友達の輪600号(2020年7月5日発行)
農業・鳥猟犬育成者 内田 勝也 さんへ
【本紙】 狩猟をされていて、猟犬も育てていると伺いました。何かきっかけはあったのですか?
【内田】(敬称略) 私は高校卒業後、昭和38年に埼玉トヨタに就職しまして、平成16年に定年退職しました。24歳の頃、狩猟をやっている会社の先輩から「やってみないか?」と誘われたのです。色々と話を聞いてみると、とても楽しそうだったので、自分もやってみようと思ったのです。それで、勉強をして、猟銃所持許可の試験と狩猟免許の資格を取得しました。狩猟という趣味ひとつで、50年以上になりますね。
【本紙】 どこで狩猟するのですか?
パートナーは鳥猟犬
【内田】 私は利根川の河川敷でやっています。狩猟をするにも、気軽に行けるというものではなく、狩猟期間が11月15日から3ヵ月間と決まっていますので、事前に許可を申請して、猟の免許を取らないといけません。そして、私の場合は鳥猟犬という鳥を撃つのに適した猟犬を伴って、キジやカモなどを狙います。鳥猟犬に適した犬種は、ポインター、セッター、ブリタニー等の中型犬です。猟犬が鳥を探して、それを撃つわけですが、いくつかの工程があります。まず、鳥を探さない事には狩猟になりませんから、鳥猟犬の一番の仕事は鳥を探す事です。匂いをたどり鳥を探すのですが、頭の良い犬は、匂いはもちろん、風も利用して探す事が出来ます。鳥を見つけると、ポイントと言って、鳥に睨みを効かせて、鳥をその場に留めるのです。その間に周囲に人の気配がないか、人家がないか安全を確認し、撃ちやすい場所へと移動します。最後に猟犬に合図を出して、鳥を飛ばせて撃つという流れです。だからこそ、犬との連携が大事で、狩猟犬としての能力の高さも必要になってきます。鳥に気が付かないで、見逃してしまうという猟犬もいます。それは経験から来るものだったり、加齢による衰えだったりします。この辺りは人間も一緒ですね。
【本紙】 3か月の期間でどのくらい狩猟され、狩猟した鳥はどうするのですか?
シーズン10羽
【内田】 好きな人は毎日行きますから、獲れる確率も高いですが、私は週に二回位です。銃を担いで歩くのも大変ですし、犬も疲れますから。ワンシーズン十羽位のキジを狩猟します。撃ったキジは供養のためにも食べてあげることが一番です。私は鍋にしたりして食べています。一度では食べきれないので冷凍庫に保存しています。味は普通の鶏肉に似た感じです。狩猟法がありまして、キジは雄しか獲ってはいけないのです。キジは雄と雌の判別が簡単なので、間違える事はないですね。昔は雌も撃って良かったのですが、乱獲で生息数が減ってしまった対応策ですね。
【本紙】 失礼ですが何歳になられるのですか?体格がいいですが、スポーツをされているのですか?
毎朝5時起き
【内田】 毎朝5時前に起きて、雨の日を除いて、自分の運動と犬の訓練のために河川敷に通っています。そのおかげか分かりませんが、76歳になった今でも元気でいられます。現在猟犬は3頭いますが、狩猟犬である以上、訓練をしないといけません。
【本紙】 どのような訓練をするんですか?
【内田】 まず獲物であるキジを覚えさせます。鳥猟犬はある年齢に達すると、鳥に対して強い興味を持つ性質があります。猟欲と言いますが、犬種によって強さが違ったり、血統でも違ってきます。その時期にしっかりと訓練する事が必要で、それをやらないとただの愛玩犬になってしまいます。訓練は毎朝やります。猟犬を河川敷に連れていき時間を切って放します。呼びと言って、笛のリズムでコントロールするのですが、例えば30分と決めたら30分きっかりと切り上げるようにします。犬は体で覚えますから、その時間内に目いっぱい動けるように訓練します。呼びで、ゴーの時が「ピッ」と強く吹き、戻すときは「ピピーピピー」と吹きます。これは基礎訓練です。笛を吹いて戻らないようでは、切れた凧のようになってしまいます。狩場を歩いているときに、自分の行きたい方向に呼びを入れて犬の行動をコントロールするのです。この訓練が出来ていない犬は、好き勝手に動いてしまいますから狩猟にならないのです。
【本紙】 猟犬の大会も全国規模だそうですね。
参加から審査員まで
【内田】 そうですね。狩猟期間が終わった春と、狩猟期間中の秋の年2回開催されます。まず、北海道から九州までの県大会があり、そこを勝ち抜き全国大会に行けます。幼犬が1.6歳、若犬が1.6~2.6歳、成犬が2.6歳以上と年齢別にクラス分けされます。昔は、私もたくさんの猟犬を育てて、毎年出場していました。県大会、全国大会での賞状やトロフィーが山のようにあります。トロフィーは場所ばかり取るので処分してしまいましたが、賞状は記録にもなるので保管してあります。二百枚以上はありますね。大会に参加するには体力も必要なので、今は審査員をやっています。審査員は大会には出られません。だから、審査員を降りた時にまだ体力が残っていれば、大会に出てみたいとは思いますね。審査員は連続十年位になります。また、審査員と共に、レポーターも務める時もあります。レポーターは、試合の結果をまとめて報告したり、記事にしたりする仕事で、その日の天候はもちろん、犬の動きをこと細かに記録しないとならないので、常にじっと見ていないといけません。なかなか大変です。最初は狩猟がメインのはずでしたが、いつの間にか犬を育てる方がメインになってしまいましたね。
【本紙】 狩猟や猟犬以外に趣味はあるんですか?
【内田】 今となってはもうこれだけですね。若い頃はバイクに乗ったりもしましたね。トヨタに入社した頃に、2年位貯金をしてホンダのCB72というバイクを買いました。当時の給料が1万数千円の時に16万円近いものを買った訳ですから、我ながら思い切った買い物でしたね。テントを積んで仲間と東北一周のキャンプ旅行をした思い出があります。
【本紙】 懐かしい思い出ですね。では、お友達をご紹介ください。
【内田】 五霞町で造園をやっている同級生の玉村光弘さんを紹介します。
【本紙】 ありがとうございました。これからも愛犬の訓練を楽しんで下さい。(内田さんは地元では香取神社総代長もされています。又、ご本人いわく、少しばかりの田畑で米や野菜も栽培しているそうです。愛犬はセッターの雌でチコとナツと、ポインターの雌のアキだそうです。命名は単純に覚えやすいように、夏に家に来たナツ、秋に生まれたアキだそうです。現在は雌ばかりですが、訓練は雌の方がやりやすいそうです。)