残暑厳しい夏でしたが、気分はすっかり秋ですね。秋といえば食欲の秋、本日の友達の輪には那須歯科医院の院長である那須豊徳さんからご紹介いただいた藤倉 保さんに登場いただきます。藤倉さんは幸手市戸島にある「レストランかをり」のオーナーシェフです。
レストランかをり
オーナーシェフ 藤倉 保さん
本誌取材 木 康夫
【木】こんにちは。ランチタイムが終わってお疲れのところすみません。本日はよろしくお願いいたします。
【藤倉(敬称略)】こちらこそよろしくお願いいたします。那須先生からのご紹介ということで恐縮しています。先生が最初に当店に食事に来られてからのお付き合いで、今は歯の治療でお世話になっています。
【木】オーナーシェフということですが、どのような経緯で開業されたのですか?
食事付のバイト
【藤倉】昭和三十九年という古い話ですが、私は工学院大学の電子工学部の学生でコンピューターを勉強していました。当時のコンピューターは今では考えられないくらい大きなもので、業務用の冷蔵庫くらいあってそれでも性能は電卓程度でした。技術進歩はめまぐるしいものがありますが、卒業後はコンピューター関係の仕事に就きたいと考えていました。ところが、突然父が亡くなってしまったのです。父の理解と資金援助で大学に通っていましたから、大学生活を続けるには自らアルバイトで学費を捻出しなくてはなりません。それで、食事が付いてお金が貰える一石二鳥のレストランでバイトを始めたのです。この業界は賄いつきが多く、ご飯がただで食べられる特典がありましたからね。アルバイトしながら電子工学を学んでいましたが、私自身もともと料理が好きで、いつのまにか料理の世界に魅力を感じていたのです。
【木】電子工学専攻から料理のシェフになろうと思ったのですか?
【藤倉】そうですね。好きだった料理に魅力を感じて、シェフになろうと思ったのです。それで、卒業後は丸の内にあるポールスターというレストランに就職しました。ここは船のレストランで腕を揮っていたシェフが船を降りて開いているレストランでした。コックの間では「船の料理は丁寧」と言われていました。それは船旅での一番の楽しみは三度の食事と言われるほどでしたから、繊細な料理を提供するのです。現在横浜に係留されている氷川丸がありますが、その現役時代にコック長だったシェフのレストランで料理を学びました。そして、二十七才の時に生まれ育ったこの地で開業したのです。フレンチを学んできましたが、当時はフレンチのお店などなくて洋食レストランのお店にしました。コンセプトはサロンのあるレストランです。お店の中央にバーカウンターを設けて、左右にレストランコーナーとサロンコーナーを作りました。また、手作りにこだわっていて原材料の調達は自ら市場に行き、ソースもすべてを手作りです。ドミグラスソースやカレーソースなどは一週間かけ、トマトソースも四日間かかります。伝統的な料理ですがシチューなども五時間かけて煮込んでいます。開業して三十五年になりました。
【木】ずいぶん若いときにお店を開かれたのですね。
店で結婚披露宴
【藤倉】今考えるとずいぶん若かったなと思います。都心などの物件を借りることも考えました。でも、地元で開いたのは境と杉戸を結ぶ県道に面しており、レストランが無かったこともありますね。それに、一度建ててしまえば家賃がかからないと考えたからです。銀行に融資のお願いをしましたら「一時間に何台の車が通るのか調べたほうが良い」などと示唆されましたが、借り入れも出来て開業にこぎつけました。三年後に結婚が決まったときの話ですが、シェフの親方や仲間五人が協力するから自分の店で結婚披露宴をやったほうがいいと提案されました。一階二階満席のお客様を迎えての披露宴です。やるからには中途半端はいやでしたから、結婚式当日の朝早くから万全な仕込みを行い、料理の準備はすべて私がやりました。準備が出来ると今度は親方や仲間に後を頼んで結婚式です。妻のほうは隣が美容室ですから着付けをして、二人で地元の宝聖寺で仏前結婚式を挙げました。足がしびれた思い出があります。戻ってきて今度は披露宴、自分のお店で開けたことはとても良かったのですが、お開きの時間に制限がありませんから延々とお祝いが続きました。朝までかかって片づけをして、新婚旅行に出かけたものです。もちろんお店は休まずに一週間のメニューを書いてスタッフに任せてハワイに行ってきました。三十二年前の話です。(笑)
【木】店名の「かをり」には由来があるのですか?また、お薦めメニューをご紹介下さい。
母の名から店名
【藤倉】母の名前が「寿々香」と言うのですが、ひびきがいい「香」一文字をもらって、ひらがなで店名にしたものです。お薦めですか。まず、お肉ですが当店の牛肉料理はすべて黒毛牛です。おいしい黒毛牛の料理はお薦めです。魚料理では舌平目のフライも人気ですね。フライを揚げてから骨を抜いて船のような形で提供します。今は牡蠣のシーズンではありませんが、牡蠣料理もお薦めですよ。毎日十一時から二時まではランチメニューを用意しています。「かをりランチ」という本日のランチも人気メニューです。ワンディッシュスタイルが中心ですが、アラカルトやスープやコーヒーなどが付いたバージョンも人気を頂いております。
【木】では、お友だちをご紹介下さい。
【藤倉】幸手さくら通りで「ハーティ」という美容室を開いている新井篤さんを紹介します。新井さんは美容室のオーナーでもありスタイリストです。
【木】本日はお忙しい中ありがとうございました。益々のご活躍をお祈りいたします。
(藤倉さんはとても明るい方でご夫婦で温かいおもてなしをいただきました。手作りピザは人気だそうで、事前予約で焼き上げてテイクアウトされるお客様も多いとか。また、料理のケータリングもおこなっているそうで、事前のご予約をいただければ予算に合わせた料理を作ってくれるそうです。「レストラン かをり」48-0298 11時〜21時まで水曜日定休)