友達の輪668号(2023年5月21日発行)
消しゴムはんこ花日和作家 武石 純子さんへ
【本紙】 消しゴムはんこはいつ頃からやられているのですか?
【武石】(敬称略) 14年くらい前になります。長男が幼稚園に入った時期に、園内のお母さんたちの間で流行っていたのです。長男は4月1日生まれで3歳になってすぐに幼稚園に入園したのですが、字も読めませんし、右も左も分からない赤ちゃん同然の状態で幼稚園児になりました。幼稚園では、どうやったら自分の持ち物と認識できるだろうと考えていたところ、先輩のお母さんたちから「マークを作って、それを押してあげたら自分の持ち物だって教えてあげられるんじゃない?」と聞いたのです。それで、先輩のお母さんから教わって、初めてテントウムシのはんこを作って、長男の持ち物全てに押してあげました。そんな長男ももう大学一年生まで成長してしまいました。
【本紙】 お子様の成長に合わせて判子作りも成長されたのですね。
講師試験に合格
【武石】 そうですね。子供の持ち物に捺してあげるところから始まって、バザーや幼稚園の行事など少しずつやることが増えていった感じです。でも、次男の入園から卒園までで、もう彫ることもないと思っていました。7年前位になりますが白石工務店さんで消しゴムはんこの講師を探していると依頼があって、講師として伺いました。そこで初めてお客様に教えて、皆さんの出来上がっていく作品を見て、もっと教えてみたい。楽しさを伝えたい。と思いました。それで、イレイサースタンプ協会という消しゴムを使ったスタンプアートの普及と発展のための協会があるのですが、そこに入会することにしました。そこでクリエーター向けの講師をやるための試験を受けて、無事受かりました。その後、ハッピーマザーズさんが主催し、芦葉工藝舎さんで開かれていたお母さん向けのマルシェにも初出店しました。その経験が楽しくて、それからママ向けの講座も始めるようになったのです。
【本紙】 消しゴムはんこ作家は多いのですか?制作に使うものは何になりますか?
【武石】 協会に所属している人数だけで言うなら多いと思います。制作には消しゴムはんこ専用の消しゴムと、デザインナイフ、彫刻刀、トレーシングペーパー、鉛筆、インクなどを用います。はんこ専用の消しゴムは加工しやすく出来ていて、ハガキ版の大きさです。もちろん、文房具の消しゴムのように使うことも出来ます。
【本紙】 消しゴムはんこアートも手掛けられているそうですね。
作家として活動
【武石】 権現堂四季折々の花のはんこを押した手ぬぐい等、権現堂の峠の茶屋さんに卸しています。桜の季節には桜の手ぬぐいや、ふきん、ハンカチ、コースターなど。権現堂の四季の花に合わせた消しゴムはんこを製作し、捺印した作品を販売させていただいてます。それ以外にも、個人事業主様や企業様、一般の方まで、屋号やロゴ、お名前はんこの作成依頼など、お客様のご要望にお応えした消しゴムはんこを製作しています。また、イベント出店もしています。イベントでの出店は子供向けのワークショップをやることが多いです。たくさんのはんこを並べて、好きなはんこを選んで、好きな色で、好きな場所に、好きなだけ捺して、自分だけのモノづくりを体験していただけます。はんこを捺したときの子供たちの笑顔が見ると『やっていて、本当に良かった!』といつも嬉しくなります。幸手市内だけではなく、近隣のイベントにも出ます。久喜や白岡、羽生、加須あたりからも声をかけていただくこともあります。今年は幸手のさくら祭り期間中も3号公園と2号公園で4日間、出店させていただきました。
【本紙】 これからやってみたいことなどありますか?
大きな作品に挑戦
【武石】 大きな作品を作ってみたいです。例えば、障子2枚で対になるような作品を作ってみたいです。幸手子育て応援祭り用に障子(180cm×80cm)1枚を製作しましたが、それ以外に飾る機会があまりないので、見ていただく機会があれば嬉しいなと思います。ただ大きな作品に限らず、消しゴムはんこの魅力は手作り感のあるその風合いと彫り方によってさまざまな線が表現できるところです。インクの付け方で濃淡ができたり、かすれたり、いろいろな表現ができる消しゴムはんこの面白さを伝えられる展示会が出来ればいいなとも思いますね。
【本紙】 お子さんの持ち物マークからここまで発展していくというのはすごいですね。
やってから考えよう
【武石】 そうかもしれませんね。講師のお仕事をし始めた頃に、長男がちょっと難しい病気になってしまい、長期入院し、退院後も私が自宅にいないといけない状況なりました。障害が残ってしまった長男が学校に復帰を始めて、自分の時間が少しずつ持てるようになった時、講師へ復帰したい思いがあるものの、できない理由ばっかり考えてしまいました。そんな煮え切らない私に、ハッピーマザーズさんから、「子供のことと自分自身がやりたいと思っていることは別に考えた方がいいよ。」とはっきり言ってもらったのです。それでやらない理由を考えるのを止めて、まずはやってから考えてみようと思いました。家族にもそのことを話してみたら「いいよ」と了解を貰えました。子供たちにとっても、私が家にいない時間が増えたことで、今まで何でもやってもらっていたことを自分から自発的にやるようになっていきました。何もしないで暮らすことも出来たと思うのですが、自分のやりたいことを諦めていたら、それをいつか息子に、「あなたの為にお母さんはやりたいことやらなかったんだよ」と言ってしまう日が来るかもしれない。そう思ったら、やりたいことをやろうと決めました。それで、人数が少なくてもいいから、ワークショップを開くことから始め、現在も大人向けのワークショップをレンタルスペースをお借りして、開催しています。
【本紙】 子供さんも優しいですね。では、お友達をご紹介下さい
【武石】 ご夫婦でバラ農園をやっている、山田美里(みのり)さんをご紹介します。
【本紙】 ありがとうございました。これからも素敵な作品を創作ください。(武石さんはとても明るい方で、講座も楽しそうイメージが浮かびました。ワークショップ開催情報は下記のインスタグラム・公式LIENからご覧いただけるそうです。)