1996年2月18日



梅のたよりも届いてきました。先日高浜彰男さんから紹介していただいた中村行生さんに自宅でインタビューをしました。

幸手走友会会長・中村 行生さん
本紙取材・高木 康夫

【高木】こんにちは。高浜さんから幼なじみの中村さんをご紹介ということでお邪魔しました。よろしくお願いします。

【中村(敬称略)】「友達の輪」というコーナーに、私が紹介されるとは思ってもいませんでした。高浜さんとは、幼稚園から高校まで一緒という親しい間柄でしたので、紹介いただいたのでしょう。

【高木】「タウンプレスよみうり」をご覧いただきありがとうございます。高浜さんから中村さんへよろしくお伝えくださいとのことです。さて、中村さんは幸手走友会の会長として活躍しているそうですが。

【中村】活躍というほどではありませんが、幸手走友会は1982年にジョギングクラブとして発足し、87年に走友会と名称を改めて、その時から会長を改めて、その時から会長を務めさせてもらっています。会員は現在83人、毎週日曜日の朝八時に市役所に集まり、ランの部ウォークの部に分かれて、走り・歩いています。

【高木】毎週日曜日とは参加している人にっては大変ですね。

【中村】そんなことはないんです。私たちの会は、会員が都合のつく日曜に参加して、走ったり歩いたりしようというもので、気軽に参加してお互いの交流を深めています。健康のためとか、体力増進のためとか、レースの出場のためとか会員によっていろんな目的があります。ですから、会員の年齢層も20歳代から70歳と、とっても幅広いのです。

きっかけは
 女生徒の一言

【高木】なるほど、都合に合わせて自由に参加できるのですね。ところで、中村さんがマラソンを始めたのはいつ頃なんですか。

【中村】去年まで春日部高校に勤めていたのですが、その前の幸手商業にいた時、担任していたクラスの女子生徒に「先生、少しお腹がでましたね」と言われたんです。私もその頃は42歳で気持ちも若かったので、「よし、それでは」と思い立って走り始めたんです。最初は500M走るのが精一杯。今でもクラス会でその女性と会うと本人は忘れているんですが「私のランニングの恩人」と言っています(笑い)

【高木】それから、かれこれ20年近く走っているんですね。マラソンを通じて、1番の思い出はどんなことですか。

ホノルルで
 感動のゴール

【中村】そうですね。去年の12月、退職と還暦を記念してホノルルマラソンに行ってきました。数年前から退職したら必らず出ようと思っていたのです。参加者は3万4千人。フルマラソンは4回完走しているのですが、当日は31℃という記録的な猛暑でしたので、ゴールのときは我なまがらよく耐えたという思いと、長い間の願いがかなったという喜びですごく感動しました。ゴール手前500Mくらいから、熱いものが込み上げてきて、涙を迎えられないんですね、60の男が。日本のようにタイムを競うのではなく、走ることを本当に楽しんで、完走できた喜びを満喫しました。それに、「頑張れ」ではなくて、LOOKING GOOD!(かっこいいヨ)、NICE JOB!(すばらしいネ)と、ボランティアの人達が応援してくれるんですね。この声援の表現といい、走ることの楽しみ方といい、レースに対する別の発想があることを教えられたような気がしました。

【高木】素晴らしい経験ですね。私などとてもフルマラソンを走れないと思うのですが…。

【中村】ええ、私も前は、フルマラソンはTVで見るものだと思っていました。

【高木】走っているときは、どういう感じなんですか?

【中村】いろいろなことを考えていますね。走りながらですから、前向きのアイディアがでてくる感じですね。

「未見の我」で
 前向き人生

【高木】人生観まで変化してくるんですね。中村さんの人生訓はどんなことですか。

【中村】故人になりましたが、私の親戚に詩人で社会評論家の安積得也さんという方がいます。安積さんの詩に「未見の我」という言葉があります。私の人生訓も「未見の我」というものです。自分の中にはまだ見たことのない自分がいるはずで、それを見つけていく人生を送りたいと思っています。

【高木】そうですか。安積先生は桜田の出身ですね幸手の小中学校の校歌をいくつか作詞されていますね。

【中村】ところで、私は38年の教員生活を、「新聞バカ」と言われたほど学校新聞の指導にのめりこんできました。3人の子供達は、小さいころ、そんな私を距離をおいて見たり、時には反発して見てた時もありました。でも、やがて、長男が読売新聞社に入って新聞の道を継いでくれましたし、長女が教員になり、次女もスポーツインストラクターとなって、おやじの3つの面を引き継いでくれました。親として本当にうれしいことです。親の背中を見ながら、それぞれが、「未見の我」を見いだしたのかも知れません。また、家内に刺激されて、私も60の手習いで油絵教室に通いだしました。もう1人の自分が見つかりそうです。

【高木】家族そろって前向きの人生ですね。ところで中村さんは春日部高校同窓会の事務局長をされているそうですが。

【中村】ええ、卒業生が幸手だけでも500人ほど、全部で2万7千人もいるのですが、平成11年に創立100周年を迎えますので、今その準備に追われています。

【高木】大変なお役目ですね。マラソンで鍛えた身体と長い間培った経験、それに幅広い友好関係が、お仕事にとても役立つことと思います。お身体を大切にし頑張ってください。さて、お友達を1人紹介いただきたいのですが…。

【中村】そうですね。先輩なのですが、幸手劇場の松田純一さんを紹介します。

【高木】ありがとうございます。早速お邪魔させていただきます。ありがとうございました。

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