宇都宮の二荒山神社では本日まで菊水祭りが開催されており、疾走する馬上から的を射る古式ゆかしい流鏑馬が奉納されます。そして、神輿、巫女、牛車、天狗、獅子、お囃子などが長蛇の列をなし、市内を練り歩きます。各地から秋祭りが伝えられ、だんだんと冬支度に向かう今日この頃ですね。本日の友達の輪に中山家具店社長の中山幸也さんよりご紹介いただいた「ふくだや化粧品店」代表小沼安男さんにお話を伺ってまいりました。
有限会社ふくだや
代表取締役 小沼 安男さん
本紙取材 高木 康夫
【高木】こんにちは。中山さんとは幼稚園のときからご一緒だそうですね。
【小沼(敬称略)】そうですね。幸手幼稚園で同級生でした。お互いにガキ大将で五、六才のころでしたがライバル意識むき出しだったようです。当時はなぜか西と東のガキ大将と呼ばれていましたよ。(笑)小学校の頃ソフトチームが出来て、中山さんはピッチャーで私はサードを守っていましたが、中学校から彼は野球の道を歩み、私はバスケットボールに夢中になり、高校生までバスケット気違いでしたね。
【小沼】 当店は小間物屋として昭和六年に創業し、今日現在創業七十一年を迎えます。私たちの時代、長男は家業を継ぐものという親からの言い伝えがあり、私も高校を卒業したら家業に入るつもりでした。でも、その前にどこかで修行をしようと考えており商売ならば大阪が本場だろうと、大阪の衣料品スーパーに就職が決まっておりました。ただ、入社は一般的に四月だろうと思っておりました。ところが、私が高校の卒業式に出ている最中に大阪の会社から電話があって、明日、入社式をするというのです。私にとっては寝耳に水の話で、卒業の喜びにひたりながら帰宅すると待ちうけていたのはあわただしい荷造りでした。いやー、びっくりしましたね。なんと、その日の夜行列車で大阪に行くことになってしまったのです。いつ行くのか友達にも話していませんでしたから、その日の夜、幸手駅でたくさんの友人に見送られて涙しながら大阪へ向かったことが今でも鮮明に蘇えってきます。まさに哀愁列車ですよ。(笑い)ちなみに昭和三十八年の事です。
【高木】今では考えられないことですね。大阪はどうでしたか?
【小沼】 就職した先は支店が五つもある、当時としては巨大な衣料品スーパーで、新入社員として教育を受けさせられました。もちろん、幹部に対する教育も徹底されており、小売業に対してここまで教育にこだわるものなのかとも感じましたが、早い時期にこの手法は家業にも取り入れなければならないだろうと直感したのです。三年間は修行しようと思っていたのですが、このスーパーの経営を体感すればするほど、一日も早く家業に戻って、方向性を考えねばという気持ちになっていったのです。そして、一年ちょっとが過ぎた頃、あせる気持ちを抑えながら、「母の身体の具合が悪いので」と社長に嘘をつき幸手に戻ってきたのです。その後、大阪で感じたものを具現化すべく化粧品小間物屋だった業態を化粧品専門店へと転換し、昭和五十三年に夢を持って本格オープンしたのです。大阪で気付いて、二十数年前に専門店化したおかげで、現在も生き残っているのかもしれませんね。
【高木】なるほど、決断力の早さですね。経営にもポリシーがあるようですが?
【小沼】化粧品販売という商売は単にお金と品物の受け渡しだけではないのです。扱っている商品やご使用されるお客様に対して、適切なカウンセリングと技術提供が命なんです。特に現在のように価格破壊が進み、量販店やドラッグストアーが台頭してくれば、更に付加価値を持って経営に望まなければなりません。当店ではそのひとつとしてエステサービスも行っております。お買い上げいただいたお客様には無料でフェイシャルエステやフットバスなどのリラクゼーションも行っております。おかげさまで今では有料のご予約も戴けるようになりました。個人の小売店が生き残るためには自分の商売にあきちゃだめなんです。常に満足できるサービスに努めることこそ「あきない」の神髄だと思います。そして、お店は汚くしていたらお客様は来てくれません。定期的にお店のリニューアルもして、行ってみたいという気持ちを常に持っていただける店づくりも大切です。
【高木】努力をし続けることですね。夢や趣味などは?
【小沼】 永年の夢ですが美容に関する総合的な施設を作りたいと思っていました。次男の貴光が銀座の美容サロンで六年間修行してまいりました。テレビやマスコミにも取り上げられるほどのお店で貴光本人もTVに出たりもしましたが、そこで培った技術を持って戻ってまいりましたので息子の夢と私の夢をドッキングさせて、来春美容室をとなりに新築オープンする予定です。二十一世紀に向かって新しいチャレンジをしたいと考えております。幸手に他市町村からもお客様が呼べるような美容サロンに成長できればと考えております。趣味ですが、やはり永くやっておりますゴルフです。幸手市の社会教育課でのゴルフスクールも指導者として十数年関わってまいりましたが、最近では後から始めた家内の方が上手になってしまいました。今月の初めにはスポーツ報知主催の男女混合コンペに出場して優勝してしまいました。夫婦で同じ楽しみができますからいい趣味です。夫婦共々オフィシャルハンデは10といったところです。
【高木】ありがとうございました。活気ある商店の見本としてますますご活躍下さい。
(商連副会長もされ、幸手の商店が停滞しないように活気ある商店会づくりが目標だそうです。また、お孫さんの五代目瑞基(みずき)くんは平成十一年十一月一日生まれと一が五つも付く期待の星だそうで、五代目へ化粧品店をつないで行くことが大きな夢だそうです。四代目は現在東京のJTB不動産に勤めている長男の光輝さんが、いずれ化粧品店を継がれるそうです。そして五代目へと二十一世紀に向かって大いに羽ばたきたいと夢を膨らませ輝いている三代目でした。)