タウンプレスよみうり

読売センター幸手が隔週で発行している地域ミニコミ紙「タウンプレスよみうり」の内容をご紹介

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友達の輪602号(2020年8月23日発行) 
彫刻講師 木村 利秋さんへ

【本紙】 お仕事を引退されて彫刻をされていると伺いました。どのようなお仕事をなさっていたのですか?

【木村】(敬称略) 建築板金ですね。40年くらいやっていましたが、去年9月で廃業しました。60歳まで現役で経営し、その後は任せて会長職を10年間やっていました。建築板金の仕事は父がやっていた仕事であとを継いだ形になります。主に屋根や雨どい、外壁などの施工です。

【本紙】 彫刻はいつから始めたのですか?

妻に誉められ

【木村】 54歳くらいの時ですね。きっかけは、取引先の瓦屋さんから干支の馬が彫ってある瓦を頂いたのです。その時、少し時間があった時期でしたので、見様見真似で瓦の馬を木に彫ってみたのです。それを見た妻が「いいじゃない」と誉めてくれました。それをきっかけに彫刻を始めようと本格的に学びました。よみうりカルチャースクールに「小仏教室」という講座がありました。講師に岩松拾文先生という仏師がいるのですが、その方の講座に申し込み、月2回勉強させてもらいました。岩松先生に師事し16、17年くらいになります。岩松先生は南は伊豆の下田から北は気仙沼まで27教室を持っています。5年ほど前から、加須と鹿沼の教室を任されました。

【本紙】 講師をやってほしい、と頼まれたのはどういうきっかけだったんですか?

弟子から講師に友達の輪写真

【木村】 加須の生涯学習教室の会長をやっているゴルフ仲間がいるのですが、「春日部で彫刻の展示会をやるから、ちょっと観に来ませんか?」と誘ったら、5、6人で観に来てくれたのです。展示会後に、加須でもお年寄りに簡単な仏像彫刻を教えられませんか?と言われました。その時は教えるような柄ではないので無理だと断っていましたが、岩松先生から「助っ人に行くから行ってみたら?」というのがきっかけです。それで加須市で募集をかけたら、予想以上に30人もの希望者が集まってしまいました。不慣れな状態で多くの人数を教えるのは難しいという事で、岩松先生のお弟子さんである関口先生と二人で受け持つことにいたしました。器用不器用もあり、彫刻刀を初めて持つ方もいましたから、絶対的な原則として、刃物の先に指を置かない、という事を徹底して教えました。一番怖いのは怪我ですから。そして、初心地蔵という小仏を彫りました。終了時の反響もあって8人くらい続けてやりたいと、その方たちとクラブを作ってずっと継続しています。鹿沼教室の方は鹿沼で講師をやっていた方が具合が悪くなってしまい、先生から「鹿沼なら比較的近いから行ってくれないか?」と頼まれました。教えるのは加須で十分と断ったのですが、「木村君なら出来るから行ってこい」と強く言われて月に1回指導しています。

【本紙】 仏像の表情が優しく落ち着きますね。彫る人によって変わるものですか? どうやって彫るのですか?

1尺サイズ1年

【木村】 変わってきますね。単純に腕もあるかもしれませんが、その時の気分によって変わる事もあります。先生の教材に菩薩や地蔵の写真があります。それを見て彫っていきます。彫刻を専門でやっているわけではありませんから、彫刻に取れる時間は1日3時間位で、ひとつ彫るのに1尺くらいのサイズで1年位かかります。今、手掛けている作品は長野の松本に牛伏寺というお寺に奉納する仏像を彫っています。その牛伏寺は重要文化財がとても多くあるお寺で、重要文化財を常時表に出しておくわけにはいかないので、宝物庫にしまってあるのです。そうすると、今度は仏像などが減っていってしまい寂しくなってしまうので、そこに安置する仏像を岩松先生一門の私たちで彫っているのです。私は勢至菩薩というものを彫らせていただいてます。

【本紙】 仏像奉納などは過去にもあるのですか?

3.11から始まった奉納

【木村】 奉納するというアイディアは岩松先生が提案され、お弟子さんたちが賛同して進んでいくプロジェクトです。最初は3.11の際に岩松先生の教室生でも何人かが怪我をしたり、亡くなられたりしました。そこで先生が「千体観音を彫って、気仙沼の補陀寺に届けましょう」と提案されたのです。大きさは6寸ほど約18センチの観音様を千体彫るのです。私は4体彫らせていただきました。そして、2013年の6月に奉納させていただきました。その後、今度は「御嶽山の噴火で犠牲になった方の供養の為の千体観音を彫りましょう」という事で興善寺に奉納する計画も始まりました。本来なら本年奉納の予定でしたが、コロナの影響でまだ奉納は未定となっております。興善寺には岩松先生の仏像もありますので、ご縁を強く感じます。ですから、カルチャースクールで偶然最初に岩松先生に師事する事が出来て本当に良かったと思っています。

人生を楽しむ72歳友達の輪写真

【本紙】 72歳というのが嘘のようにお元気ですが、何か健康の秘訣とかはあるんですか?

【木村】 おかげ様でまだ病気はしていません。ただ、加齢による脊柱管狭窄症などはありますね。近所を軽く歩く分には問題ないのですが、買い物で歩くのはどうしても駄目なんですよ。でも、ゴルフで歩くのは何も問題ないので、この辺は興味の有る無しかもしれませんね。私としては健康でいるためには、あまりくよくよせずに、自分の思ったように生きられるように努力する事ですね。

【本紙】 後ろにウクレレがありますが、演奏されるのですか?

【木村】 ウクレレは昭和楽器に通いました。学生の頃、グループサウンズが流行っていて、コピーバンドをやっていた時期もありました。それで、また、やってみようかなと思ったのですが、もう指も全然動かなくて駄目でしたね。(笑)

【本紙】 好奇心が旺盛なのかも知れませんね。では、お友達をご紹介ください。

【木村】 車つながりですが、小福田にある荒川自動車の荒川克正さんを紹介します。(木村さんは車も好きなようで、愛車を運転してゴルフに行く事も楽しみの一つだそうです。豊かな人生を楽しむお手本のような方でした。)