友達の輪573号(2019年5月26日発行)
幸手市 社会教育課社会教育指導員 藤井 健治さんへ
【本紙】 藤井さんは元学校長ですが、サッカーに長く関わっていますね。
【藤井】(敬称略) そうですね。中学時代からサッカーに夢中でしたね。当時はJリーグがなく、日本リーグと呼ばれていましたが、サッカー雑誌に「日本リーグに入るにはどうしたらいいですか?」と投書したことがあります。誌面に掲載された回答は「まだ中学生なんだから、まずは勉強をしなさい」というものでした。日本リーグに憧れはあったと思います。そして、高校時代はサッカーばっかりで365日サッカー漬けでした。全国大会優勝もしている武南高校で、キャプテンもやっていました。当時の部員は60名くらいいましたが、武南には地元でサッカー強豪校の大原中から選手が一斉に入ってきます。大原中は中学サッカーの全国大会で優勝したこともあるチームです。私は幸手中から進学したのですが、大原中の選手とは実力にレベル差があって、追いつこうと必死だった覚えがあります。大原中の選手らを10とすると、私は6とか5という感じで、レギュラーになったのは3年の春でした。私の在籍中の成績は県でベスト4でした。
【本紙】 憧れの選手などは?卒業後もサッカーは続けたのですか?
出会いと学び
【藤井】 フランツ・ベッケンバウワーと、ベルティ・フォクツですね。両選手共に旧西ドイツの選手で、試合の際に近くまで行って握手もしたことがあります。特にベルティ・フォクツは身長がほとんど私と変わらないくらいで、それでもワールドカップで活躍できるくらいのプレイが出来るということで励みになりましたね。サッカーは大学でも町田市の鶴川にある合宿所でやっていました。私のひとつ下に、アテネオリンピックの代表監督を務めた山本昌邦さんもいて、1年間寝食を共にしました。大学4年のときには、東京医科大のサッカー部のコーチを頼まれ務めたこともあります。医学部の学生が弱いから、ということで先方の大学の先生から私に依頼があったのです。週に2回ほどでしたが、サッカーが好きな人達ばかりで楽しかったです。その中に関純さんという方がいまして、のちに鹿島アントラーズのチームドクターになり、日本代表のチームドクターまで務めました。また、全日本少年サッカー大会で準優勝をしたチームにもコーチとして行きましたが、残念ながら決勝で負けてしまいました。大学までのサッカー人生では多くの友人を育み貴重な経験をさせていただきました。のちに先生になる上で役に立つことばかりです。
【本紙】 卒業後、教員の道を選んだのですね。
サッカー先生
【藤井】 最初は臨時採用教員でしたから、吉田第二小、幸手東小、幸手小、春日部の谷中小と3ヶ月毎に異動していました。幸手西中に着任したときには、子供にも恵まれ、平成4年度学校総合体育大会で、埼玉県で準優勝。県民総合体育大会では優勝をすることも出来、当時の選手をJリーグにも送りました。それから定年まで勤め、最後は校長までやらせていただきました。とはいえ、若い時期はサッカーに全て使ってしまった感じもありますね。県に出向したときも2002年ワールドカップ記念事業の一環で、国際ジュニアサッカー大会を担当しました。現在は名称が変わって、国際サッカーフィスティバルとなっています。今でもサッカーには関わっています。幸手市サッカー協会の副会長をやらせていただいているのですが、中学校のサッカー大会を盛り上げようということで、僭越ですが藤井健治という名前から、フジケンカップというものを去年の8月に立ち上げました。中学校のサッカーはあまり強くなく、ほとんどがクラブチームに取られてしまいます。また、中学校は中学校、クラブチームはクラブチームで試合することが多いので、そういう枠を取り払って、交流戦のようなことも出来ればと思っています。開催範囲はいわゆる埼葛と言われるエリアです。将来的にはもっと拡大して、さいたま市からもチームを呼びたいと思っています。強いチームはもちろんですが、熱心に指導されている先生がいるチームも色々と呼び込んでいきたいですね。そして、刺激を受けて日本代表になってくれるような選手が出てくれれば最高です。
【本紙】 今はどのようなお仕事をしているのですか?
守・破・離
【藤井】 教育委員会での仕事は3日間で、残りは初任者の指導を行っています。初任者は非常にぴしっとしていて、こちらとしてもやりやすいところもありますが、本人にすれば悩みもあるでしょうし、厳しいところも、辛いところもあると思うのです。私の好きな言葉に、「守・破・離(しゅ・は・り)」という茶道や武道で使われる言葉があります。「守」はやるべき基本はきっちりとやる。「破」は自分の形や技を見につける。「離」は恩師から受けたものを自分の中で形にする。武道でも職場でも、どこでも通用する言葉だと思っています。初任者にも伝えて行きたいですね。また、「置かれた場所に咲きなさい」という言葉も好きですね。36歳という異例の若さで岡山県のノートルダム清心女子大学の学長に就任された渡辺和子さんの言葉です。若いということもあって、あまり周囲の人によく思われなかったそうですが、ある日、牧師に「置かれたところで一生懸命にやれば花が咲く」と言われたそうです。私は「置かれた場所で咲きなさい」という言葉が大好きです。私も自分の仕事に当てはめて、小学校にいたときに「あなたは与えられた場所で一生懸命にやればいい」とよく言っていました。
【本紙】 サッカー以外でのご趣味はありますか?
【藤井】 水彩画を通信教育で勉強しています。ずっとサッカーや仕事の毎日だったのですが、ふと周りの景色に目を向けてみたら凄く綺麗に見えたのです。当たり前のことですが、風景は四季折々変わっていくもので、それを絵に描いてみたいなと思ったのです。大先輩である千葉金二先生の水彩画を目にする機会もあり、自分でもやってみようと思いました。
【本紙】 充実してますね。では、お友達をご紹介ください。
【藤井】 幸手市スポ-ツ推進委員の采谷典子(うねやのりこ)さんをご紹介します。
【本紙】 ありがとうございました。フジケンカップが盛り上がると素敵ですね。(藤井さんの水彩画は通信教育で学んでいるようです。先方のコメントやアドバイスが励みになり、同時にやる気も出るそうで、「褒められると伸びる」とはそのとおりと実感されていました。)