節分も過ぎ、梅の便りが届く季節になりました。まだまだ寒い日が続きますが春の訪れが待ち遠しいですね。さて、本日の友達の輪は(有)藤沼自動車代表取締役の藤沼光行さんよりご紹介いただいた内藤秀夫さんに登場いただきます。内藤さんは鞄訣驪ハ観光バスという会社を経営されている方です。
鞄訣驪ハ観光バス
代表取締役 内藤 秀夫さん
本誌取材 木 康夫
【木】こんにちは。藤沼さんから「お仕事でもお世話になっている方」とご紹介いただきました。よろしくお願いいたします。
【内藤(敬称略)】こんにちは。こちらこそよろしくお願いいたします。藤沼さんにはバスの車検や整備などで大変お世話になっております。ご近所でもありますから長いお付き合いをさせていただいています。
【木】内藤さんは以前サラリーマンだったそうですが、現在のお仕事はいつ頃始められたのですか?
規制緩和前の免許
勤めながら申請
【内藤】そうですね。地元の会社に勤務していました。小さい頃から車が大好きで、特に大型のトラックやバスの運転手にあこがれていました。学校を卒業後地元の会社に勤めていたのですが、心の隅に自動車関係の仕事に就きたいという思いがあったのでしょうね。それで、昭和六十二年の頃でしたがバス会社を興したいと思ったのです。しかし、会社を辞めてまで経験のない新しい事業に進もうとは思いませんでした。なぜならば当時は、規制緩和前の時代でしたから観光バス事業については免許事業で、関東運輸局の認可を受けないと開業できませんでした。需要と供給のバランスが崩れてバスなど輸送業界を不安定にできないという考え方があったのですね。いわゆる需給調整の時代で、申請を出すと免許がおりるまでに九ヶ月もかかったのです。それで、三十二才だったのですが免許がおりれば脱サラするつもりで申請書を出してみたのです。
【木】すぐに免許はおりたのですか?
【内藤】いやいや、なかなかおりません。当時の申請書は厚さ5cmにもなる分厚い書類です。素人にはなかなか作れませんから行政書士にお願いして作成しました。しかし、素人ですから専門用語の意味も理解していないありまさで、当然ですが免許はおりませんでした。それで、再度勉強しなおして再び申請したのです。しかし、二度目の申請も残念ながらだめでした。あきらめかけたのですが、もう一度と思って書類を作成しなおして三度目の申請をしたのです。一度の申請には約一年半かかっていますから、すでに四年半の歳月が流れました。結果はまたもだめ、なぜ免許が下りないんだと不信に思いました。でも、運輸局報という業界紙に免許の合否が掲載され、国が免許を出す以上新規参入と既存のバランスが崩れないように調整があるんだなと理解したのです。それで、最後の挑戦との思いで四度目の申請を決意して出したのです。八年かかりましたがついに免許が下りたのです。まわりからは「根性あるな」とか「あきらめないでよくやったな」と言われました。八年間の夢がかなったと同時にこれからが大変だなと思いました。そして、免許が下りたら四ヶ月以内にスタートしなければなりませんでしたから、平成六年十二月に会社を退社し翌年二月に創業となりました。中型バス七台で観光バスを主にスタートしました。
【木】八年間ですか、すごいですね。あきらめちゃいけませんね。幸手市内を循環しているバスも内藤さんのところで運行されているようですね。
市内循環バス
毎日360km
【内藤】平成十七年十月から当社で運行しています。黄色とピンクのバスで毎日、西コースと東コースの二つのコースを八周しています。スタートは幸手市役所ですが朝八時から夜六時までの時間で運行しています。幸手市内のコースをバスが巡回しています。限られたエリアですから毎日の走行距離に皆さんが驚かれるのですが、バス一台の一日の走行距離は約180kmにもなります。二台ですから360kmにもなります。年末の十二月二十九日から一月三日までは運行休止ですが、それ以外は無休で巡回しています。乗車料は無料ですから多くの市民の皆様に利用して欲しいですね。運行を委託されている当社としましても、安全第一に市民に喜ばれる運行に勤めています。
【木】これからやってみたいことや夢などありますか?
抱える課題は
これからたくさん
【内藤】私は性格的に気楽なタイプなんですが、免許申請の経験もあって「一生懸命やれば報われる」と思っています。当社は創業当時、埼玉県で七十社目くらいでしたが、現在は規制緩和によって許可制になりましたので、県内には同業社が三百社以上あります。私たちの職業はお客様の命を預ってる職業ですから「安全第一、無事に出て無事に帰ってくる」を基本に乗務員の労務管理を含めて運行管理を行っています。事故の不安などリスクが多い業務ですし、車輌購入の資金調達や車輌設備への先行投資、今後においては地球温暖化防止への取り組みで車輌の排ガス対策など抱えるものがたくさんあります。地域に貢献しながら地道に歩んで行きたいと思います。夢ではありませんが、子どもがまだ学生ですから後継者になるかどうかはわかりませんが、子どもがやりたいと思うものをやらせてあげられる親であり、応援できる親になりたいと思います。
【木】では、お友達をご紹介下さい。
【内藤】車のタイヤで長くお付き合いさせていただいてる長浜タイヤ工業鰍フ長浜厚さんを紹介いたします。以前、お父さんも出られているようですね。
木】本日はありがとうございました。ますますのご発展を祈念いたします。
(内藤さんは昨年新しいバスを二台導入されたそうです。試乗させていただきましたが、キャビンは豪華仕様で快適な旅が楽しめそうなバスでした。益々のご繁栄を祈念します。)