友達の輪642号(2022年4月17日発行)
株式会社 美貴 専務取締役 梅澤 敦さんへ
【本紙】 お父様が創業者だそうですね。
【梅澤】(敬称略) 現在、会長である父は館林で11人兄弟の末っ子に生まれました。中学卒業後に職業訓練校に入り、ものづくりの工場に就職したそうです。ある年の大雨の時に窓ガラスが割れて、足をざっくりと切ってしまい、それが転機となり工場を辞めて、遠縁にあたる久喜市の「エル・サイトウ」さんに住み込みで丁稚奉公として働き始めたそうです。20歳になる頃に「商売の道に入ったからには、商いに必要な学問を身に着けなければ」と、幸手商業高校の夜学に通わせてもらい卒業したそうです。そして、1970年に実家に近い館林で「梅澤宝飾・時計店」を創業しました。私はその創業の年に生まれたので私の年齢が社歴になります。
【本紙】 きれいなお店ですね。宝飾・時計など幅広く扱っていらっしゃいますね。
個性的な補聴器
【梅澤】 売り場としては宝飾が一番広く、続いて眼鏡、時計、補聴器となっています。正面のカウンターにたくさんの補聴器が展示してあります。医療器具に近いということと、メンテナンスや細かい調整が必要ですから、長いお付き合いとなりますので、当店ではアフターサービスを充実させた対応に心掛けております。補聴器も種類がたくさんあり、サイズも大小様々ですし、オーダーメイドのものもあります。一昔前は補聴器というとベージュばかりで、年寄りくさいというイメージが強かったのですが、最近はカラーバリエーションも多く、若い方の中にはBluetoothみたいと言う方もいらっしゃいます。既成の耳栓だと合わない方には型取りして専用の耳栓を作ります。お好きな色で作ることが出来ますので、個性を表すことも出来ます。近年では、パソコンと補聴器を繋ぎ、聞こえ具合をモニター画面で視覚的に確認出来る様になりました。この「音の見える化」により、これまでよりも細かな音質調整を行える様になると共に、難聴に悩むご本人やご家族から補聴器への深いご理解を得られております。
【本紙】 手話でも接客されるそうですね。
手話の先生
【梅澤】 長いお付き合いのお客様で聴覚障害のご夫婦がいらっしゃいます。お品物を注文していただくと、入荷のお知らせをファックスでお知らせしていたのですが、ある時、メールで連絡が欲しいと言われたのです。いつもと同じ文面でメールを送ったところ、返信に絵文字が含まれていたのです。絵文字には当店に対しての優しさや思いやりが表れていて、今まで私たちの接客は感謝の思いをちゃんと伝えられていたのだろうかと考えさせられました。それで、その日のうちに手話の本を買って、せめて「ありがとうございます」は覚えようと勉強しました。その後、ご来店されたときに手話で「ありがとうございます」と言ってお見送りしましたら、一瞬時間が止まったような感じになったのです。もしかしたら触れてはいけない事だったのかな?と思ったのですが、十数年のお付き合いの中で、初めてお客様の笑った顔を見たのです。それをきっかけにお客様のお宅にお伺いするようにもなり、気が付けば私の手話の先生となり、もっと手話を広めたいと思うきっかけになりました。
【本紙】 手話がうれしかったのでしょうね。
商工会青年部活動
【梅澤】 そうですね。そこで商工会青年部に在籍してましたので、手話を広める「あなたの手で幸せを伝えられたら」という事業を提案したのです。ところが、「気軽に触れていいの?」「ボランティアではないの?」と意見が多々あり、頓挫しかけました。でも、そのご夫婦から聞いたエピソードで全てが動き始めるのです。それは、結婚して数年後に待望の第一子を授かった時のこと。ある朝起きたときに赤ちゃんの顔が涙で赤く腫れ上がっていたそうです。耳が聞こえないので赤ちゃんの手と奥様の手を紐で縛り、赤ちゃんに何かあったら感じるようにしていたのですが、その日は子育てで疲れていたのでしょう、変化に全く気付かなかったのです。奥様は「耳の聞こえない自分が子供を産むべきではなかったのでは・・・」と自分を責めたそうです。この事を皆に話したところ停滞していた事業が動き始めました。手話を広めようと、小冊子とスタンドを手作りし、公共施設、金融機関、教育機関に置き、さらに、手話を学ぶため、青年部の旅行の機会を使い、京都嵯峨野の手話の研修施設に行き手話と共に聴覚障害に対する見識を深める事が出来ました。
【本紙】 すぐに行動することはなかなか出来ないですね。
SSSOC
【梅澤】 私は何かをするときに考える決まりの言葉があります。それは、「なにかを成し遂げるためには行動をしなくてはならない。行動をするためには決断をしなければならない。決断をするために何よりも夢を持たなくてはならない」という言葉です。自分が何かをしようか?やるべきか?迷った時、その先に夢や未来があると思うのならやったほうがいい、と自分の中のボーダーとしています。また、趣味で30数年サーフィンをやっていたのですが、千葉にはサイレントサーファーと言って耳の聞こえないサーファーもいて、私も何度も海で会っていたのですが、たまたま知っていたサイレントサーファーがテレビの取材を受けていました。カップルだったのですが、彼女に「何か聞けるのなら何を聞いてみたいですか?」と質問がありました。そうしたら、「波の音と彼の声を聞いてみたい」と答えて、彼氏の方もまったく同じ答えだったのです。何だかジーンときた記憶もあります。
【本紙】 素敵ですね。現在の趣味は?
【梅澤】 趣味ではないのですが、自宅が下川崎で庭が無駄に広いのです。それもあって、よくご近所の方とバーベキューをやっています。うちが明かりを灯しているとビール片手にやってきたり、逆にうちの庭で勝手に始めている時もあります。そんな地域の仲間たちとSSSOC(埼玉県幸手市下川崎おっさんクラブ)というのを作って、家族も巻き込み楽しんでいます。下川崎の座標がプリントされているクラブのTシャツもあります。
【本紙】 楽しそうですね。では、お友達をご紹介ください。
【梅澤】 習字の先生をやっている堀内豊さんをご紹介します。
【本紙】 ありがとうございました。これからも、地域の発展にご尽力下さい。(梅澤さんは接客業らしくお話し好きで、取材時間も楽しく過ごさせていただきました。きっと、お客様も同じ気持ちになるお店と感じました。)
宝石・メガネ・時計・補聴器の美貴営業時間:9:30~19:00
定休日:毎週月曜日
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