タウンプレスよみうり

読売センター幸手が隔週で発行している地域ミニコミ紙「タウンプレスよみうり」の内容をご紹介

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友達の輪629号(2021年10月10日発行) 
幸手傾聴ボランティア・ピース 島田 雪子さんへ

【本紙】 ロシア文学がお好きと伺いました。

【島田】(敬称略) 大学でロシア文学を学んでいたのですが、数ある作家の中から特にチェーホフに魅せられてそれ以来、ファンとなり「追っかけ」のような感じになっています。実際にチェーホフが暮らしていたところや保養に訪れたところ、終焉の地などにも行きました。他にも行ってみたいところが2か所ほどあったのですが、年齢と共に足も弱ってきてしまったのでもう行くことも出来なくなってしまいました。チェーホフは作家でもあり、医者でもあったのですが、自分の住んでいる地域に様々な貢献をされた方でもあるのです。

【本紙】 チェーホフとの出会いは? ロシア文学の魅力というのはどのようなところですか?

兄の形見の本

【島田】 11離れた兄がロシア文学やフランス文学を好んで読んでいて、そういった本がたくさん書棚にありました。兄は心臓弁膜症で普通の勤めは無理だと自分で分かっていて、医者なら出来るだろうと考えて大学の医学部に進みましたが、24歳という若さで亡くなってしまったのです。兄が倒れたときに、私はすぐ傍にいたのですがなにも出来なくて、それもあって、出来れば医学部に行きたいと考えていましたが、姉にお医者さんの婿を迎え入れましたから、それだったら兄の書棚から知ったロシア文学を勉強しようと思って、外国語大学に行くことにしたのです。兄の形見ともいえる本を読んでいるうちにロシア文学に傾倒していきました。戯曲「三人姉妹」などから読み始め、最終的に「谷間」という短編小説を読んだ時に、チェーホフの自然を観る目、作品に登場する主人公を見る目、そして自然をミックスさせた表現方法に出会い、そこで初めてチェーホフという作家を意識するようになり、それ以来ずっと好きで居続けています。私が出会ったロシア文学の殆どの作品は、帝政ロシア時代のものでそこから革命が起きて旧ソ連へと変わる時代を反映したものでした。帝政ロシア時代は身分制度が存在し、チェーホフの祖父は農奴という身分でしたが、領主に身代金を払うことで自由を得たのです。友人宛の手紙の中で、「貴族はスタート地点から様々なものを身につけているが、自分たちはスタート地点に立つまでに青春時代を贖っている」と書いていますが、非常に強い衝撃を受けました。

ゆかりの地を二人で友達の輪写真

【本紙】 チェーホフを追いかけてどこに行かれたのですか?

【島田】 最初はシベリアだったと思います。次にモスクワに行って、今では博物館になっているチェーホフが暮らしていた家を訪れました。さらにサンクトペテルブルクやヤルタ等にも行きました。ヤルタにはチェーホフが保養していた場所がありまして、そこを舞台にした「小犬を連れた奥さん」という小説が大好きです。不倫物語ですが、自然情景を登場人物の心象に結びつける描写がとても好きです。そして、チェーホフ終焉の地にも行きました。彼は若くして結核になってしまうのですが、その治療と保養を兼ねて行っていたドイツのバーデンワイラーで亡くなってしまうのです。その病院は今でも存在していまして、アントン・チェーホフ広場というのもあります。

【本紙】 おひとりで行かれるのですか?今後の予定とかありますか?

【島田】 主人と一緒に行っています。ただ、主人はチェーホフが好きというわけではなく、私の付き添いみたいなものですね。私は昔から体力がないため、付き添ってくれている主人にはとても感謝しています。実は主人とは同じ大学のサークルで知り合い、その時は先輩、後輩でしたが、卒業後に個人的に付き合うようになりました。これからの予定ですが、メリホヴォに行ってみたいとは思っていますが、体力的にもう無理なのでいくら主人の付き添いがあったとしてもダメだと考えています。でも、サハリンだったらまだなんとか行けるかもしれないと思ったりしています。

【本紙】 傾聴ピースで活動されていますが、始められたきっかけは?

認定カウンセラー友達の輪写真

【島田】 ある女子中学生と話をしたときに、「普通、相談室の先生だったらそういう言い方はしないよ」と言われたのです。それがきっかけでカウンセリングの勉強を始め、日本カウンセリング学会の認定カウンセラーという資格を取り、翌年には家庭教育アドバイザーの資格も取得しました。カウンセラー取得の過程で傾聴についても勉強していましたので、傾聴訓練に取り掛かろうとした時期だったと思いますが、幸手で「電話の会」というボランティアグループがあることを知ったのです。その会が傾聴についての講座を開かれて、それに参加させてもらいました。講座が終わったときに「電話の会」の方から「傾聴ボランティアを立ち上げませんか?」と呼びかけがあり、それで講座を受講した12名で傾聴ボランティア活動を始めました。傾聴は人の話をよくきくことですが、相手の話に対して意見やアドバイスをするというものではなく、相手を尊重して肯定的に受け止めるというのが大事です。傾聴ボランティア活動などをする中で支えられている言葉の一つとして、上智大学名誉教授デーケン神父から伺った「喜びは分かち合うことによって2倍になり、悲しみは分かち合うことによって半分になる」というドイツの諺があります。この言葉にも支えられて、活動を続け、傾聴ボランティア・ピースも発足してから16年が経過しました。

【本紙】 長い歴史ですね。では、お友達をご紹介ください。

【島田】 昌平高校でラグビー部の監督をされている御代田 誠(みよた まこと)さんを紹介します。

【本紙】 ありがとうございました。これからも、傾聴活動や家庭教育アドバイザーなど地域でのご活躍を祈念いたします。(ご夫婦でチェーホフにゆかりある地を旅されるのは素敵なことですね。お薦めを伺うと、「三人姉妹」、「かもめ」、「桜の園」の三大戯曲と短編作品の「谷間」、「小犬を連れた奥さん」とお薦めいただきました。秋の読書にいかがでしょう。)