2000年7月9日



 七夕も過ぎ、早いもので今年も後半に突入致しました。本日の友達の輪は久喜市青毛特定土地区画整理組合副理事長関根良平さんからご紹介いただいた久喜市長の田中暄二さんにお話を伺ってまいりました。

久喜市長 田中 暄二さん
本紙取材 高木 康夫

【高木】こんにちは。特定土地区画整理組合の関根副理事長から、大きな視点でまちづくりをしている田中市長の話しは興味深いと紹介いただきましたが、市長としてまちづくりの原点はどこにあるのでしょうか?

【田中(敬称略)】私の父も祖父も市議としてまちづくりに係わってきたということもあるのですが、私とまちづくりの原点は青年会議所(JC)運動にあります。久喜JCの理事長やJC埼玉ブロック協議会の役職を経験させていただき、年齢制限が(JCは四十才まで)ありますので昭和六十年に卒業しました。しかし、「JCでまちづくりに係わってきた経験を市政に反映させろ」と、仲間内から推薦され市議会議員に当選、その後、県議会議員に立候補し、六年半県議を務めた後、坂本前久喜市長の勇退を受けて後継者として当選させていただき、現在三年弱が経過しました。選挙によって選ばれる職責でありますから、たいへんありがたく思うと共に責任を強く感じております。私は市長という役職は事務職という位置づけではなく、市民や行政に常に夢を語りつづける職務と思っております。

【高木】それにしても、久喜市は日々変化しているように感じられますが?

西口再開発が
  大きなきっかけ

【田中】市内の様々な面整備や道路整備は都市決定から数十年経過しているもので決して各々が順調に進んだものではありません。しかし、平成三年に完成した西口の再開発がきっかけとなって久喜西口駅前から県道大宮栗橋線までの道路整備を埼玉県と共同で取り組んでおります。現在、概ね98%の用地買収が終わり少しづつ変貌を遂げる街並みに、協力していただいた地権者の方々からも喜びの声を頂いております。とかく行政指導が強く上位下達的になりがちで地域の方々との話し合いも順風満帆にはいかないケースもありましたが、数多くの話し合いが理解、協力に結びつき、市民の誇れる西口駅前及び道路整備となったものです。

【高木】これからのまちづくりに大切なことは?

行政と市民の役割分担
  地方分権の時代

【田中】埼玉県の特色は、人口の急増県であるということと、自治体の行政面積が狭いということです。市の面積では全国平均が157平方キロに対し、県内四十三市の平均は44平方キロと1/4程度の面積です。久喜市においては25平方キロで、全国平均の1/6になります。たとえば、県庁に出向くのに、久喜、白岡、蓮田、伊奈、上尾、大宮、与野、浦和と八つの行政区を通過することになります。東北地方のように山や谷といった自然の境界で区切られた行政区ではありませんから、現在のような車社会では市民の生活圏が広域化してきて市民、住民としての意識も弱くなってまいります。これも埼玉県民の特色のひとつだと思います。しかし、従来の国や県からの補助金のもとに成長してきた地方行政は、地方分権のもとでは、各々の自治体が自ら政策立案し、財政を確立し、責任を負わなければなりません。つまり、地方分権時代にあっては自治体の力、行政の力と同様に、市民の地域に対する意識の高さと自立が必要とされます。市民と行政が役割を分担しながら自分達のまちづくりを協働で推進していく時代がもうそこまでやってきていると思います。

【高木】環境問題に取り組む姿勢やゴミ減量では県内でも有名ですが?

市民の力で
  ゴミ減量

【田中】ゴミ問題では久喜市と宮代町で久喜宮代衛生組合として、昭和三十六年に発足し今日に到っておりますが、数年前から15分別回収を行っております。ゴミを燃やすことによって発生するダイオキシン問題も、ゴミを減量することが第一ですから、この分別回収によってゴミの総量は概ね30%の減量となり、ゴミの再利用(リサイクル率)は37%にも高まりました。厚生省からも平成十年に表彰を受けましたが、全国平均のリサイクル率が10%台といわれておりますので、久喜市宮代町においての分別回収の成果は協力して頂いている市民皆様の誇りです。また、平成九年九月に市庁舎全体のISO14001取得に職員のみで取り組み、昨年取得しました。民間のコンサルタント会社を使えば早く取得できたのですが、それでは意味が無いと0からスタートをし手作りで一年半かかりながらも、県内では二番目、全国で15番目に取得したものです。地球温暖化防止を訴え、庁舎も昼休みは電気を消していますよ。

【高木】なんでも、前向きですね。少子化や高齢化の問題はいかがですか?

子育て支援の
  環境育成

【田中】久喜市でも少子化と高齢化はさけて通れない問題です。特に高齢化は全国平均ですと六十五才以上の人口比は六人に一人の16%台です。久喜市においては八人に一人の12%台ですから近隣市町村から比べればまだ若いまちです。しかし、少子化も進んでおりこのままでは六十五才以上の人口比は四人に一人になってしまいます。私たちが子供の頃は「キャッ、キャッ」と子供たちの騒ぐ声が聞こえない日は無かったように記憶しています。しかし、昨今は声すらあまり聞かなくなりました。出生率も1.22に下がり、若い世代が住みやすい環境を作らなければいけないと痛切に感じています。たとえば、仕事を持っているから産みたいけど産めないという若いお母さん方へ様々な子育て支援をしています。今年度中にも子供を預けたい人と預かりたい人を行政の責任として仲介するファミリーサポート事業という制度を実施いたします。また、介護保険に関しては今後の地方分権型時代に於ける自治体運営の試金石と思っています。今後ますます地方分権が進む中で、運営面などの責任は行政が担うわけですから、市民の皆さまに充分ご理解いただける介護保険制度を何としても確立していかねばならないと思っています。

【高木】ホントですね。それでは、どなたかお友達をご紹介下さい。


【田中】久喜市の人権擁護委員として活躍頂いている榎本恭子さんをご紹介いたします。

【高木】お忙しい中、本当にありがとうございました。21世紀に向かって更なるご活躍をご期待いたします。

【伺うと、今年はY2K問題もあって、正月から一日も休みがないそうです。取材当日も分刻みの中でのインタビューで、ストレス解消法は山や外国の風景などの写真集を眺めることだそうで、ヒーリング効果があるようです。座右の銘は「大樹深根、良樹細根」とのことで、欲張りなのかも知れないと自己評価しながらも、市長の瞳に輝く夢が一歩一歩現実になっていく期待感が伝わってきました。】

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