桜のつぼみも寒い北風に耐えながら日を数えるごとに膨らんできたように感じます。春の兆しあふれる季節となってまいりました。さて、本日の友達の輪は長浜タイヤ工業鰍フ社長である長浜厚さんからご紹介いただいた大里英二さんに登場いただきます。大里さんは幸手市内の国道四号線でガソリンスタンドを経営されています。
椛蝸「商店
代表取締役 大里 英二さん
本誌取材 木 康夫
【木】こんにちは。長浜さんからお仕事を通じてのご紹介ということでお伺いしました。本日はよろしくお願いいたします。
【大里(敬称略)】こんにちは。よろしくお願いいたします。長浜さんとは先代の社長さんからのお取引でかれこれ二十年以上になりますね。とても親切なタイヤ専門の会社ですね。
【木】大里さんはこのお仕事二代目と伺いましたが?
終戦後に
石鹸を作って
【大里】終戦後のことですが、石鹸が足らなかった時代がありました。そこで、父が幸手市内にある「ならいち」さんの前で油脂と苛性ソーダを混ぜて石鹸を作っていたことが始まりと聞いています。その他に食用油なども販売していたようです。その後、昭和三十四年に四号バイパス(現在の四号国道)の造成工事が始まり、車社会の到来を感じて農家の方から土地を購入しガソリンスタンドを開業しました。四号バイパス開通と同時に五店のガソリンスタンドが開業しました。開業当時はガソリンに今のような暫定税率もありませんでした。ガソリン税が28円位でしたから、ガソリンの販売価格はリッター四十円位だったように記憶しています。東京オリンピックが昭和三十九年でしたが、高度成長期で順調に伸びていきました。当然のようにガソリンスタンドも増え続けましたね。昭和四十八年十二月にオイルショックが起こってトイレットペーパーなどに消費者が殺到した時期もありましたが、ガソリンなどの出荷制限があったものの景気自体は落ち込んでいなかったので危機的なことではありませんでした。しかし、その後のガソリンの製品自由化で安いガソリンが海外から商社や農協などに入ってくるようになって競争が激しくなり、商売が厳しくなっていきました。現在暫定税率が話題になっていますが、私たちの業界は大手資本による異業種参入や二十四時間営業などのガソリンスタンドも増えており厳しくなる一方です。老朽化したスタンドや小規模なセルフスタンドなどは淘汰されてしまうのではないでしょうか。それにガソリンが先物取引で100ドルという投資対象にもなっており大変な時代になってしまいました。私は昭和四十二年に家業を継ぎ、二代目としてかれこれ四十一年目になります。二人の息子がおりますが、後継者として三代目も育っておりますので安心しています。
【木】話は変わりますが大里さんは絵画をご趣味で楽しんでおられるようですね。
【大里】子どもの頃から絵を描くのが好きで小学生の頃はいつも賞をいただいていました。ずっと、絵を描いたり木を彫ったりするのが好きでしたね。三十代の頃に町の文化祭に木彫りを出展しましたら、作品を見た中央公民館の方から彫刻講座の講師を依頼されたのです。それで、半年単位の講座でしたがお引き受けしたのです。最初は三十人位集まりましたね。三年間くらい講師をさせていただきました。好きなことを講座の人たちと一緒にやれて楽しかったですね。それで、十年ほど前になりますが絵が描きたくなってきて高橋千代子先生の「モナリザクラブ」というアートクラブがあるのですがそこに参加させていただきました。。
【木】どんな絵を描かれるのですか?また、どのくらいで描かれているのですか?
何気ない風景が
醸し出す臨場感
【大里】特別でない普通の風景をその現場でじっくり観察して描くのが好きなんです。「いい景色必ずしもいい絵にならず」という言葉がありますが、たとえば農業小屋の道具置き場とか、ガソリンスタンドの倉庫とか、現場に居ると感じる光も違いますし、その臨場感を大切にしたいのです。展覧会に出品するとか、入選を狙うとかでなくて、自分で楽しむだけでいいと思っています。とにかく、描いているときが一番楽しいのです。でも、不思議なもので完成間近になってくると気に入らないケースがほとんどなのです。描いているときはどういう絵が出来上がるのか楽しみなんですが、大抵完成すると不満ばかりです。(笑)そして、次のキャンバスに挑戦したくなるのです。描きあげたばかりの作品をヤスリで削ってその上に描き上げる事もあります。キャンバスに向かうと二、三時間は描いています。油彩は乾くのを待ってから描いていきますから、ひとつの作品に二週間から一ヶ月かかりますね。
【木】これから描いてみたい絵などはありますか?
オリジナリティな
作品を描きたい
【大里】これから描いてみたいものは、人が描いたことのないようなものを自分なりに表現したいと思っています。絵の良さや評価はいままで描いたこともないオリジナリティにあると思います。大胆なオリジナリティあふれるゴッホでもピカソでも晩年にはまったく違うものになっていますね。なんでもそうだと思うのですが、車でも歌でも斬新さが大切だと思います。
【木】では、お友達をご紹介下さい。それと、絵を描くワンポイントアドバイスなどありますか?
【大里】絵は細い筆でちょこちょこ描いているとだめですね。太い筆で大胆に描いていくことです。町の電気屋さんとして頑張っている野口堂の牛窪勝重さんをご紹介いたします。
【木】今日はお仕事中のお忙しい中、取材に応じていただきありがとうございました。
(大里さんは息子さんをはじめファミリー的なスタンド経営をされています。そして、モナリザクラブの作品として大里さんの作品は三月十四日まで埼玉りそな銀行幸手支店内に飾られているそうです。機会があったらご覧下さい。)