2001年2月25日



後藤 弘さん にぎやかなひな飾りが街にあふれ、春ももうそこまでやってきている感じです。本日の友達の輪には東京スプリング工業(株)代表取締役小林英武さんからご紹介いただきました三陽不動産(株)建築部長後藤弘さんにご登場願います。

三陽不動産(株)
建築部長 後藤 弘さん
本紙取材 高木 康夫

【高木】はじめまして。この友達の輪には三陽不動産さんからはお二人目の登場となります。四年ほど前になりますが三牧省吾さんが出られましたよ。東京スプリング工業(株)小林英武さんから情報量豊富な方とご紹介されました。

【後藤(敬称略)】東京スプリング工業(株)の小林社長さんからのご紹介で恐縮しています。小林さんには住宅の建設にあたり当社を指名いただき、私が当時担当をさせていただきました。家具や調度品などにとても凝った方で、建築イメージもそれらに合わせるようにプランニングした覚えがあります。

【高木】建築畑一筋と伺いましたが、このお仕事は長いのですか?

入社して二十五年
  建築以外やったことなし

【後藤】私が三陽不動産(株)に入社して二十五年以上になりますが、入社したばかりの頃は不動産がメインの会社で、新しく立ちあげた建築部門に配属されました。それ以来、建築一筋の仕事ですね。実は、入社以前も他の設計事務所でアルバイトをしており、確認関係の仕事をしておりました。ですから自分の人生の中で働いたことに関しては建築関係だけということになります。入社当時は大手ハウスメーカーが無かった時代でした。しかし、現在では大手のハウスメーカーさんとの戦いになっています。住宅を求める側にも、家を建てるというのではなく、家を買うといった消費感覚を感じます。ですから、当社は健康住宅をアイデンティティーに自然素材を使ったプランを提案させていただいております。

【高木】自然素材というと?

高気密、高断熱、
   全室暖房、計画換気

【後藤】二次的に加工された材料等を避けて無垢の素材を使うということです。もちろん、単価も違ってきますから予算内でなるべく多く使うようにプランニングしております。そして、高気密、高断熱、全室暖房、計画換気をモットーに住宅建築にあたっております。宣伝になってしまいますが、簡単に申し上げると、気密性にすぐれ、夏は暑い外気を遮断して、冬は内部の熱を逃さない、かつ、二十四時間換気が行われている住宅です。当社では外断熱工法といって住宅の外側をすっぽり断熱材で覆ってしまう技術を取り入れております。こうすることによって魔法瓶のような効果が生れ熱効率の高い住宅になります。その効率の良さは従来の一部屋の暖房能力でも全室に行き渡るほどです。換気の方もフランスのアルデス社が開発した排気型集中換気システムの技術を導入しております。これは、ヨーロッパや北米、カナダなどではポピュラーな「タコ足換気」と呼ばれるユニークなもので、キッチン、浴室、トイレ、納戸などに配管された換気ダクトにより本体ファンを通じて外に排気され、新鮮な空気は居間、寝室などの居室に取り付けた給気口を通して室内に取り入れ、常に清潔で快適な環境を提供するものです。また、これからの時代は環境に配慮した住宅でなければなりません。地球に優しい住宅は人間にも優しい住宅です。たとえば、当社で奨めている木製サッシなどは欧米では85%の比であたりまえとなっておりますが、日本では95%がアルミサッシです。ボーキサイトからアルミニュームが精練されるのはご存知のことと思いますが、その精練時には莫大な電気エネルギーが消費されます。

後藤 弘さん【高木】いろいろな技術を研究されているのですね?

新しい技術を
   足で捜してくる

【後藤】そうですね。新技術や新製品は足で捜してくるものがほとんどです。向学心がないとだめですね。今、注目しているものに土壌蓄熱式輻射床暖房システムというものがあります。簡単に説明すると新築の際に基礎の地下土壌に蓄熱層を形成する発熱パネルを埋設し、割安な深夜電力を利用し土壌に蓄熱し、その輻射熱で住宅全体を自然なぬくもりで包むものです。これは、温度のバリアフリーから生れたものです。最近ハウスシック症候群やヒートショックなどと呼ばれる健康を害するものがあります。ハウスシック症候群は、新建材や壁紙や建具、家具といったものの中に含まれる塗料や接着剤などの化学物質が人間の身体に影響をおよぼすものです。ヒートショックは室内の温度差から身体に異変をきたすことで、この時期などは暖かい部屋から寒いお風呂場に移った時などに起こりやすいものです。過去の統計が取られておりませんでしたので一概に比較は出来ませんが、住宅内の事故で亡くなる方が交通事故で亡くなる方よりも多くなったという数字が出ています。床の段差をなくすことだけではなく、家の中がいつでも、どこでも、常に快適な温度に保たれている温度のバリアフリーが必要な時代です。

仕事が趣味
  創ることの楽しさ!

【高木】どんどん新しい技術やプランが生れてくるのですね。私生活の方で趣味などは?

【後藤】時間があればSF映画を観ることなんですが、最近は忙しくてなかなか観ることが出来ません。もっぱらビデオ版での観賞になっています。我が家は母と夫婦、子供四人の七人家族ですが、家族それぞれの休みもバラバラなので家族揃ってふれあう時間もありませんし、建築一本の仕事が今では趣味のようになってしまいました。お客様に合わせて仕事をしておりますから休みが取り難いということもありますが、たぶん、建築という新しいものを作って行く仕事が楽しいのですね。(笑)

【高木】
素敵なことですね。それでは、お友達をご紹介下さい。

【後藤】古い付合いで、幸手市立図書館にお勤めの初見正昌さんをご紹介致します。

【高木】ありがとうございました。これからも健康に良く、地球に優しい住宅をたくさん建設して下さい。ますますの、ご活躍をお祈りします。

(「住宅建設のご相談は一生の買い物のお手伝いをする訳ですから、依頼主との細部にまで渡るコミュニケーションが大切です」と穏やかに話される姿は、お客様に信頼されて自信を持って二十五年続けてきた賜物と感じました。新しいものへの挑戦を常に考えている情報量の多い方でした。)


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