友達の輪506号(2016年7月24日発行)
ウィーン国立音楽大学 ピアニスト・ピアノ教師 中山 瞳さんへ
暑い日が続きますね。異常気象と言われた梅雨も明け、まさに猛暑到来です。水分補給を忘れずに暑い夏を乗り切りましょう。さて、本日の「友達の輪」にはさってアフタースクール講師の加藤史子さんからご紹介いただきましたピアニストの中山 瞳さんに登場いただきます。中山さんは現在オ-ストリアに留学中です。留学先にメール取材をさせていただきました。
【本紙】 加藤さんからオーストリアに留学中のお友達ということで中山さんをご紹介いただきました。帰国されるのが発行日直前と伺いましたので、先行してメール取材をさせていただきます。よろしくお願いいたします。現在はオーストリアのどちらにいらっしゃるのですか?
【中山】(敬称略) 現在はオーストリアのウィーン国立音楽大学に留学中です。ウィーンは音楽の都としてとても有名な観光地で、時間の流れがとてもゆったりした街です。音楽の都ということだけあって、世界中から一流の音楽家が集まり、たくさんのコンサートが行われています。日本よりもずっと安くチケットも手に入るので、学生にとってはありがたいですし、立ち見の席でジーンズなどのラフな格好で楽しめるのも魅力的です。ウィーンの大学では、ピアノのレッスンを中心に、他の音楽に関する授業、例えば音響学などを勉強しています。そして学生であってもコンサートに出られるチャンスがとても多いので、常に本番に向けて練習している日々です。
【本紙】 留学されたきっかけなどあるのですか?
先生との出会い
【中山】 ピアノを始めたのは4歳で、叔母が使わなくなったピアノを譲ってくれたことがきっかけです。漠然とピアニストになりたいという夢が小さい頃からずっとあったのですが、本格的に音楽の道に進むということがどういうことなのか、知識ゼロの状態でした。夢を実現するために音楽高校、音楽大学に進もうと決め、本格的な勉強が始まりました。新しい先生になり、練習方法や音楽に対する考え方もどんどん変わっていきました。のちに東京芸術大学に入学することができましたが、入ってからが本当の試練でした。周りのレベルの高さに自信を無くしてしまったのです。周りを気にせずマイペースで行くと決め、そうやって地道に勉強していたら自然とスランプから抜け出せました。大学3年の時ウィーンの講習会に参加し、今の恩師に出会いました。先生のレッスンはあまりに素晴らしく、この人に習いたいなと漠然と思っていました。経済的にとても厳しかったのですが、日本で受けたコンクールで賞金をいただき、2年後にもう一度ウィーンの講習会を受けに行くことができました。そこで先生から「ウィーンで一緒に勉強しないか?」と言ってくださり、両親に相談して兄の手助けもあって、留学することができました。家族には本当に無理をさせてしまいましたが、心から感謝しています。ウィーンでの経験は私を変えてくれました。幼い頃からの音楽の都であるウィーンへの憧れが実際のものとなりました。
【本紙】 留学中での思い出などご紹介いただけますか?
言葉を乗り越え
【中山】 中山 留学して4年になりますが、たくさんの思い出があります。ウィーンは音楽がとても身近で、音楽家に対して温かい国だなと思いました。また趣味で楽器を演奏する方がたくさんいることも素敵なことですね。大学に行きはじめた時は、授業でドイツ語が全然聞き取れなくて大変でした。とにかく言葉の苦労が多かったです。それでもアジア人同士は性格的に特に仲良くなりやすかったですね。4年前にオーストリアでマスタークラスに参加しました。その時に賞をいただき、国営放送局で受賞者コンサートが行われ放送されました。それを日本にいる家族がインターネットを通じて聴くことができ(夜中でしたが)、とても喜んでくれました。そしてコンクールでの経験もとても大きなものとなりました。留学2年目で挑戦した「ブラームス国際コンクール」で2位という結果を出せた時は素直に嬉しかったです。こちらではコンサートやコンクールなどに出ると、終わった後に観客の方が感想をダイレクトに伝えてくれるので、それは心の支えになりました。あとは、いろいろな国の人と出会って、一緒に演奏した思い出は宝物です。たとえ言葉がつたなくても、音楽で会話ができるというのは本当だなと実感しました。
【本紙】 帰国後は日本でどんな活動をされるのでしょうか?また、音楽以外の趣味とかありますか?
帰国後の活動
【中山】 10月からは日本に拠点を移してコンサートをしたり、ピアノ教師として活動していく予定です。今後は、今までインプットしたものをアウトプットしたいなと思っています。教えることも大好きなので、音楽の楽しさを本当に伝えられる先生になりたいです。演奏する機会もどんどん増えて来たので、一つ一つの本番を大事に、初心を忘れずに成長できたらなと思っています。ピアニストとしていろいろな土地へ演奏しに行き、それを通してたくさんの人に出会いたいです。学校や病院や老人ホームなどでも演奏できたら嬉しいですね。そして、音を楽しむということを一番に生徒に伝えられたらと思います。「将来自分の生徒と一緒にコンサートを開く」というのが私の大きな夢です。音楽以外の趣味は、散歩をすること。ウィーンはとにかく街が綺麗で、公園もたくさんあるので、天気が良いとよく散歩に行きました。自然が好きなので、よく家の近くの丘を散歩していました。あとは、裁縫をしたり、絵を書いたりもします。また、お笑い番組などをダラダラ見たりすることも好きです。(笑)何も考えない時間も、私にとってはすごく大切です。
【本紙】 では、お友達をご紹介ください。
【中山】 高校大学の先輩でソプラノ歌手の益田早織さんをご紹介いたします。
【本紙】ありがとうございました。帰国後のご活躍を祈念いたします。(中山さんは帰国後の活動として、2016年7月30日(土)の午後2時半開演で、東京都調布市の仙川フィックスホールにて、ヴァイオリンとのデュオコンサートをするそうです。また、2016年8月20日には中山さんの母校でもある大宮光陵高校管弦楽団定期演奏会で、ラヴェルのピアノ協奏曲を演奏します。お時間のある方にはぜひお越し下さいとの事です。詳しくはホームページでhttp://hitominakayama910.wix.com/piano )