タウンプレスよみうり

読売センター幸手が隔週で発行している地域ミニコミ紙「タウンプレスよみうり」の内容をご紹介

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友達の輪523号(2017年4月2日発行) 
埼玉県認証エコファーマー新井農園 新井 恵司さんへ

桜満開の季節ですね。権現堂や日光街道幸手宿にも多くの人たちが訪れて活気があふれています。さて、本日の友達の輪は関進さんにご紹介いただいた新井農園の新井恵司さんに登場いただきます。

【本紙】 代々農業をされているそうですね。主なものはお米ですか?

【新井】(敬称略) ここ槙野地は昔、豊岡村でしたが合併で杉戸と幸手に分かれました。水源も豊富で高台になっておりカスリン台風のときも被害はありませんでした。また、縄文か弥生時代の住居跡が見つかったり、鎌倉時代から戦国時代の間に作られた板石塔婆という墓石のようなものも発見されています。おそらく昔から多くの人々が生活していた場所なのでしょう。当家は代々この地で農業を続けており、私で13代目になるようです。ですから、子供の頃からずっとお米作りを見てきましたので後を継がなければと思っていました。しかし、農業だけでは厳しいので、農業に関係している種苗会社に勤めながらの兼業農家をしています。入社の際に「農家なので田植えなどには休ませて頂きます」と事前にお願いしました。種苗会社ということで理解もいただきありがたかったです。おかげさまで35年程勤務させていただき、今年60歳で定年退職を迎え、現在は雇用延長で続けさせていただいています。

【本紙】 エコ栽培などこだわりがあるようですね。

こだわり野菜友達の輪写真

【新井】 当園の趣旨はこだわった野菜の品種紹介や、新野菜や新品種などの品種比較試験を行ったり、とことんこだわった野菜作りです。栽培している野菜は、春で15品目、秋は25品目前後で30品目作ることもあります。最近では新野菜として、ブロッコリーとケールから誕生した野菜も人気です。エコ栽培は県知事の認可で土作りから始める栽培です。化学肥料を半分以下に抑え、有機肥料などで土を作り栽培申請を出します。そして土壌診断などを受けて認可されます。どういう農業をしたいかにもよりますが、私の場合は環境に優しい農業です。あまり手を加えずに、自然に野菜を育てたいと思っています。そうすれば必ず美味しい野菜が出来ると思っていますから、そういう環境を整えてあげる事が必要です。しかし、野菜作りは経験が豊富でも気象条件が左右します。同じ3月でも、今年と去年では天候はもちろん、気温もまったく同じではありません。発育が悪かったり、収穫が出来なかったり、天候の影響を受けやすく苦労も多いです。

【本紙】 どこに出荷しているのですか?

レストラン直送

【新井】 さくらファーム等の直売所です。また、土曜日だけですが都内のレストランに納品しています。私の夢のひとつが「栽培して食べてもらうまで関わること」で、平成24年頃からレストランに野菜の営業を行いました。最初の納品は本当に嬉しかったです。自分の作ったものを伝えること、それを消費者の方に食べてもらうことも出来て感動しました。レストランでも生産者の顔が見える野菜を求めていて「収穫・埼玉県新井農園」と看板に記していただきました。私たちからも「こんな野菜が出来ました。こんな野菜は使えますか」と提案も出来ます。お客さんの反応も逐次聞けますので、色々と参考になることも多いです。そして何より自分の励みになるのです。安全や安心や新鮮も言われますが、栽培しているポリシーを伝え、自然の中で作る野菜が体にもいいし、スーパーで売っているのもいいけど、それとは違う良さというものを知ってほしいと思います。そういうことを伝えたいというのも夢のひとつです。ですから、幸手に直売所が出来たときは本当に嬉しかったですね。幸手市内でも以前はイタリアンレストランに納品していました。

【本紙】 これからやりたい事や夢などありますか?

美味しい野菜をつくる会

友達の輪写真

【新井】 この地域には定年退職をした方たちや土に触れたい方たちなど、たくさんの方たちが畑を借りて農作業をしています。そういう方たちに声をかけて「お互いに情報交換をしませんか」と提案して「美味しい野菜を作る会」という会を平成26年に作りました。私ともう一人の方は農家出身ですが、他の方はまったく農作業をやったことのない人ばかりです。そういう人たちに仕事柄、力になってあげたい、という思いがありました。おこがましいところもありますが、色々な経験をしてきましたから、そこで学んだ知識や知恵を教えることは出来ると思ったのです。特に日時を決めたりはしていませんが、そのときそのときで、飲みに行ったり視察や研修に行ったりしています。会の一人はもう8年くらいになりますが、定年退職後、最初の数年は趣味でしたが、現在は本業になりました。自分で作って食べるだけならいいのですが、本業として利益を出そうと思うと栽培ノウハウも必要です。そういったことも農業をやっていた者の務めだと思います。夢というほどのものじゃありませんが、同じ思いを持つもの同士や、同じ世代同士でなにかやれたらと思います。農業はイメージ的にも黙々とやっているところがあるかもしれませんが、それで終わってしまう人生って面白くないですよね。色んなことを色んな人と会って話して、こんな野菜はどう?こんな野菜を作った、とかそういうことをやっていければと思います。それと同時に、他にあまり売っていないような差別化された野菜を色んなところで発信していければとも思います。

【本紙】 「美味しい野菜を作る会」で作った野菜を出しているレストランに、行列が出来ていたらうれしいですね。

ここにしかない野菜

【新井】 そうですね。会のみんなと自分たちで作った野菜を、直接自分たちで売れる場があればいいな、という話もたまにします。夢のまた夢ですけどね。(笑)また、さくらファームを活性化させるために色んな提案もしたいと思っています。赤ネギを作ったらどうか、と提案したこともありました。ブロッコリーがない時期や玉ねぎがない時期に、それらを作ったらどうか、という提案もさせてもらったこともあります。幸手のあそこにしかない何かを私が作ってみたいとも思います。これも夢ですね。

【本紙】 ありがとうございました。では、お友達をご紹介ください。

【新井】 イタリアンレストランの元オーナーシェフで当園の野菜を仕入れていただいた栗原重雄さんをご紹介します。

【本紙】 ありがとうございました。美味しい野菜をたくさん作って下さいね。(新井さんはJA埼玉みずほ農協直売所生産者協議会の副会長も務めているそうです。とても60歳に見えない若さで、若さの秘訣は美味しい野菜かなと思わせてくれました。小学4年生と1年生のお孫さんたちが一緒に野菜を収穫したり、種を蒔いたりしてくれるそうで、出荷の時は袋詰めも手伝ってくれるんです。と笑顔でお話し下さいました。)