友達の輪561号(2018年11月4日発行)
谷野ロジテム株式会社
代表取締役 谷野 隆彦さんへ
常務取締役 谷野 友昭さんへ
【本紙】 創業は三重の松阪だそうですね。創業されて何年になりますか?
【谷野隆彦(以下隆彦)】(敬称略) 創業70年になります。私の父が大阪の物流業者に勤めていたのですが、カネボウの淀川工場の工場長に仕事ぶりを認めていただいて、自分の店を持てと言ってくれたんです。その工場長が転勤で松阪に行くというので、一緒についていったそうです。それで、松阪で起業してカネボウの物流の荷分けなどの構内作業をやっていました。工場長の声掛けがなかったらいまの状態もなかったでしょうし、自惚れるわけではありませんが、父は声を掛けていただけるだけの仕事をしていたのだと思います。
【本紙】 関東に来たのには理由があるのですか?
【隆彦】 カネボウさんの業績があまりよくなくて、役員さんから将来のためにも土地と倉庫を探して自社物件としたほうがいいと示唆されたのです。それで、関東エリア限定でしたが、本気になって探し始めました。最初は埼玉の八潮に土地を見つけました。800坪でいまのところと同じ値段でした。現在のところは3500坪ありました。準工業地域になっていましたが、念のために当時の村長にも確認した上で五霞のほうにしようと私が提案したのです。昭和45年のことです。カネボウさんからは2000坪の倉庫でいいと言われていました。最初は1080坪で倉庫を建てたのですが、もっと大きくした方がいいのではないか、と感じて最終的に2700坪の倉庫を建てたのです。当時の写真も残っていますが、加藤製作所さん、日本ソーイングさん、東洋工芸さんくらいしかなかったです。それから共同印刷さんや新潮社さんが出来て徐々に工業団地が開発されていったという具合ですね。
【本紙】 物流拠点としてカネボウ以外は取引されなかったのですか?また、カネボウ以外も取り扱うようになったのは?
【隆彦】 扱わなかったです。父の遺言といいますか、遺志のようなものもありましたから。父はカネボウにかなりの恩義を感じていましたし、そちらに足を向けて寝なかったくらいです。私は儲け思考のところがありましたので、父と経営でぶつかり、よく怒られました。
【谷野友昭(以下友昭】社員もいますし、養わないといけません。そのためには利益を出さないと駄目ですから、カネボウ以外とも付き合うべきだと私は考えていたのです。でも、父はカネボウへの恩義もありますし、カネボウの言うことを聞いていればいい、という感じで平行線ですよね。ただ、父の考え方も間違いではないので、分かる気はしました。それにカネボウからすると当社は条件のいい取引相手ですよね。ですから父はカネボウから人気がありました。その跡を継いだ私はそんなに人気はなかったですね。(笑)しかし、そのカネボウが2008年に倒産したのです。谷野運輸としては激震でした。なんとか自社物件として倉庫を建てていたおかげで今もやっていけているという感じです。これもカネボウのおかげです。当時、200名くらい社員がいましたが、カネボウの事実上の倒産を期に、うちの物流管理の仕事は終わりました。そして、倉庫を貸す方にしたわけです。
【本紙】大変な転換でしたね。
激震を乗り越えて
【友昭】 私も高校から会社でアルバイトをさせてもらっていましたし、自然と仕事の中に馴染んでいました。当時から一生、カネボウにお世話になると思っていたのですが、こういうことになって諸行無常の世界だなあと思うようにもなりましたね。私もずっと物流技術管理士として現場作業をやっていたのですが、それが一気になくなるわけじゃないですか。かなり辛かったですね。人はいなくなる、ずっとカネボウ商品で倉庫が一杯だったのが徐々になくなっていって、最終的に商品全てがなくなってしまい、それを目の前でずっと見ていたわけですから、思い出したくないくらいに辛いことでした。気持ちとしても、体としても路頭に迷うとはこういうことだと感じました。これから「なにをやっていけばいいのか?」という気持ちが強く出ましたね。今までは色々な品物を管理したり、どうすれば効率が良くなるのか、ということばかりを考えていたのが、物流技術管理士の肩書きも不要な仕事になってしまいました。そんなときに友人の中田盛夫さんから青年会議所(JC)というものがあると声をかけられたのです。私はずっと物流業界にいて、そういうものがあるということもまったく知りませんでした。それと2011年の大震災の経験から自分の中でボランティアのスイッチが入ったのです。タイミングをあわせるかのように小学校のPTA本部役員にもなりボランティア活動をやるようになったのです。そこで、人に認められるとか、人の為になるという世界を見ることができました。今までは物流という中で、自分のやるべきことをやっていればいい、という世界にいましたから、その違いによって自分の居場所というものが分かったような気がしました。
【本紙】 居場所は大切ですね。お二人のご趣味などは?
【隆彦】 商売にも通じるかもしれませんが、自分の予想や勘が求められるという意味で競馬が好きですね。今年は1月に3万円からスタートして、今までずっとそれだけで楽しんでいますよ。
【友昭】 私は幸手の野球リーグに入って、野球をやっています。あとは旅行ですね。子供たちもついてこなくなったので、妻と一緒に御朱印を集めています。四国の金比羅山からスタートして、現在5~6冊目ですね。最初は興味はなく、なんとなく金比羅山で御朱印を戴き数年間放置していましたが、御朱印ブームが来て持っていたことを思い出して再開したのです。本腰を入ると貯まりますし癖になります。(笑)また、娘が高1で花咲徳栄の吹奏楽でトランペットをやっています。今年の夏は、父は孫、私は娘の活躍を観に家族で甲子園に行きました。父は娘の面倒をよく看てくれます。
【本紙】 三世代で楽しそうですね。では、お友達をご紹介ください。
【友昭】 青年会議所に声をかけてくれた中田盛夫さんを紹介します。
【本紙】 ありがとうございました。さらなる地域貢献活動にご尽力下さい。(友昭さんはPTAの他倫理法人会の役員などもされており、地域貢献活動を楽しんでいるようです)
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谷野ロジテム株式会社
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