ゴールデンウィークも終り初夏の香が強くなってきました。東地区子ども会育成連絡協議会元会長・田代美智子さんにご紹介いただきました南2丁目にお住まいの稲星のり子さんに、ご登場頂きます。
幸手病院看護婦元幸手市連広報委員・稲星のり子さん
本紙取材・高木 康夫
【高木】こんにちは。田代さんからのご紹介で、お邪魔しました。
【稲星(敬称略)】田代さんは、今年3月まで幸手市子ども会育成連絡協議会の広報委員会でご一緒させていただいた間柄で、突然の紹介に戸惑っています。
【高木】今日はお忙しいところ勤務先の幸手病院まで押し掛けまして、よろしくお願いいたします。稲星さんは看護婦の仕事は長いのですか。
【稲星】私は看護婦というより助産婦なんです。幸手病院にはかれこれ10年間お世話になっています。
【高木】助産婦さんなのですか。そうすると新しい命の誕生のお手伝いをされているのですね。
【稲星】そうですね。分娩に立ち会い、取り上げたお子さんの数は千を超えますよ。でも、誕生の瞬間はとても神秘的で、とても感動的なものでこの仕事をしてよかったなと、いつも思っています。
【高木】助産婦さんになろうと思ったきっかけはなんですか。
【稲星】子供達が好きということと、分娩という新しい命の誕生に感動したからです。助産婦を目指していた学生時代は、資格を取得するのに12例の分娩を行わなくてはならないのです。そのときは自分がメインではなかったのであまり気にもならなかったのですが、資格を取って始めて助産婦として赤ちゃんを取り上げたときには「本当に出来るんだろうか」と手が震えたことを鮮明におぼえています。そのときのお子さんも今では13才になっています。その子のお母さんとは今でもお話をするんですよ。子供さんも町で見掛けるんですが、声はかけられないですね。何か遠くで見守ってあげたい気もちです。
【高木】男性にはわからない事ですね。
【稲星】女性にとってはとても感動的なことですが、同時にとても大変なことでもあるんです。でも、私は女に生まれた特権だと思っています。仕事柄いろいろな捉え方を耳にしますよ。「出産はもうたくさんだ」とか「感動して涙が止まらなっかた」とか、出産直後はほとんどの方が女に生まれてよかったと思っているのではないでしょうか。
【高木】なるほど。ところで、お仕事は24時間体制ですよね。
【稲星】幸手病院では三交替で勤務しています。小さな命を預かっている訳ですから、いつ、何が起きても対応できるようになっているんです。妙な話ですが、私は胃潰瘍を持っているんです。そして、仕事中に胃が痛くなることがあるんです。そんな時は大抵出産があります。仕事柄、緊張感もあって出産の前兆を予知している気がします。
【高木】そうですか。仕事はもちろん夜勤もありますよね。
【稲星】そうです。私は主人と主人の母、子供2人の5人家族なんですが、どうしても仕事中心の生活になってしまいます。それに、主人も私も同様の医療従事者で丸山病院の看護士として勤務していますので、家族の生活時間がまちまちになってしまう事がよくあります。
【高木】お子さんは小学6年生と中学1年生ですよね。いろいろとコミュニケーションの必要な時期ですね。
【稲星】生まれたときから、主人も私も医療従事者という事で子供たちも慣れてしまっているのかなと思うのですが、夜勤などの時は子供が学校から帰ってくる前に出勤し、翌日子供達が、学校に出かけた後に職場から帰って来るというパターンがあるのです。こういう時は子供達に手紙を書いていきます。「おかえりなさい。夕飯が用意してあるから食べてね」とか「おはよう、元気に学校に行ってらっしゃい」なんて書くのです。子供達も返事を書いてくれ「お母さん疲れたでしょう。明日学校で○○があります」なんて調子です。放任主義ではないのですが、よく親を理解してくれています。
【高木】手紙でのコミュニイケーションですね。でも、そんなに忙しいのに子ども会にも参加されているのですね。
【稲星】子ども会は子供たちが学校に入学したら、入るものと思っていましたので自然な形で子供たちも私も一緒に参加しています。今の子供たちを取り巻く社会環境は地域のつながりが薄くなってきたように感じます。核家族が進んで3世代が同居しなくなってきたせいもあるのでしょうが、地域で子供たちを見てあげるという意識が、余計なお世話になってしまったりわずらわしく感じてしまったりするのでしょう。私などは自分の子供たちが悪い事をしていたら「叱ってくれる人がいたら」と思う時もあります。自分の住んでいる地域にとっては子供を通じて交流が計れる数少ない団体ですので、気軽に入れる環境を作っていく必要性も感じています。
【高木】子供も少なくなってきていますし、地域ぐるみの交流も難しくなりますね。
【稲星】幸手病院では母親学級としてこれから出産をする女性の方に向けての勉強会を開催しているのですが、参加している方の多くは地域のつながりが少ないので、相談する場がないからというケースが多くなってきています。昔はお姑さんが同居していて、何かと相談に乗って安心できたのですが、環境が変わって本やマニュアル的なものに頼らざるを得ないという現実に、不安が増すばかりです。こんな時、地域での交流は立ち話ひとつでも役立つと子もいます。ですから、地域の交流が活発な所は人間関係がとても素敵だと思います。
【高木】なるほど。子ども会でもなんでも地域交流が原点ですね。お忙しいところありがとうございました。では、お友達をご紹介頂きたいのですが。
【稲星】権現堂子ども会の伊藤浩和さんをご紹介します。地域交流の大切さを同じ様に感じていらっしゃる方で地域活動にも熱心な方です。
【高木】これからも小さな天使たちの誕生にご尽力下さい。
【白衣の天使は、家族と地域と子育て、仕事にと、大忙しの優しさあふれる方でした】