タウンプレスよみうり

読売センター幸手が隔週で発行している地域ミニコミ紙「タウンプレスよみうり」の内容をご紹介

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友達の輪669号(2023年6月4日発行) 
アクアフォレストナーセリー(山田バラ園)
山田 美里さん 道雄さんへ

【本紙】 バラ農園をやろうと思ったきっかけはなんですか?

【山田(道雄)】(敬称略) 元々、農家だったというのはありますね。祖父の代まで野菜などを作っていましたが、祖父が亡くなり父の代には農家ではなくなっていました。ですから、農地がかなり長い間、放ったらかしになっていたのです。当時、私は専門学校で製薬など人に関する遺伝子の研究をしていました。今と全く違って、日の当たらない仕事でした。専門学校以外でも、別の企業で仕事をしていましたが、その企業が他の企業との吸収合併で消滅してしまったのです。また、自分自身、研究職にあまり向かないような気もしていました。元々、植物自体も好きでしたから、いつかは、こういった仕事をやろうとは考えてはいました。それで、使っていない農地を利用しようと考えてバラ農園を始めました。完全に脱サラしたという形になります。

【本紙】 最初からバラを手掛けたのですか?

師匠との出会い

【山田(道雄)】 そうですね。バラ以外にもチューリップ、ヒマワリ、ユリと、誰もが知っている花を作るのがいいと安易な選択でした。

【山田(美里)】 それと、バラ作りの師匠に巡り合えたことも大きいですね。師匠は印西市でバラを栽培されている方で、技術的なことを教えていただきバラ栽培の道に入れたと思っています。師匠は「技術は目で盗め」というタイプの方でしたが、聞けば教えてくれますし、何かと師匠から連絡もくれ、自分の農園をやりながら生産自体を助けてもらっていました。バラは接ぎ木をします。その接ぎ木をするための親木を手元に残さないといけません。完売してはいけないのです。台木は種を蒔いて作るのですが、それを始められるか始められないかというところが、バラの生産者になれるかどうかの分かれ目になります。私たちの場合は、師匠のところから使わなくなった台木の苗床を分けていただいたりして師匠に助けてもらえたから現在があるのです。

【本紙】 ご苦労などありますか?バラの管理はご夫婦でやられているのですか?

水の奴隷!友達の輪写真

【山田(道雄)】 きれいなバラに囲まれて華やかに映るかもしれませんが、生産している人間は、綺麗かどうかというのはあまり考えていないですね。私もやるまでは華やかなイメージを持っていましたが、実際にやってみるとあくまでも農業という範疇です。それに、鉢花の生産者は「水の奴隷」とも言われます。ずっと頭の中は水のことばかりを考えています。乾きすぎていないか、雨の日は濡れたままにすると根が傷むとかですね。また、これは花に関わらず、野菜等を作っていれば当然かもしれませんが、常に天気予報を確認しています。

【山田(美里)】 管理は主人がほとんどやってくれます。私は出荷したり販売にいったりします。

【本紙】 お休みはあるのですか?

【山田(美里)】 基本的に休まないですね。雨の日で、出荷がないときが唯一ハウスの中でボーっとするような時間になります。雨の日は水のことを考えなくて済むのがいいですね。そうなると、他にやらないといけないことが出来てきますのでそれを進めなければなりませんが。(苦笑)

【本紙】 バラは手入れするのも難しいのでしょうね。全ての品種に棘はあるのですか?

棘もバラの魅力

【山田(道雄)】 バラは手間が掛かるからいいと私は思います。雑草はなぜ雑草扱いされるかと言えば、なにもしないでも勝手に育つからだと思うのです。だから、手間を掛けて咲くからこそ意味があるものだと思います。棘のないバラというのもある程度は存在します。海外にも棘のないシリーズの品種もあります。個人的な経験で不思議ですが、棘のないバラってあまり売れないのです。「綺麗なバラには棘がある」という言葉がありますが、その棘も含めてバラの魅力なのかもしれません。また、バラのいいところは、一度接ぎ木に成功すればロスが少ないことです。花の咲いていない苗に花を咲かせるのに失敗したとしても、木が枯れて無くなってしまうことはありません。四季咲き系の品種は春に失敗したとしても、秋にまた販売のチャンスがあリます。花が終わった後に切ると、5、60日後にまた花が咲きます。でも、この時期は残念ながら値段がつかない時期で、園芸業界にとって7月8月は死の季節です。暑い最中、草取りをしているとたちまち熱中症になってしまいます。(笑)

【本紙】 気候変動の影響もありますか?

経済的にもエコ農業友達の輪写真

【山田(道雄)】 花の開花時期が早くなっています。そのせいか、母の日などの特定のシーズンに合わせるのが難しくなってきています。かといって、冬場に油を焚いたり、電気を使って冷やすというのは時代じゃないですね。二酸化炭素を出すかどうか以前の問題として、燃料費も電気代も高くなっているので、そんなことをやっていたらすぐに経営難になってしまいます。エネルギーを使わないで、如何に生産するかが大事です。環境のことを考えるのも大事ですが、その前に経済的に考えざるを得ないのです。 美里 当園はエコ農業でやっています。最初から冷暖房は使わないようにして、暑いときや寒いときの調整は日除けを活用して、早め早めの作業を心がけています。おかげで温度に対して敏感になった気がします。

【本紙】 これからやってみたいことというのはあるのですか?

オリジナルなバラ

【山田(道雄)】 交配させて種を蒔いていますので、いつか世界でヒットするオリジナルなバラが出来たらと思います。今までもオリジナルなバラはありますが、売れるバラに挑戦したいです。バラに限って言えば売れる理由の6割がネーミングです。自分でつけますが、受け入れられるとも限りません。

【本紙】 ヒットするネーミングですね。お仕事上、一番楽しい時期はいつですか?

【山田(道雄)】 出荷が終わった瞬間ですね。どちらかというと楽しいというよりも解放感だと思います。出荷が終わったからと言って仕事が終わったわけではありません。生き物相手ですから、その後も世話は続いていきます。ひとつの区切りのようなものです。

【山田(美里)】 出荷すれば鉢も減ります。見た目でも気持ちの上では楽になりますね。

【本紙】 ご夫婦でお仕事を共有されていて、楽しそうですね。では、お友達をご紹介ください。

【山田(美里)】 雑貨屋さん「ドリームランド」の立花美香さんを紹介します。

【本紙】 ありがとうございました。これからも素敵なバラを生産して人々を楽しませてください。(山田バラ園さんでは年間1万5千鉢ものバラを生産されているそうです。各地に卸されているようですから、もしかしたら、山田バラ園さんのバラがご自宅で咲き誇っているかもしれませんね。山田バラ園さんのバラはさくらファームで委託販売されているそうです。)
アクアフォレストナーセリー(山田バラ園)