労などありましたか?
経営者として
【馬場】 初めは人の育て方が分からなかったのです。25歳が自分より年上の人を雇用するのですから、理由もなく辞めていってしまうのです。独立して2年目に高野台に2店舗目を出したのですが、店舗を広げたいという自分の気持ちが強すぎた開院でした。当時の院長が1年くらいで辞めてしまったのです。困りました。それで入会していたロータリークラブや青年会議所、地元の先輩や経営者の方々に相談したのです。先輩からは「人をどう育てるか」というのは経営の醍醐味であり、一番難しいところじゃないか、という答えが返ってきました。今までは接骨院関係の勉強会にしか行かなかったのですが、それをきっかけに経営者の研修にも行くようにしました。そうして少しずつ経営のことも学んでいきました。自分も成長し続けて「社長は口だけでしょ」と言われないように勉強していかないといけないと思います。
新しい取組
【本紙】 デイサービスも行っているのですね。
【馬場】 南桜井の開院と同時に、整骨院の半分をデイサービスにしています。最初は整骨院だけを考えていたのですが、高齢になり自力での来院出来なってしまう方がいて、あとになって友達から「亡くなってしまったんだよ」という話を聞いたりするのです。それがとても嫌だったのです。整骨院って足腰は痛いけど自力で来院出来る、入院するほどでもないという方がほとんどです。一度診たのに、それから足がないと動けないという状態になって、区切りがついてしまうのが嫌だったのです。そのために何かあったときに対応できるスタンスを作っていかなければと気づき、協力したいという方がいましたので一緒に始めました。さらにもっと重症の患者さんお宅に伺う「訪問マッサージ」も始めたところです。訪問マッサージはこのあたりの地域全体でやっています。車で回れる体制を作り、患者さんに対して、長く寄り添えることを大切にやっています。診療は医療保険でやっています。包括ケアネットワークの仲間にも入れてもらっていますので、東埼玉総合病院さんをはじめ地域のクリニックの先生方から紹介がきたり、当院でも高度医療が必要な場合はお願いしたりしています。整骨院って今まで医療ネットワークを作らない事が多かったですからね。私たちには出来ない治療を他の病院では出来ますので、協力は必要だと思います。最近では整形の先生から「これはうちでなくても大丈夫」ということで御紹介いただいたり、内科の先生が「トレーニングは任せた」などもあります。
【本紙】 院内には日光街道宿の絵画が大きくデザインされていますね。
【馬場】 来年、日光街道開宿400年の祭りがあるようですが、当院も日光街道に面しているので、少しでも地域に根付くという意味で、幸手宿と杉戸宿の絵画を壁面に描きました。医療は地場産業サービスと言われるのですが、ただ産業と考えるのではなく、地域と共に歩んでいくことを大事にしたいと思っています。お祭りの時期に開院したのですが、店頭に机や椅子を設置したところ、座ってくれる方がいたり、トイレも「いつでも自由に使ってください」としています。少しでも地域住民の皆さまが喜んでくれるようにと思い、そうすることで、自然と絆が結ばれていってなにかが生まれるのではないかなと思っています。
【本紙】 すばらしいですね。では、お友達をご紹介下さい。
【馬場】 SFC薬局の関谷陽子さんをご紹介します。
【本紙】 ありがとうございました。さらなるご活躍を祈念します。(馬場さんはとても明るく患者さんやスタッフとのコミュニケーション豊かな環境づくりをされていました。高齢化が進む時代、地域の人たちの健康維持、増進に期待される整骨院でした。)