友達の輪567号(2019年2月3日発行)
大村庵紀ノ川 二代目 太田 真宏さんへ
【本紙】 大村庵の2代目だそうですが、いつ頃継がれたのですか?
【太田】(敬称略) 引き継いだのは2年前です。大村庵は昭和53年2月に父が創業しました。修行先より暖簾分けをしてもらい幸手に店を構えました。修行先は新宿にある大村庵総本店で2年務めた後、大宮氷川神社の大村庵に9年務めていました。大村庵というお店は暖簾分けという形で関東近辺にあります。当店は比較的古いほうで、昨年開業40周年を迎え、春夏秋冬の季節限定メニューを考案させて頂きました。
【本紙】 跡を継ごうと思ったのはいつですか?
【太田】 大学在学中の就職活動の頃ですね。海外を飛び回るような仕事をしたいと思っていました。漠然としたものであったのですが、家業はずっと家にいる仕事なので、それとは違うことをしたいと思っていたのかもしれません。学生時代に日本一周をしたり、海外にも一人で行ったりしていました。でも、長男でもあり昔から「跡継ぎだ」と周りから言われたりしたこともあって、少なからず跡を継ぐということを意識していたのかもしれません。また、兄弟で家業を継ぐことで揉めることはしたくないと思い、長男の私が、継ぐという決意を固めました。三男も少しあったようですが、次男と私は料理に惹かれるものがあったのだと思います。父親の影響もあるでしょうし、蕎麦だけでなく、それ以外の宴会やカウンターキッチンなど試行錯誤された料理に魅了されていたのだと思います。もともと次男は料理の世界に興味があったようで、今は大宮吉野町で割烹料理屋を経営しています。
【本紙】 家業に入る前は何かされていたのですか?
兄弟で料理の世
【太田】 家業を継ぐ前は居酒屋や料理屋で働いていました。そこで働いていた人が独立をするということで一緒にやらないかと声をかけられたのですが、なかなか理想通りの仕事をすることができなくて、かなり厳しく散々でした。1年半ほど勤め、このままではダメだと思い、目白の古くからある老舗料理屋でお世話になりました。そこで初めて本格的日本料理に携わりました。ここは、料理を教えてもらうというより、目で見て覚えろといったところで3年お世話になりました。早く技術を身に付けたいと思っていた私は焦りもありました。何度も料理や普段の姿勢や考えを親方から学びました。その後、先に料理の世界に入っていた弟のつてで、横浜のお店を紹介してもらい、そこのお店に移りました。横浜のお店も同じ日本料理のお店で6年弱お世話になり、料理の基礎・技術はもちろんのこと対人関係など、自分のことを根本的に変えてもらいました。
【本紙】 根本的とは、具体的にどのようなところが変わりましたか。
親方の言葉で「見方」
【太田】 「他人と目線を一緒にするな」ということを教わりました。例えば、仕事上の自分の後輩に、自分が当たり前にできることを、その後輩ができなかったとしても無闇に怒ってはならないということです。「こころづかい、気配りなど、技術以外相手の技量に合わせて話をしてあげることが大切で、伝わらないから注意するのではなく、相手の目線に合わせて話をするように」ということを教わりました。未熟でした。そういう考えもあるよね、と柔軟に対応することができるようになりました。理解した頃から自分の中で色々なものの見方が変わりました。それから人間関係も考えるようになったし、実際に仕事も面白くなってきた時期でもあり、もう少し仕事を学びたいと思っていましたら、父が病気になってしまいまして、それで実家に戻ることにしました。31歳の時でしたが、そのタイミングで結婚もしました。家業を継ぐということは本当に難しいことなんだなぁとつくづく思います。戻って、覚えたての事をすぐに活かしたかったんです。初めのうちは全然両親と呼吸が合わず、色々苦労を掛けました。昔からのこの地に足をつけた商売をしていたことに気付かなかったのです。私は宴会料理や会席料理などを勉強してきたわけですけど、通常の営業をしながら宴会もやり、出前もやり、お弁当もやり、フリーのお客様の料理もお出しする。それだけ色々なことをやっていると、一つ一つ丁寧にお出しする会席のお食事では、到底間に合わず、こんなことをやりたかったのではないと自問自答ながら、何度も衝突しました。時間の経過と共に、一つ一つのお料理に最善を尽くした、地に足をつけた商売というものが少しずつ分かってきた感じですね。まだまだですが・・・
【本紙】 これからやってみたい夢などはありますか?
イメージする
【太田】 今はずっと働きっぱなしなことが多いんです。私も親もずっと働き続けるということが出来るわけありませんので、休憩や休息をうまく取れるように調整しないといけないと思っています。両親には元気なままでいてもらいたいですし、それを考えると人を雇うことも必要だし、業務体制の見直しも必要と感じています。人件費の増加は多くを掛けられない現状ありますが、その辺りを現在商工会で勉強させてもらっています。また子供も小さく、遊びたい頃なんですが、仕事で遊べず・・その辺も改善できればと思います。家内には、ずっと子供を見てもらっているので本当に感謝しています。毎日めまぐるしく時が過ぎるので5年後の目標は?10年後はこうしていたいと青写真を描いている途中です。イメージしているものを声に出していきたいです!
【本紙】 お店のおすすめなどありますか?
【太田】 当店こだわりの蕎麦・うどん・おつゆは41年磨き上げた自慢の逸品です。また、カツ丼や唐揚げも人気です。季節限定メニューで昨年3月から春の期間に好評だった「春野菜の天ざる」を少しアレンジして今年も提供したいと考えております。今の冬限定メニュー「ヘルシーハリハリ鍋」もたくさん水菜が入っていて人気です。
【本紙】 お腹が減ってきました。では、お友達をご紹介ください。
【太田】 横山製餡所の小島正貴さんを紹介します。
【本紙】 ありがとうございました。春ももうすぐ、桜の時期には、季節限定メニューも楽しみですね。(太田さんはハッピーグルメパスポートの担当をされているそうです。3月22日(金)発売で4月1日~6月30日の期間、市内36店舗の飲食店・販売店でお得に使えるパスポートだそうです。若い感覚でチャレンジする姿は2代目としても頼もしいですね。)
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