さくらまつりも終わり道路渋滞から開放された街並みが戻ってきましたが、一緒ににぎやかさもどこかにいってしまったようです。やはり活気があるほうがいいですね。さて、本日の友達の輪にはやなぎやの福田三千代さんからご紹介いただきました「おにぎりの店ねもと」のおかみさんである根本僚子さんに登場いただきます。
おにぎりの店ねもと
おかみさん 根本僚子さん
本紙取材 木 康夫
【木】こんにちは。やなぎやの福田さんからご紹介いただきました。よろしくお願いいたします。
【根本(敬称略)】福田さんから連絡いただきまして本当にびっくりしました。こちらこそ、よろしくお願いいたします。
【木】ご商売はいつ頃からですか?
【根本】母が昭和三十年に幸手に越してきまして、最初は助町でおせんべいや駄菓子などを販売するお店をやっていました。昭和三十六年に大和不動産さんの紹介で現在の秋谷病院さんの前に引越しました。越してきた当時は目の前にある秋谷病院で事務職をしていました。その当時は前の道も砂利道で、久喜にあったレンガ工場まで見えるほど何もない殺風景なところで、前の砂利道を久喜までバスが通っていて、夏は縁台で夕涼みが出来る位のんびりしていました。
【木】おにぎりのお店ではなかったのですね。
【根本】そうですね。それで、昭和三十九年に母と私と妹の女三人で飲食店のお店を開こうということになり、秋谷先生が幸手は料理屋がたくさんあるし、飲食店を開くよりもおにぎりのお店なんかの方がいいのではとアドバイスをいただいたのです。当時、居酒屋のはしりでおにぎりのお店が流行り始めていたのです。古河の横山町に「みき」というおにぎりのお店があったのですが、結構流行っていました。そこに修行ということで勉強に行きました。時代もオリンピック前の高度成長期でしたので景気もよかったのです。それで、幸手で最初の「おにぎりのお店ねもと」を開店したのです。
【木】幸手の老舗ですね。
【根本】そうですね。(笑)始めた時は二十数種類のおにぎりを出していました。いくらからナスの浅漬けまで注文を受けてから手で握っていました。おにぎり屋さんの多くは木の型を使って握っていたのですが、うちではずっと手握りです。古河で学んだ事を活かしてまいりました。母と妹の三人でやっていこうと決め独身でスタートしたおにぎりの店ですが、一年後、妹は嫁いでしまい二十七才で現在の主人と結婚するまで母と二人で切り盛りしてきました。母にも感謝してますが、主人はサラリーマンで私は午前二時までの仕事と言う逆の生活を本当に理解してくれ毎日六時に起きてお勤め前にお店の掃除をしてから出勤してくれます。主人の協力がなければ今はないと思っています。本当に感謝しています。
【木】お客様の層が厚いですね。
母に学んだ
商いの基本
【根本】私も歳をとりましたがお客さまも歳をとり、親子二代でごひいきにして下さる方もたくさんいます。うれしいことです。お客様の結婚式にも幾度となく招いていただきました。毎年正月三日はお店は休みですが、お客様と親戚付き合いのごとく新年会を楽しんでいます。お客さんの子どもたちも増えてきてお年玉の数にもうれしさがあります。母が駄菓子屋をやっていた経験から「子どもたちのお金は取りきれないよ。毎日十円持って買いに来てくれる子どもたちを裏切らないことと同じように、まじめに安く安心してお客さんが来られるようなお店にしなさい。」と教えられました。ですから、千円札一枚でおふくろの味が楽しめるお店を目指してきました。それと、良いお客様に恵まれたことが一番の幸せです。
【木】何か工夫されているのですか?
【根本】お客様と一緒に楽しむことを大事にしています。結びの会というお客様が作っているお店の会があるのですが、自主的にイベントを開催しています。数年前までは結びの会で運動会も十年連続開催していました。それに、毎月四千円を積み立てして旅行もしています。もう四十回を超えています。また、ボーリング大会は月例で開催していますし、ゴルフコンペやソフトボール大会も定期的に開催しています。大きな家族みたいな感じですね?先日も若い人たちに誘われてスナックに行って自分の年を忘れて楽しんできました。おばちゃんを誘ってくれるのはとってもうれしいですね。主人からは「いい年なんだから無理しないように」と言われてますが。(笑)
【木】酒豪番付というお相撲の番付表みたいなものがありますが?ご趣味は相撲ですか?
店内に豪快な
酒豪番付表
【根本】趣味は旅行と食べ歩きです。おいしい評判を聞くとすぐに行ってしまいます。旅行も月に一回のペースですから、おいしい情報があれば旅行コースに加えてしまいます。先日も熱海であじのたたきをあったかいご飯にかけて醤油味でいただく料理があると聞いて行ってきました。新鮮だから出せる味でしたが本当においしかったですね。趣味と言うか夢ですが、本当はダンスを練習してみたいのです。内緒でみんなに隠れて練習し、突然上達した姿を見せたいと思っています。でも、時間がなくて夢で終わってしまいそうです。お店の番付表は昭和五十四年から始めたのですが、お店で一年間で飲んだお酒の量を記録しておきその順で番付を書いています。横綱になる方は一年間で一升瓶一七〇本という酒豪です。横綱になるには毎日五合のお酒を飲んでいる計算になりますから凄いことです。でも、いつかは横綱になってやるという気合の入った方もいるので、これも頭が下がる思いです。(笑)
【木】私なら倒れてしまいますね。(笑)では、お友だちをご紹介いただけますか?
【根本】昔からのお友達で「ダンスショップミチ」を経営されている山木美智子さんを紹介します。パワフルな方です。実は内緒でダンスを教わりたいと覆っているのですが。
【木】ありがとうございました。これからも、「まじめに安く」をモットーに家族的なお店作りに頑張って下さい。
(根本さんはとってもお客様思いの方で、お客様の要望に応えて裏メニューが多くなってしまったそうです。お客様を第一に考えてくれる老舗のおにぎりの店でした)