2000年8月6日



 東北地方では七夕祭りが開催され、夏まっさかりの今日この頃です。本日の友達の輪は久喜市人権擁護委員の榎本恭子さんからご紹介いただいた、久喜市社会福祉協議会でヘルパーとしてご活躍の加藤操さんにお話を伺ってまいりました。

久喜市ヘルパー
加藤 操さん
本紙取材 高木 康夫

【高木】こんにちは。榎本さんから「ヘルパーとして心身共に介護にあたられているすばらしい方」とご紹介頂きました。ヘルパーのお仕事は長いようですが?

介護環境も
  二十四時間体制

【加藤(敬称略)】久喜市社会福祉協議会(社協)で福祉のボランティア募集に応募したのがきっかけで、今から七年ほど前でしたが、ボランテイアから職業としてのヘルパーになりました。久喜市には「ふれあいセンター久喜」という施設がありますが、その中には在宅介護支援センターと訪問看護ステーション、ディサービスなどの介護セクションが入っております。私は、在宅介護支援センターでケアマネジャーのもと、ヘルパーとして働いております。在宅介護というのは利用希望者のお宅に希望時間に訪問して介護を行います。朝七時から午後七時までの時間内での介護ですが、現在の介護環境では一人暮しで寝たきりの方でも介護を受けることによって暮らしていけます。在宅介護、訪問看護、ディサービスなどいろいろな人たちが連携してニ十四時間の介護体制がとれるのです。久喜市内には在宅介護支援センター以外にも民間で介護サービスをするところも十ヶ所ほどありますから、以前に比べたら介護環境も充実してきました。

【高木】在宅介護はどれくらい利用されているのですか?

介護利用者との
  信頼関係がすべて

【加藤】介護保険制度が導入され介護認定についても話題になりましたが、介護利用者は介護認定によって五段階に分けられますが、それによって訪問回数も変わってきます。現在、私たちのセンターではヘルパー三十八名で一一七ケースの利用があります。介護保険制度がスタートしてからはどんどん増えております。また、このシステムは事業所とヘルパーを選択できます。利用者に希望されることは、選択されたヘルパーにとって介護に信頼を得ている表われでもありうれしい事ですが、特定ヘルパーばかりに偏ると一人の身体では、物理的にとうてい手が回りません。現在、ヘルパーは二十代から六十代までのほとんど女性ですが、利用される方々の要望は様々で若いヘルパーのはつらつさを求める方もいらっしゃれば、経験豊かな年代を希望することも良くあるケースです。希望者にとっては身体のすべてを預けることになりますし、私たちにとっても命を預かったことと同じように責任が重大なのです。介護では身体を清拭することも多く、寝たきりの方などは下半身の清拭などの場合、清拭に対して両足に力が加わり自然と抵抗をしてしまうこともあります。しかし、ヘルパーとの信頼関係が築かれれば、介護利用者も安心され良い介護が出来るのです。私は新しくこの仕事に就く人たちに「資格が仕事をするのではなく、人が仕事をするのよ」と話します。そして、「命と心を預かっているのよ」と付け加えます。すべてのヘルパーに対して、介護利用者が次回を楽しみにしてくださるような関係こそ、私たちにとって励みなのです。多くの若い人たちが介護の仕事に就いていただき、要望には柔軟に対応出来るヘルパーになって欲しいと思います。介護保険がスタートして、介護やヘルパーといった仕事が注目されておりますが、ブームだからではなく着実に介護技術のレベルアップをはかっていただき、誇りを持てる仕事にしていただきたいと願っております。

【高木】介護をされていてご苦労も多いのでは?

在宅治療と
  心のコミュニケーション

【加藤】苦労もたくさんありますが、感動させて頂くことの方がまさっております。現在の医療技術の進歩というものは凄いと思ったことがあります。病院で寝ていなければいけない状態でも二十四時間体制で在宅治療ができるのです。ある介護に伺った時のことでしたが、寝たきりの状態でお話も出来ず、コミュニケーションは唯一、眼で合図をする程度でした。私は「このケースでも、在宅で介護しなければならないのか?病院は一体何をしているのだろう?」と疑問を感じたのです。と同時に、介護しきれるだろうか自問自答しました。それくらい、私にとってはカルチャーショックでした。しかし、献身的なご家族の介護にも支えられ、ヘルパーとして介護を続けていく中で、みるみる元気になっていかれたのです。このときは、本当にヘルパーをやっていて良かったと感じました。と同時に介護利用者と一緒になって生きていけるような、心のコミュニケーションがいかに大切かを感じさせて頂きました。友人などに「ヘルパー、大変なのに良くやってるね。偉いね。」と言われますが、辛い仕事をやっているとはとられたくありません。天職だと思っておりますし、自分自身、いつも感謝させて頂いております。

【高木】ストレスはどこで発散するのですか?趣味などは?

コーラスでと
  ストレス?発散

【加藤】趣味として、コーラスを楽しんでおります。青毛小学校PTAの時がコーラスのはじまりでした。その後「コーラス青毛」というコーラスクラブに発展して埼玉県の合唱祭などにも参加しております。私たちのヘルパーという仕事には第一の基本として守秘義務があり、仕事上のことはどんな些細なことでも他言してはならないのです。もちろん、自分の家族でさえも話してはいけないのです。ですから、ストレスが溜まるのですね。コーラスでは思いっきり歌えますので、そんな、仕事のストレスも吹っ飛んでしまいます。

【高木】介護されている人たちにとって、ヘルパーの方々の守秘義務は信頼関係において大切なことですね。では、お友達をご紹介下さい。


【加藤】コーラスをやっているというお話をさせていただきましたが。コーラスの指導をしていただいてる溝口珠代さんを紹介いたします。溝口さんは音楽教室を開いているほか、知的障害者や障害をもった子供たちに音楽を通じた治療をしている方です。

【高木】ありがとうございました。これからも、在宅介護サービスの充実と後継者の育成にご活躍下さい。

【貴重な時間の中での取材でした。ヘルパー一級の資格をとろうという時期とご主人が病に倒れられる時期が重なり、ヘルパー一級の資格取得を先延ばしして、ご主人の介護にあたられたそうです。ご主人は六年前に亡くなられたそうですが、誠心誠意あふれる介護だったことでしょう。やさしさが伝わってくる方でした。】

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