友達の輪542号(2018年1月21日発行)
焼き立て手作りパンなかぱん 店長 工藤 広志さんへ
さて、本日の友達の輪は麺屋葵の平野栄太さんからご紹介いただいた工藤広志さんに登場いただきます。工藤さんは幸手駅前通りで「なかぱん」というパン屋さんを開いています。
【本紙】 麺屋 葵さんからご紹介いただきました。「なかぱん」という名は由来があるのですか?
【工藤】(妻)(敬称略) 去年の幸手さくらまつりで、さくらファーム内のイベントに出店したのですが、その時「麺屋 葵」さんも出店されていて、私たちの近くのブースだった事もあり、いろいろお話して知り合いになりました。お店のオープンは2016年12月3日になります。地域の人に覚えてもらえるような名前にしようと、中2丁目にあるパン屋ということで「なかぱん」にしました。
【本紙】 ずっとパン屋をやってこられたのですか?
【工藤】 そうですね。実家は、私が9歳くらいの頃、父が創業したパン屋です。幼い頃から父の仕事を見たり手伝ったりしていましたので、いつかはパン屋として独立したいという思いもありました。高校を卒業してから、いくつかのパン屋さんに勤め、最終的に実家に入りました。ですから、ずっとこの世界でやってきています。兄がいるのですが、兄も同業で実家のパン屋に戻ってきましたので、そのタイミングで私が実家を出て自分でお店を持ちました。妻が幸手出身なもので、幸手に住まいを買ったこともあり幸手にお店を出したのです。妻の知り合いもいますので、よく来てくれて嬉しいですね。
【本紙】 独立は夢でしたか?こちらではどのようなパンを扱っていますか?
業界人の終着点
【工藤】 夢といいますか、大手はまた違うと思いますけど、この業界にいる人はそこが終着点になると思います。自分で店を持つか、実家を継ぐかという選択になると思います。当店は「昔ながらのパン屋さん」と考えていただければと思います。ですから、食パンからドーナツ、菓子パン、デニッシュ、サンドイッチなどひととおり扱っています。種類ですと約50種類くらいですね。時間でなにを焼くか、というのはだいたい決まっています。パン屋さんは朝が早いというイメージがありますが、私も朝4時にはお店に来ています。それから7時30分に開店しますが、午前中はほとんど焼いている状態ですね。私が主に焼きをやって、妻が販売とサンドイッチを担当しています。夜6時30分までお店を開けていますが、それから仕込み等の準備をしますので仕事を終えて休むのは11時とかになりますね。
【本紙】 朝焼いたパンを7時半に買えるのですね。「なかぱん」さんのお薦めパン等ありますか?また、こんなお店にしてみたい、という目標などはありますか?
【工藤】 そうですね。すべてお薦めしたいのですが、あえて言うなら、レーズンブレッドですね。当店ではどっさりレーズン(税別380円)という名前で販売していますが、他のパンよりレーズンをたっぷり入れています。通常のレーズンパンの相場よりはやや高めですが、レーズンが好きな人にはご好評をいただいています。お店の目標ですか、いまでもそうですが、お年寄りから子ども達まで喜んでもらえるようなお店にしたいというのはあります。いまは硬めのパンが非常に多くなっています。もちろん、それも美味しいというのは分かるのですが、あごが弱っていると食べにくいですし、苦手という方もいらっしゃると思うのです。それで、クリームパンやコロネなどの柔らかいパンを売っていきたいですね。素材自体に手間暇をかけて作っていきたいとも思います。自前で作れない素材も厳選して仕入先の商品の中でもトップクラスのものを選ぶようにしています。いま、幸手のローズハウスさんで米粉を作っているのですが、それを卸してもらい横山製餡所さんの餡子を使って、幸手で仕入れたものだけで作ったパンを製作しようと準備しています。幸手の桜も後2カ月あまりでにぎやかになりますが、桜の季節には幸手素材の「桜あんぱん」を出す予定です。新製品などの商品開発は楽しいのですが、アイディアに詰まったりしています。そんな時はいろんなものを見たり、人から聞いたり、妻からの助言が役に立ちますね。
【本紙】 職人と経営者という部分もありますね。パンは店頭販売だけですか?
【工藤】 経営というところは頭が痛い部分ですね。実家にいたころでも、帳簿は一切触らず税理士さんに丸投げしていましたから。いまはほとんどを自分でやりつつ、商工会に少し手伝ってもらっている状況ですが、思った以上に大変です。パンは店頭販売が中心で、卸しは考えていきたいと思っています。ただ、市役所やウエルスなどで曜日限定での出張販売はしています。また、昼食の配達という形で商工会と武蔵野銀行さんに届けたりもしています。これらは商工会からの提案でした。実はオープンしてしばらくは全然売れなくて、商工会に色々と相談していたのです。そこで、こういうアイディアがあるよ、とか、こういうことも出来るよと教えていただき、話が膨らんでいって色々とやってきた結果です。商工会の人に紹介していただき私自ら営業させていただきました。市役所には自分から直接話をしにいきました。職人でもありますが経営者として生活もかかっていますから、それなりに必死にはなりました。しかし、出張販売というのはすごい労力がいるのです。出来れば配達とお店だけでやっていければと思っています。
【本紙】 終着点ということでお店を持たれたわけですが、今後やりたいことなどはありますか?
【工藤】 お店を持って一年以上続けて来て、なかなか厳しいというのが現実ですね。お客さんからは「美味しい」という評判をいただいていますが、ここは駅前通りではあるのですが、人通りが少ないのです。特に売りたいと思っていた土日は、さらに人が減ってしまい平日と変わらない状況です。いまは久喜方面の情報誌にも広告を載せてそれを見た人が来てくれています。ですから、次になにかをやるのであれば、まずはお店を軌道に乗せて、生活を安定させてからになりますね。地盤がしっかりとすれば気持ちにも余裕が出ますから、そうしたら次に移行しようかと思います。実は妻が元々、和裁士なんです。服飾系の高校を出て、和裁の道に進んだのです。せっかくなので、それを活用して人通りの少ない日曜と月曜を連休にして、どちらかで和裁の教室をやってみようかという考えもあります。
【工藤】(妻) 何人かの常連さんにお話しをしてみたら、作り方というよりも、縫い方を知りたいという方もいらっしゃるのです。また、裁縫が苦手で一から教えてもらいたいという人もいらっしゃいました。地域のお役にも立てるかなとも考えています。
【本紙】 駅前通りの活性化は市民にとっても期待される所ですね。では、お友達をご紹介ください。
【工藤】(妻) 私の同級生で、鰻の老舗「義語家」の 小林麻美子さんをご紹介します。
【本紙】 ありがとうございました。おいしいパンをこれからもお作り下さい。益々のご繁栄を祈念いたします。
焼き立て手作りパンなかぱん幸手市中2-8-41
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