今年も残すところあと六日。商店にとっては歳末大売出しで忙しいラストスパートです。読者の皆様には年末のあわただしい毎日を過ごされていることかと思います。さて、本日の友達の輪には玉木歯科医院の玉木院長よりご紹介いただきました小林達郎さんです。小林さんは市内で二ヶ所の酒屋さんと本店ではお酒や食品の卸業をされている方で、本年の友達の輪のトリをとっていただきます。
叶j屋
代表取締役 小林 達郎さん
本紙取材 木 康夫
【木】こんにちは。玉木さんから幸手青年会議所に同時入会以来、親しい友人と伺ってまいりました。本日はよろしくお願い致します。
【小林(敬称略)】こんにちは。玉木さんは三学年上の先輩で、青年会議所に入るまでは接点がありませんでした。唯一、妹さんとは同級生で小学校の時に同じクラスでした。
【木】針屋さんは歴史があるようですが?
【小林】水屋製麺さんの落合さんが話されていましたが、昔、水屋さんは水を販売していたから水屋と呼ばれていたように、江戸時代、当店も釣り針を売っていたので針屋だったと聞いています。歴史はあるようですが、はっきりわかっているものでは明治のはじめ頃、質屋と酒屋をやっていたという話です。その後、大正時代になって銀座の酒屋で修行してきた祖父が酒屋専業にしたようです。また、第二次世界大戦後、昭和38年まで、荒宿地区で銭湯もしておりました。
【木】必然的にあとを継がれたということですね?
【小林】自分の人生の転機は今まで二回あったように思います。大学卒業を控えた四年生の就職活動の時に、自分は長男で妹が二人ですから、いつかは家業を継がなくてはと思っていました。それで、家業に入っても活かせるようにお酒の業界に入ろうと考えたのです。おかげさまでアサヒビールに入社し、入社一年目はビールの営業を担当しました。二年目になってワイン課という課が新設されてアサヒビールが輸入しているワインの市場拡大を担当することになりました。主な仕事は、デパートや酒屋でいかに多くのアサヒのワインを売っていただくかということや、その酒屋が納品しているホテルやレストランでワインを扱っていただくかということでした。酒屋の息子ですからお酒についての知識は一般の人よりあったように思いますが、ワインについて、本格的に勉強しなければならなくなり、いろいろな勉強会に出席したり、ソムリエとも話したりしていろいろなワインも飲みました。五年半ワイン課におりましたが、第一の転機としての選択が今の仕事に役立っているように思います。
【木】どんなワインがおいしいとされているのですか?お薦めのワインはありますか?
【小林】ワインの名称の多くは地名です。原料である葡萄が採れるところが地区だったり村だったり畑だったりなんです。狭いところの葡萄だけを使用したほうが個性のあるワインが出来ますし、生産量も少ないので高価なものが多いです。そして、ワインの出来は葡萄の出来と比例しています。一般的に日照時間の多い年はおいしいワインが出来ると言われてます。厳密に言えば収穫一ヶ月前からの日照時間が長ければ良いのです。今年、ヨーロッパでは冷夏でしたが、収穫一ヶ月前に日照時間が長くなったおかげで出来の良いボージョレーヌーボーが入荷してきました。お薦めですか?ワインは嗜好品であり人それぞれの好みが違うので、お話をいろいろお聞きしてからお薦めしています。白ワインでは、甘口から辛口で、その中でもボリューム感の多いもの少ないもの。赤ワインでは、こく(渋み)の多いものから少ないものに分けられます。ワインをはじめて飲むような方には白ワインでは甘口のドイツワイン、赤ワインではボージョレーのような渋みの少ないワインをお薦めしています。また、ワインをかなり飲まれている方には、値段の割にはコクのあるワイン、例えばチリ産のワイン。チリはフランス人が行って開発したところで、ワイン造りの技術力も高く、ワインを造っている地帯の気候も葡萄品種もフランスと一緒なんです。十九世紀の後半にはヨーロッパではフィロキセラという害虫がはびこって全域でワイン葡萄が全滅してしまいました。チリではそれ以前にフランスから持ち込んだ葡萄の木がそのまま残っていますので、その意味からもお薦めです。赤白ワインとも千円くらいからあります。今後の目標ですが、ワインをはじめ清酒、焼酎など、手ごろな値段で提供でき、かつ専門性の高いお店づくりをしたいですね。
【高木】二度の転機とお話されましたが、もう一度は?
第二の転機
地域に根差すとき
【小林】もう一度は、地域に商人として貢献できる生き方を学んだ時ですね。それは、家業を継いだ後に少ししてから商工会青年部や幸手青年会議所に誘われて入った時です。六年半もサラリーマン生活を送っておりましたので、地元には接点があるようでなかなか見いだせないでおりました。それぞれの団体で年齢層を超えた多くの人たちと活動する中で商人としての生き方やまちづくりへの関心などが高まっていったように思います。特に青年会議所では毎年理事長が変わるのですが第十五代目の理事長を務めさせていただき、その年、埼玉県の青年会議所会員二千名規模が集う大会をアスカル幸手にて開催させていただいたことも懐かしく思います。県内各地区からの物産ブースも市民の皆様によろこばれて盛況でした。どちらの団体も卒業しましたが、当時のメンバーと現在も親しくお付き合いしております。
【木】それでは、お友達をご紹介ください。
【小林】現在、幸手中央ロータリークラブに入っております。ロータリーは七月に新年度を迎えますが、来年度の会長である小澤一郎さんをご紹介いたします。小澤さんからは来年度の幹事を仰せつかりましたが、公私ともにお世話になっている人間性あふれる先輩です。
【木】ありがとうございました。二度の転機を活かし、地域に密着したご商売に更に精進いただきたいと思います。
(小林さんの趣味は昔の仲間とお酒を飲むこと?と中学高校とバスケ部員だったそうで、バスケをはじめとするスポーツ観戦だそうです。また、十年くらい前から地元で小中学校の同級生と集まることが多くなったとおっしゃるように友達の広さを感じさせる素敵な方でした)