朝夕に秋の気配が感じられる今日この頃です。全国各地で催しが開催されておりますが、本日、山形市では河川敷で大芋煮会というイベントが行なわれています。由来は冬へ持ち越せない芋を煮て食べてしまう会だそうで北の方から秋を感じる便りです。本日の友達の輪は久喜市栗原で音楽教室を主宰されている溝口珠代さんからご紹介いただきました久喜市青毛にお住まいの日野喜久子さんにお話を伺ってまいりました。
久喜市手をつなぐ育成会
会員 日野 喜久子さん
本紙取材 高木 康夫
【高木】こんにちは。溝口さんが指導されている育成会ひまわり音楽クラブの保護者のおひとりと伺ってまいりましたが、育成会は障害を持った方たちの保護者が構成する会と伺いましたが?
【日野(敬称略)】久喜市で障害を持っている方たちの会で「久喜市手をつなぐ育成会」という会があります。現在六十〜七十名ほどの希望する方が入会されております。この会は知的、身体的障害を持っている人たち自身が活動する本人部会とその保護者たちがサポーター的な役割をするサポーター委員などのいくつかの委員会で構成されております。
【高木】ご子息の障害についてはいつわかったのですか?
【日野】二人目の子供だったのですが、生れたときは仮死状態だったのです。すぐに医師が蘇生をしてくれて産声をあげました。おっぱいやミルクが飲めず医師に診断してもらうと心臓の病気ではないかということで、検査の結果、心室中隔欠損という病気とわかりました。でも、親というものは馬鹿ですね、それで原因がわかった気になっていつかは元気な身体に戻るだろうと思っていたのです。ところが、半年たってもミルクが飲めず、スプーンでひとさじひとさじ飲ませる毎日が続きました。医師も「この子は知的な障害を持っているかもしれない」と判断したのです。でも、親としては無知なだけに、どの程度の障害なものかもわからず、ただ、軽いことを願っておりましたが、だんだん月日がたつにつれてその重さを知らされました。周りからあたかも母体が原因かのうわさも耳にしました。辛かったですね。
【高木】学校などは?
【日野】当時は鷲宮町に住んでおりました。小学校の学齢期に達したとき、小学校の校長先生が「お母さんと一緒であれば小学校の特殊学級に入学されてもいいですよ。」と入学許可を伝えてくださいました。当時は養護学校が義務化されておらず、私たちにとっては近くの小学校に通えるということは願ってもないことで、本当に嬉しく感じました。しかし、私にはこの子の下に三才児と生後五、六ヵ月の四番目の子供を抱えておりましたので、どうしようと悩みました。なんとか三才の子は保育園に預かってもらうことができましたが、一番下の子はだめなんです。そんな時、校長先生が「一緒に連れてきてもいいですよ」と言って下さったのです。それからは一番下の子をおんぶして、前のかごに三才の子を乗せ、後ろに次男を乗せて、保育園に寄りながら学校に通う毎日でした。三年生の時に養護学校が義務化されて春日部の養護学校にお世話になりましたので、三人三脚の小学校通いは終わりましたが、今思うと無我夢中でしたね。
【高木】親って素晴らしいですね。すごいですね。
【日野】なんとしても次男の命を守らなければという思いが強かったのですね。それだけ次男に手が掛かっていたのでしょうね。もちろん、主人の協力がありましたし、お産のときもそうでしたが、たくさんの隣人や友人が助けてくれました。おそらく他の子供たちも幼心で理解をしてくれていたのでしょう、現在、長男が家庭を持ち子供を育てておりますが、最近「お母さん、すごいね。障害を持った弟を抱えながら四人も育てたなんて」と言ってくれます。兄弟も学校で次男のことで色々と言われたこともあると思います。子供たちには「たまたま、我が家の子供に起きたけど、誰の身にもありうることなのよ。」と話しています。私自身も「次男本人にとってはやりたい事、やりたかった事があると言うかもしれないけど、我が家が選ばれたんだ。」と思う事で前向きに、そしてちゃんと育てなくてはと責任を感じています。そして、あの子が居るからと、見られたり、思われたり、そういう風に見られたら次男に申し訳ないから、少しでも活き活きしていけたらと思っています。(願望です)そして、趣味もさせてもらっています。おかげさまで三男、四男も口には言いませんが私たちを大切にしてくれますし、なにより、うれしい事はみんなが次男を大事にしてくれることです。
【高木】そういえば、十月一日は音楽祭ですね。
【日野】溝口先生の指導の下、毎月一回の練習を行っています。先生はお忙しい中、いつも優しく一生懸命にみんなを指導してくださり、みんなも音楽の時間を楽しみにしています。次男に「今日、音楽クラブだよ。」と言うと、すぐに準備をして玄関でずっと私を待っているのものですから、あまり早く声をかけられないのです。それくらい、楽しみにしています。普段からFM放送を聞いたりコンサートがあると連れて行くのですが大喜びです。ジャンルを問わず楽しいものは純粋に楽しんでくれます。溝口先生の音楽指導には本当に感激しています。十月一日はどうぞたくさんの方に久喜市民文化会館へお越し頂ければと思います。
【高木】それではお友達をご紹介下さい。
【日野】次男が病気のときにいつも診察していただいている幸手総合病院の内科の先生で、飯嶋淳滋先生をご紹介致します。先生はとっても心のある方で人間大好きな先生です。
【高木】ありがとうございました。これからも、活き活きと楽しく十月一日のコンサートに向かって頑張って下さい。
【とても明るく前向きな方で、最近の子供たちの暗い事件を見聞きして、「障害を持っていてもみんな一生懸命活き活きと生きています。つまづいたり悩んだりした子供たちに、障害を持った子供たちの一生懸命な生き方を見てもらって力になれたら。」と話されていました。気付くことが少なくなったと言われる昨今ですが、気付きは一生懸命さが大切なんだと教えられた気がしました。がんばれ、育成会!】