友達の輪578号(2019年8月4日発行)
池田屋 金久保哲幸さんへ
【本紙】 お店の創業はいつ頃になりますか?
【金久保】(敬称略) 昭和49年にここ、幸手で創業しました。私の叔父が来集軒というお店をやっていたんですが、その傍らに和菓子屋をやっていたようです。妹たちが生まれることをきっかけに今の場所に引っ越してきたそうです。そうして、初代となる父が長年経営し、今は私が二代目という形で跡を継ぎました。
和菓子屋の後継ぎとして
【本紙】 二代目として引き継いだのはいつからになりますか?
【金久保】 去年の1月になります。その間に店舗を建て替えることになって、ちょっと間が空いたりしてしまったりもしましたけれど。家を継ぐ前は東京の製菓学校に通ってたんですよ。
【本紙】 製菓の道を歩んだということですが、子供の頃から家を継ぐつもりはあったんですか?
【金久保】 いえ、そうでもなかったですね。高校3年までは製菓学校の存在すら知らなかったんです。当初は工業系に行きたかったんですよ。しかし、今まで進路に関して何も言ってこなかった親が、工業に行くと決めた途端に商業に行け、と言い出しまして、結局、幸手高校に進路を決めたんです。そうして、高校卒業近くなって、製菓学校があるという事を知り、軽い気持ちで進路を決めてしまいました。ただ、専門学校ですから、やってきている人達はみんな本気で取り組むような人ばかり。今になって、そういう不純な動機で進路を決めてしまってはいけないんだなと痛感しましたね。専門学校を卒業をして、製菓関係の仕事に就きました。最初は亀戸、中野、武蔵小山と転々としていましたが、下町の雰囲気が好きだったようで、最終的に江戸川区で20年くらいお世話になっていました。就職をしたり、その間に結婚したりと色々とありました。色々とあったおかげで、気が付いたら実家に戻るタイミングを失ってしまいました。
【本紙】 30年近く地元を離れていたわけですが、戻られる際に不安などはありませんでしたか?
【金久保】 小学3年までは幸手小学校だったんですが、4年生から東小学校になったんです。それもあって、地元には同級生が街中や東地区にそれぞれいますね。木村豆腐店さんや魚和さんは同級生のお店です。
【本紙】 なるほど、お知り合いが周りにいらっしゃるのですね。地元に戻ってからまだ数年ですが、代を継いで、今後の展開はどうお考えでしょうか。
和菓子職人として
【金久保】 まだ始めたばかりですからね。いまは現状維持が精一杯ですね。もっと色々と試行錯誤して、商品開発なども出来るかと思ったんですが、それもままならないのが現状です。もう一人くらい従業員がいれば随分と変わってくるとも思いますが、人を雇うというのも今は難しいところです。今までずっと「売る」ではなく、「作る」という1点でやってきていたものですから、自分が思うように集中して製品を作る時間がとれなく、職人としてのストレスというものはあります。都内のほうで働いていたころは、和菓子職人として中で製造に専念していることが多かったので、いまはお店のことや接客など、やることが多くて大変です。商品開発にかける時間を確保することが難しいので、どうにかしたいですね。
【本紙】 リニューアル当初は相当お忙しかったかと思いますが、いまは慣れて落ち着いてきましたか?
【金久保】 それがよく分からなくなっちゃったんですよね。一人でやっているので、気楽と言えば気楽なんですけど、なにかあれば全部自分に戻ってきます。なんとか、商売を安定させて、人を雇う余裕を持たせたい、というところが当初の目標になってきますね。余裕がないと、自由に商品開発も出来ませんし、好きな釣りをする事もできませんから。
【本紙】 一人で製造から販売まで、すべてこなすのは相当大変ですね。
【金久保】 そうですね。だからこそ、最初からお店の大きさもこんな感じにしたんですよ。自分の目の届く範囲というので十分だと思っています。
【本紙】 話は変わりまして、先ほど釣りという言葉がでましたが、ご趣味などはありますか?
【金久保】 釣りですね。小学校の頃にやってはいたんですが、1匹も釣れたことがなかったんですよ。それで、子供を連れて室内釣堀に行ったところ、子供より私のほうが夢中になってしまったんです。そうして竿を買ったりして、釣りが趣味になりました。ただ、ここ最近は忙しくてあまり釣りに行けてはいないですね。それと、夏は毎週登山にも出かけていましたので、また行きたいですねえ。
【本紙】 アクティブなご趣味ですね。小学校時代はどちらで釣りをしていたのですか?
【金久保】 行幸池や高須賀のほうですね。ブームもあって、ブラックバス釣りに出かけていました。ルアーでやっていたんですが、さっぱりでした。一緒にやっていた友達もいたんですが、その友達はへらに移行しまして、一緒にやらないか?と誘われもしたんですが、へら釣りはよく分からなくて、そのまま釣りとは無縁になってしまったんですよ。大人になって再び釣りができるようになったのですが、釣りは朝早くから夕方までと一日中ということになりますから、一人で店を切り盛りしている今では、代わりがいないですからね。なかなか自由に時間を使えないんですよ。
手作りの味を知ってもらいたい
【本紙】 もうすぐお盆になりますが、これから忙しくなってきますね。
【金久保】 そうですね。東京では盆が1ヶ月早いのですが、うちはそういった帰省する方が立ち寄って買っていきますね。以前はお盆やお彼岸といった時期になると、おはぎと団子をやっていたんですが、今は団子だけにしていますね。一人で両方やる、というのはさすがに大変なんですよ。それに今はスーパーで色々と売っていますし、それにそういうところのものは数日ほど保存も効きますから。お団子の素材は米じゃないですか。当店は純粋に米粉だけで作っているので、時間とともに固くなってしまいます。コンビニやスーパーの普及の影響か、当店でお団子を買ったお客様に「今日中にお召し上がりください」というと「なんで固くなるの?」という反応をされる事もあるんですよ。日持ちという点では不便かもしれませんが、昔ながらの無添加を売りにしていますので、そういったところを分かっていただけると嬉しいですね。団子も作り置きせず、ご注文いただいて目の前で焼いてご提供しています。本物の味をぜひ理解してもらいたいですね。
【本紙】 小さなお子様から年配の方まで、安心して召し上がれますね。ありがとうございました。では、お友達をご紹介ください。
【金久保】 幸手駅近くのお蕎麦屋、更科の稲妻さんです、
【本紙】 ありがとうございました。 お団子は注文を受けてから焼くため、香ばしくもちもちした触感を堪能できます。時間帯により混雑するため、ご注文本数の多いお客様は予めご連絡くださいとのことです。
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