友達の輪577号(2019年7月21日発行)
サイクルショップさかさい 坂齊康子さんへ
【本紙】 串田さんとはどのようなお知り合いでしょうか?
【坂齊】(敬称略) 最近、お店のほうを新築したのですが、それを担当していただきました。今まであった二階建ての店舗だったところが、地盤沈下で斜めになってしまったり、東日本大震災の影響でねじれてしまっていたんです。なんとか7年それで頑張ってきたんですが、そろそろ限界も近いだろうな、ということで商工会に相談したところ、白石工務店さんをご紹介いただきました。串田さんには何度も来てもらい、それからの付き合いです。
【本紙】 お店の創業は何年目になりますか?
【坂齊】 創業が1976年で、今年で43年目を迎えます。三人兄弟で長女、長男、そして次女の私が末っ子にあたりますね。私が2代目として後を継いでいます。
【本紙】 一般的には長女、長男が継ぐというイメージがありますが、その中で家業を継ごうと思ったきっかけはなんですか?
2代目として
【坂齊】 以前に見直してみた小学校の卒業文集に、将来の夢として自転車屋って書いてあったんですよ。なので、漠然とした思いはあったのだと思います。高校卒業後にイラスト関係の専門学校に進み、そのあとの就職先はすぐに駄目になってしまったんですよ。デザイナーの仕事だったんですが、自己満足の域から出る事が出来なかったんですね。それからほかでも働いていたのですが、不規則な生活、埃、ストレスなどの様々な要因が重なって、体を壊してしまったんですよ。さすがにこれ以上悪化するとまずいな、と思って仕事を辞めることにしました。それから1ヶ月くらい休んでいたのですが、うちに出入りしていたブリヂストンの営業の方に、後継者育成スクールをやる、と教えてもらったんです。働かざるもの食うべからず、ということで今まで貯めていたお金を使って、その後継者育成スクールに入りました。そこで自転車整備士などの、自転車屋を経営するのに必要な資格を取得して、改めて家を継いだ、という形ですね。
【本紙】 ご兄弟の方は家を継ぐつもりはなかったんですか?
【坂齊】 私は兄が継ぐものだとばかり思っていましたよ。直接、兄に聞いたわけではないんですが、兄は社会に出て色々と経験を積んでから家を継ぐつもりだったのではないかと思います。でも、それ以上に自分がやりたいことを見つけてしまったんでしょうね。親も親で、特に家を継げ、ということも言わなかったんですよ。姉は大学を出て、今では結婚して三重県でカフェをやっています。私自身は、継いだはいいんですが、結婚もしていませんし、もちろん子供もいません。後継者という点では今後は難しいところもあるかもしれません。あと20年、30年の間に会社組織にするなり、誰かに譲るにしても「坂齊」という自転車屋を残したいとは思っています。
命を乗せる自転車だから
【本紙】 お店にはママチャリや電動アシストの自転車以外にも、色々とあるんですね。
【坂齊】 自転車は、一般軽快車、電動アシスト車、スポーツ車などのカテゴリがあります。自転車も本来なら、きちんと体型に合わせたほうがより乗りやすくなるものなんですよ。年齢に合わせて、今まで26インチに乗っていた方なら24インチや22インチに変えたりと。クランクの長さも変わると違います。あとはサドルの高さをきちんと調整してあげれば、さらに乗りやすくなります。サドルの高さの基本の目安としては、サドルにまたがったときに爪先立ちになるくらいですね。
【本紙】 お店にあるチラシに安全講習やセミナーについて書いてありますが、どんな内容なのでしょうか?
【坂齊】 「ゆるっと」というのがありまして、お店で毎月第四金曜日に参加費無料で開催させてもらっています。自転車の安全な乗り方講座や自転車の選び方、交通ルールなどの勉強会をやっています。自転車は命を乗せる乗り物なので、大切なことを訴えて行きたいのですが、まだまだ認知度も高くないので、そういったところの宣伝も大切かもしれませんね。
【本紙】 仕事熱心ですね。ご趣味などはありますか?
絵を介したコミュニケーション
【坂齊】 ここ最近は店の建て替えなどでバタバタしてしまっているので、休日になにかやる、ということもなくなってしまっていますね。ただ、イラスト関係の専門学校に通ってはいましたので、絵を描くことは好きですね。お店のほうにも、お客さんに好きに描いていいですよ、と画用紙を置いています。多分、心理的なものもあるんでしょうね。真っ白だと描きにくいところもあると思いますので、まず自分で軽く描いておくと、あとから子供たちが色々と描いてくれるようになります。絵を介したコミュニケーションを取れたりもするので、それはそれで楽しいところもありますね。
【本紙】 新築して半年、今は趣味の時間が取れないのが悩みどころですね。
【坂齊】 そうですね。以前はイラストを描いて投稿する、ということもやっていましたが、今はもうイラストを描く時間もなくなってしまっています。でも、本を読むのも好きなところがありますので、組合の仕事で電車で移動するようなときには、よく本を読んだりしていますね。今は畠中恵さんという方が書いている「しゃばけ」というファンタジー時代小説をよく読んでいます。子供の頃から時代劇が好きで、よく見ていましたから、その頃の影響が今でも残っているのでしょうね。
【本紙】 さきほどお仕事の将来像をお聞きしましたが、直近で何か計画やご予定はありますか?
【坂齊】 6月にミックスマーケットという幸手市内のイベントに参加させていただいたのですが、今のところは特に予定などないですね。今後、お店の知名度を上げる意味でも、色々なイベントに出たいとは考えているのですが。ただ、イベントに出てもなにをやろうか、というのもありますよね。広報という点では、自転車というカテゴリ上、イベントなどでアピールするのも難しいですし、悩みどころでもあり、今後の課題でもありますね。
【本紙】 今後の夢などはありますか?
【坂齊】 プライベートでは具体的ななにか、というものはないんですが、なにかを作りたいとは思います。イラストを描いたり、漫画を描いたり、小説を書いたりなどですね。そういったところでもなにかしらのPRも出来れば理想なんだと思います。
【本紙】 ありがとうございました。では、お友達をご紹介ください。
【坂齊】 ご近所で同級生のお兄さんが経営している池田屋の金久保哲幸さんをご紹介します。
【本紙】 ありがとうございました。(取材中、自転車の空気入れや修理の相談に訪れるお客様が多くみられました。自転車と、その乗る人の安全を考え、真剣にお客様と相談している姿が印象的でした。)
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