1999年11月21日



 収穫祭や紅葉祭が各地で開催され、それぞれに冬支度をはじめる季節が到来しました。今年も残すところあと1ヶ月ですね。友達の輪も4年間を経過しおかげさまで前回100人目を迎え、「友達の輪・第一集」としてまもなく発刊されます。そして、今日からは新たな100人目に向けての再スタートです。

(有)真花園
代表取締役 青田 真芳さん
本紙取材 高木 康夫

【高木】梨本さんから家族ぐるみのお付き合いをされていると伺ってまいりました。

【青田(敬称略)】梨本さんとは私が幸手に越してきた頃から親しくさせて頂いている間柄です。特に子供を介しての縁が深く、子供たちが幼稚園のころには自分の商売が忙しくて、梨本さんに子供たちをスキーによく連れていってもらいました。

【高木】お生まれはどちらですか?

熊谷へ丁稚に
   夢を求めるも辛い日々

【青田】福島の出身です。実家は農家でしたが、昔で言う「口減らし」のため、17才のときですが、花屋さんに勤めている先輩に声を掛けられ熊谷に出てきました。花屋さんという商売は歴史が浅く、お店としては昭和から大半が出てきました。私が熊谷で花屋の会社に勤めたのはいまから30年も前のことですが、当時は花を購入するのは一般家庭では正月、お盆、慶弔ぐらいで、ほとんどがお花の先生と団体稽古用でした。私の仕事といえば毎朝5時に市場へ行く社長を自転車で駅まで乗せていくことと、熊谷のお店から加須や羽生へじゃり道を自転車に乗ってお花を届けることがもっぱらで、その他はごみ掃除や花の切りくずを捨てに行く毎日でした。朝早くから夜九時近くまで、丁稚でしたから給料も安く、休みも少なく毎日働いていましたので、大好きなプロレスも観ることができず、辛くて辞めてしまおうかなと何度も思いました。

【高木】どうして辞めなかったのですか。

負けてたまるか
   果敢にチャレンジ

【青田】花屋の売上のほとんどはお花の先生と団体稽古で占められ、花屋としては新規のお客様を開拓してこなければ発展が望めないのです。社長に営業をまかされたのですが、東北出身で口下手だったもので、一件もお客が取れないのです。悔しかったですが、20才まで営業が取れないなら辞めようと心に決め、会社の年度替りを狙って会社のレクリーションや厚生のひとつとして、新年度からのお花の稽古を売り込んだのです。新しい企画として社内回覧版をまわしたり、予算をとってもらうように企画書を作成したりと、いろいろなことに着手しました。その結果、今まで一件も取れなかったのに、どんどん申し込みが来るのです。自分にとっては凄い自信になりましたし、毎日ごみ捨てばかりをしながらも、チャンスを与えつづけてくれた社長に感謝したものです。

【高木】いい会社ですね。

お金を貯めたり
   遊びほうけたり

【青田】その上、会社の方針は「若くして早く独立すべし」で、店を持ちたくてもお金が無いわけですから、とにかく、自信をつけた後には独立資金を貯めることに徹しました。ところが不器用なのですね。お金を貯めることに徹したら、それだけになってしまったのです。まったく遊びませんでしたから、友人とも話しが合わないし、友人も離れていってしまう感じがしました。ギャンブルの話などはチンプンカンプン。(笑い)そこで、今度は一転遊ぶことに徹したのです。本当に1年間、徹底的に遊びました。競艇、競馬、競輪と連日通ったこともありますし、パチンコにのめり込んだこともありますが、商人とし重要な話題性はこのころ培ったものだと思います。

【高木】ずいぶん極端ですね。

内助の功
   一人では何も出来ない!

【青田】今思えばそうですね。その後、会社で開校したフラワーデザインスクールに、花屋さんをやりたいという夢を持って通ってきていた家内と出会って、結婚し、夢を持ちながら18年前、なんとか幸手の地で開業することが出来ました。開店したばかり、家内は妊娠4ヶ月でつわりがひどく、しかも花は売れないという状態で、自分の気が小さかったのでしょうね、思うようにいかないことで家内を怒鳴り、毎晩泣かせたことを思い出します。でも、女房の「つぶれたら、つぶれたでいいじゃないか」という太っ腹な考え方で、なんとかがんばってこれたのかなと思います。5年前には現在の場所で自店を構えることが出来、現在は駐車場もありませんので、もっと大きな花屋を目標にがんばっていきたいと思います。

【高木】夫唱婦随ですね。趣味は?

初心忘るべからず

【青田】将棋が好きです。実は商売でスランプになると将棋を打ったり、将棋の入門書を読んだりして初心に返ることをします。商売にも同じことが言えると思うのですが、なかなか出来るようで出来ないことです。昔は「凍る間も無し水ぐるま」という言葉が自分にぴったりと思っていました。今は「この道しか、我生かす道なし」が好きな言葉に加わりました。自分の道を信じ一生懸命がんばっていくのだという思いです。そして、時代が変わっても自分の足を使ってこまわりのきく、ご用聞きの花屋を目指したいと思っています。

【高木】それでは、お友達をご紹介下さい。

【青田】お店のお客さんですが、幸手なぎなた連盟の理事長をされ、幸手市東にお住まいの林基子さんを紹介します。

【高木】ありがとうございました。これからも、一年を通じて多くの場所を素敵なお花で飾って下さい。

(青田さん一家はご夫婦と2人のお子さんに愛犬ポピーの5人だそうで、取材のときにも娘さんと奥さんが楽しそうにのぞいていました。ちょっと照れ屋の青田さんですが、地元助町商店会副会長もされ、地域のボランテイア活動にも積極的に参加されております。真花園さんでは全国世界にお花が送れるそうで、奥様はフラワー装飾技能一級を取得し、フラワーデザイン教室も再開されたそうです。無料ですのでよろしかったらお声がけ下さいとのことです。月曜定休・営業時間:午前8時半〜午後8時まで)

友達の輪メニューに戻ります