2000年9月17日



 オーストラリアのシドニーではオリンピックも開催され、日本選手の活躍が期待されます。さて、本日の友達の輪は久喜市青毛にお住まいの日野喜久子さんよりご紹介頂いた幸手総合病院で内科医師をされている飯嶋淳滋さんにお話を伺ってまいりました。

幸手総合病院
内科医師 飯嶋 淳滋さん
本紙取材 高木 康夫

【高木】こんにちは。日野さんのかかりつけ医と伺ってまいりました。日野さんから「人間大好きな、心ある方でとても信頼している先生です」と紹介頂きました。

【飯嶋(敬称略)】 そうですか、医師としてありがたいことです。日野さんとは、ご夫妻もそうですが、お子さんの診察もずいぶんながく診てますので信頼いただいているのだと思います。

【高木】なぜ、医師に?

調べながら
  知識を広げていけるもの

【飯嶋】私は小さい頃から、調べながら物事の知識を広げていけるものが好きだったのです。その中で進みたい道のひとつが医師でした。実は天文学にも興味を持っておりました。宇宙はどこまであるのだろうとか、宇宙には知り得ないものも多く、知らない部分を知り得たらどんなにか面白いだろうと感じていたのです。でも、職業として日本で天文学をやるのは非常に難しいことで、それで、人体の小宇宙でもある医学の道を目指したのです。中二の頃から理系が好きでしたが、学業の中で一番好きな科目は歴史でした。歴史の面白いところは歴史の中の主人公に自分を置きかえることが出来ることで、歴史を知る事によってものの見方も変わってくるものです。今でも休みがとれたりすると家族で歴史館や資料館などを訪ね歩いています。最近は町おこしの一環で全国各地にそういった施設がずいぶん出来ています。茨城県の岩井にある自然博物館は会員にもなってますから親子で出来る実験教室などにも参加しています。(笑い)

【高木】医師としてこの地は長いのですか?

医師として十八年
  これからの歩む道

【飯嶋】医師には昭和五十七年になり、この病院には昭和六十三年から勤務しておりますので十二年になります。いつのまにか永く勤めてしまいましたが、医師として壁を感じているこの頃です。と言うのは、私の専門は消化器なのですが、当病院では現在専門制がとれないので、内科的なあらゆる疾患を診ております。そして、診察の結果、さらに専門的な医療施設が必要と判断した場合は紹介してます。また、外来の患者さんの診療時間が午前中とか曜日とかで限られてますので、多くの患者さんを診る事が出来ません。外来診療以外の時間は入院患者さんの診察や、検査などをしています。多くの患者さんを診ておりますと薬で済むケース、簡単な検査を必要とするケース、特殊な医療技術を必要とするケースなど様々です。私の理想ですが多くの患者さんに接して、その患者さんをすばやく診断し、必要であればより早く高度な専門性のある医療機関を紹介できるような窓口医療を担当する医師になりたいと思っています。医療技術の進歩で一般診療所でも様々な医療機器を使って病気を察することができるようになりましたし、そろそろ、個人的に総合病院を卒業し地域の人たちと接点を多くもてるような環境を選択するのもいいのではと感じており、来年夏から秋頃までに独立して開業しようと思っています。そうすれば、午後も診療出来ますしね。また、幸手総合病院とは連携してやって行こうと思っています。

【高木】窓口医療ですか。人と人が接する仕事ですから距離が近くなることはいい事ですね。

ドラマにさえ出来ない
人生や人間模様

【日野】医師をやっていてふと気がつくとひとりひとりの患者さんが医者では計り知れない人生を背負っている事に気づかされたりします。かなりのお年寄りの方でも、戦争や軍隊の事、戦争で中国から戻ってきた話など、きっちり覚えていて聞かせてくれたりします。私なんかには知り得ない人生経験をしていて、人生の奥深さを感じさせられます。また、このような事がありました。一人暮らしのお年寄りで身寄りがないと思っていましたが、そのお年寄りが癌にかかり、この先の短いことを悟ったのでしょうか、昔、置いてきてしまった息子がどこかに生きていると言うのです。癌が進行してきたとき、遠い親戚の方と連絡がとれました。この親戚の方とお年寄りの息子さんがたまたま別の葬式で連絡がとれました。それから間もなくお年寄りの具合が悪くなり、ある年の元旦の夜明けに息子さんに看取られながら臨終を迎えました。その時ちょうど病室の窓から初日が射して来ました。何かドラマにしようにもドラマに出来ない人間模様を感じました。医療経験を積んでいくと、物理的に計れないものがたくさんあることを体験します。

【高木】いろいろな体験をされるでしょうね。医師として心掛けている事などは?

病気は本人が治っていく
   医者は手助け

【日野】病気が治るのは、医者が治すのではなく本人の免疫力や抵抗力で治して行くと思っています。手術でも経過のいい人、悪い人とありますが医者は病気が治るのを少し手助けしているだけなのです。薬を飲んだから治るのではなく、飲む事によって苦痛をやわらげ治る時間を早めているのです。ですから、私たちの仕事によって患者さんたちの人生を少しでもいい方向に、舵をむけられるようなお手伝いが出来たらと思っております。命を預かっておりますので、病気などについても、ひとつ診断するたびに、たえず、間違っていないだろうかという広い視点を持って臨むようにしています。また、どこまでも調べなければいけないと思っています。そして、ひとつひとつ解き明かす事が私たちの充実感につながっています。

【高木】それではお友達をご紹介下さい。


【日野】患者さんでもあり親しくさせていただいております、内田栄一さんを紹介致します。内田さんは仲町商店会で文具や事務用品を扱っている会社を経営されております。

【高木】ありがとうございました。地域との接点を多く持てる窓口医療をぜひ実現されてください。ますますのご活躍をお祈り致します。

【「満足感を感じるのは物事を達成したときではなく、達成しようという時や達成している過程に感じる」そうです。充実した人生には飯嶋さんのように目標をたえず持ち続け、ひとつひとつの達成感を重ねる事が大切と感じました。】

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