タウンプレスよみうり

読売センター幸手が隔週で発行している地域ミニコミ紙「タウンプレスよみうり」の内容をご紹介

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友達の輪498号(2015年1月10日発行) 
高柳歯科医院歯学博士 高柳 篤史さんへ

新年明けましておめでとうございます。2016年が華々しくスタートしましたが、皆さまにとって素晴らしい一年になることをお祈りいたします。さて、本年トップの友達の輪は管理薬剤師の関谷陽子さんからご紹介いただいた高柳篤史さんです。高柳さんは歯科医師で2001年にはお父様にも取材させていただき親子にわたる友達の輪になります。

【本紙】 ずっと歯医者さんの家系だったわけですか。

【高柳】(敬称略)  昭和7年の祖父の時代に開業しましたので、私で3代目になります。今年で開業して84年目になりますね。また、妹が歯列矯正の専門医で、高柳歯科医院の2Fでさくら矯正歯科を開業しています。私が子供の頃は非常に歯医者が少なかったですね。小学生のころには、夕方、妹と家の前で遊んでいると、すでに患者さんが翌日の順番をとるために来られて、一晩中並んでいるような状況だったのを覚えています。父もそうだったと思うのですが「歯医者になりたいからなる」というよりも自然の流れのなかで歯医者になりました。私は、歯科大学を卒業後は川崎市で勤務医になりました。そのころは、虫歯や歯周病で痛みがあったり、腫れるなど、口の中に困りごとを抱えて受診される方が多く、朝から途切れることなく、そのような患者さんが来院されました。そして診療を何年かやっていると、いつか治療に来た人がまた、別の歯が虫歯になって来院されるわけです。患者さんにとっても、歯医者に行くと、歯を削られたり抜かれたりと、できれば行きたくない所であったでしょうし、歯を守ることを職としている歯科医にとっても、歯を削ったり、抜いたりすることはとても悲しいことです。歯科医になって3年目くらいのときに虫歯になった歯を削って詰めるのではなく、虫歯になる前になんとかできないか、と考えるようになりました。ある意味ではこれが今の原点となっているように思えます。虫歯にならないためにはどうしたらいいのか、ということですよね。それで、勤務医を辞めて歯科大の研究室に戻り、大学院で衛生学を専攻して大学院を卒業したあとに、予防歯科学や口腔衛生学の研究をするようになりました。

【本紙】 大学院ですか?

治療から予防へ

友達の輪写真

【高柳】 昔は悪化して痛くならないと治療にかからないという状況でした。これは、「歯医者は怖い」、「できれば、歯医者にはいきたくない」と思うのは当然のことです。今は予防ということで、虫歯が出来きて痛くなる前から定期的に歯科医院を受診されてケアを受ける方が少しずつ増えてきました。定期健診では、普段の歯みがきでは落としきれない歯垢や歯石をとったり、虫歯予防の薬を歯にぬったりします。歯医者に行ってさっぱりと気持ちよくなるような感じで、定期健診を受けていただけたらと思います。また、虫歯や歯周病の予防には日常の歯みがきも大切なので、歯みがきのアドバイスも行います。以前は、小さな歯ブラシを使って時間をかけて丁寧に歯を磨くようにお話しして、定期健診の度に、「ここが磨けていない」と指摘をして一生懸命に歯を磨くことを求めていたことが多々ありました。でも、実際には誰もが歯科の専門家のように綺麗に磨けるわけではないのです。毎日のことですので、一生懸命に歯を磨くのではなく、楽しく歯を磨くということが大事なのです。そのため、歯科医からも、毎日の歯みがきを楽しく続けるための提案が大切だと思っています。やはり誰もが小さい歯ブラシで細かく綺麗に磨けるというわけでもありません。細かいところを綺麗に磨くというのも大事ですが、誰でも気楽に磨けるような道具というのも必要です。毎日、2回も3回も磨いているにも関わらず虫歯があったり、8割が歯周病と言われているのが現状です。忙しくて長時間、細かく歯を磨ける時間のない人が、細かい作業のいる小さい歯ブラシを使っても磨けるわけがないのです。歯ブラシの指導をしても、最初の頃はきちんとできるのですが、時間が経っていくにつれて丁寧さが欠けていってしまうのは、「時間がない、忙しい」ということも相まって、仕方のないことだとも思います。そこで、その人に磨き方や口の中の状態にあった歯ブラシを提案するということをひとつの方法として取り組んでいます。

【本紙】 歯ブラシの提案ですか?

歯ブラシのソムリエ

【高柳】 歯ブラシのソムリエとしてNHKテレビでも紹介していただきました。待合室にも多くの歯ブラシを展示して、患者さんに道具に興味を持って見てもらえるようにしています。歯ブラシも経験的にあれがいいというのではなくて、科学的根拠のあるものを選ぶようにするのがいいと思います。ある歯ブラシがどういう特性があるのかとか、どのくらいまでの細部到達性があり、そのなかでどれくらいの清掃効率があるのかとかですね。平らのところは虫歯になりにくくて、溝や歯と歯の間などから虫歯になっていくわけですので、そういうところを磨かないといけないのです。大きな歯ブラシを使うと細かいところに入りにくいけれど、広い範囲を効率的に磨けます。細い歯ブラシを使うと細かいところが綺麗に磨けるけれど、非効率的と相反する関係です。それぞれの磨き方に向いた歯ブラシを薦めたり、もっと磨いてもらいたい部分に特化した歯ブラシを選ぶことが大切です。ドラッグストアには、多種多様な歯ブラシが市販されていますが、自分にあった歯ブラシを選択するのは容易ではありません。そのため、定期健診で受診されたときには、口の中の状態や日常の歯ブラシの仕方や好みなどから個々の患者さんに適した歯ブラシを選択するようにしています。

【本紙】 歯ブラシの選び方。

友達の輪写真

人生を豊かに

【高柳】 定期健診の時には、日常の歯みがきへのアドバイスとともに、毎日の歯みがきだけでは、落としきれない汚れなどを奇麗にしたりするのですが、予防処置や治療を一度、受けたからといって生涯の歯の健康が保てるものではありません。予防は、生涯にわたって健康を保つことですので、私は、一人の歯科医として、できるだけ多くの方と生涯のお付き合いができたらと思っています。その中で、地域の方々と健康の価値を分かち合えることができたらと考えます。近年、歯の健康が糖尿病など、さまざまな全身の病気と関係することが指摘されるようになり、口の健康を保つことが、全身の健康とも密接に関係していることが明らかになってきています。また、超高齢社会を迎え、歯科医院に通院することが困難な方も徐々に増えてきております。今後は、そのような方々にも一生涯、食生活を楽しむことができるように、地域の中で、他の医療職や介護職のみなさんとも連携をとって、多くの方のお口の健康を支援できたらと考えています。

【本紙】 定期健診と日頃のケアが大事ですね。では、お友達をご紹介ください。

【高柳】 幸手中学校で体育教師をしている白田英雄先生を紹介します。ソフトテニスでとても有名な先生です。

【本紙】 ありがとうございました。さらなるご活躍を祈念します。(高柳先生はとてもお忙しく、在院されるのは週に二日程度で、それ以外は企業の研究所で歯ブラシや歯磨き剤の研究開発や、複数の歯科大学や歯科衛生士の学校で講師をされ、歯科専門誌への執筆に歯科衛生士を集めての勉強会と、趣味の登山もなかなかできないと苦笑いされていました。)