2003年10月5日



 今年の秋刀魚は脂がのっていて、とてもおいしいそうです。冷夏の影響でもあったのでしょうか?さて、友達の輪も二百号を節目として三百号に向かい新たにスタートします。そのトップバッターは木村豆腐店三代目木村典朗さんにご紹介いただきました「魚要」二代目の山中健彦さんにご登場いただきます。

魚要
二代目 山中 健彦さん

本紙取材
木康夫

【高木】こんにちは。天神町内でのバトンタッチですが木村さんとは仲が良いようですね。


【山中(敬称略)】幼なじみで、私達が小さい時は夏休みに二家族で海に行ったり、家族ぐるみのお付き合いをしております。私が三年生の時に木村君は一年生という間柄ですが、中学校の野球部でも一緒でした。今ではお互いに商売の勉強をしています。
山中健彦さん
【高木】二代目だそうですが違う道を考えていたようですね。

田舎のツッパリが
六本木に住み込みで!

【山中】そうですね。兄貴がいましたので魚屋は兄貴が継ぐものと思っていました。それに、人前に出るのが苦手で商売は向いていないと思っていましたから魚屋よりも板前になろうと考え、調理師学校に一年間通いました。そこで卒業と同時に指定された都内の和食レストランに就職が決まりました。今でも鮮明に覚えていますが、港区六本木四丁目の防衛庁の裏手にある和食レストランに、住み込みで勤め始めたのです。田舎のツッパリがいきなり大都会の真ん中へ出て行きましたからカルチャーショックを受けました。当時はディスコ全盛の時で、お店から歩いて二、三分のところにマハラジャがありました。今年、マハラジャが復活したそうですが、あの当時は盛り上がっていて本当に凄かったですね。

【高木】仕事よりも遊びに夢中だったと言うことですか?

下積みを経験して
    板前を目指した

【山中】いえいえ、仕事が下積みですから、朝十時にはお店に入って準備や仕込みを行うのです。お店は夕方からの営業ですが、夜十二時までずっと続きましたから、仕事が終わった後に深夜の六本木に繰り出す元気などなく、休みの日ももっぱら寝ていましたね。でも、調理師学校の友人や地元の友達達は、私が六本木に勤めているというだけでよく遊びに来ましたね。そういう時は六本木をさけて新宿に行きました。新宿のほうが気軽に遊べましたね。(笑い)和食レストランに一年ほど勤めましたがもっと料理の幅を広げたくて新宿の居酒屋チェーンに転職しました。その頃、実家のお店では両親が魚屋と仕出しをやっており、時々実家に連絡するたびにお店が忙しくて手が足りないということを聞いていたので、家業を手伝いながら調理人を目指すことにしたのです。

【高木】幸手に帰ってきたのですね。

マグロ専門問屋で
    奥深さを学ぶ

【山中】そうですね。毎朝市場に行って魚の仕入をするのですが、勉強のためにもまず、父親と一緒に市場に行って仕入の勉強から始めました。やっと、一人で仕入が出来るようになってしばらく通っていると、市場内のマグロ専門問屋から、「自分の店の仕入も出来るし、勉強にもなるからうちへ勤めないか?」と声を掛けられたのです。仕入がやれれば店のほうは両親がいるので、父親も賛成してマグロ専門問屋にお世話になることにしたのです。そこでは、魚屋、寿司屋、料理屋、大手スーパーなどの買い付けがたくさん行われており、流通のすべてを学ぶことが出来ました。マグロの解体や豊富な魚の種類も勉強できました。とにかくマグロという魚の奥の深さを実感させる職場でした。その体験がいま役立っています。こだわりもあるのですが、パック売りはせず、お客様にマグロを見ていただいたり、自分でお薦めして、量り売りしています。山中健彦さん

【高木】お魚を焼いてくれるそうですね?

お客様のご希望に
   合わせて加工!

【山中】魚の加工する範囲はなんでもやりますよ。焼いてと言われれば焼きますし、煮てと言われれば煮ます。魚屋は魚の専門店ですから召し上がり方などのお客様のニーズが聞こえることはとてもプラスになるのです。事前に電話をいただいて焼くことも多いですね。また、当店の魚の煮付けは人気がありますよ。サバ、カレイなどポピュラーですが、今の季節、秋刀魚の煮付けもお薦めです。今年の秋刀魚は脂が乗っていて太っています。煮ても焼いてもおいしいですが、刺身もおいしいですからお試しください。揚げ物もアジフライ、イカフライ、十一月頃からカキフライと、おいしいものが続きますね。それから、もっともっと惣菜部門も充実していきたいと思っています。隠れた人気商品があるのですが自家製ポテトサラダです。毎日あるものではないのですが、あったらラッキーという商品です。

【高木趣味は?やってみたいことはありますか?

【山中】趣味はゴルフですかね?なかなか上達しませんが、友人や親しい人達とゴルフを通して親睦を深めています。それと昼食の時飲むビールはサイコーですね。スコアに関係なく…(笑)それから、やってみたいことですか?魚屋なのに今まで海釣りはやったことがなく、今年「海釣り体験学習」という機会があって、そこではじめて体験したのです。江ノ島の漁港から出ましたがソーダカツオやサバ、イナダなどが面白いように釣れました。忙しくて実現できるかどうかはわかりませんが、クルーザーを借りて仲間と海釣りに出て、カジキマグロを釣りたいですね。ぜひ、やってみたいですね。


【高木やっぱり、マグロに来ましたね。(笑)ではお友だちをご紹介ください。

【山中】幸宮神社の神主さんである東秀幸さんを紹介いたします。

【高木ありがとうございました。ますますのご繁栄をお祈りいたします。

(山中さんは家業を継承する時、親しい人から「これから魚屋は大手スーパーに対抗して厳しいよ」と言われたそうです。しかし、マグロ問屋で学んだマグロの奥深さに、厳しい時代でも差別化できれば絶対に負けないと確信して二代目になったそうです。やっていることはアナログでもアンテナを高くしてスローフードの代表格である魚を売っていきたいとパワーがあふれていました。元気なまちの魚屋さんであり続けて欲しいものです。営業時間は月曜休みの十時から午後七時半まで)




[Image :logo.jpg]