2000年12月24日



 今日は今世紀最後のクリスマスイブです。日曜日でもあり天皇誕生日との連休で歳末商戦も各地で大賑わいの様子です。そして、友達の輪もいよいよ今世紀のおおとりを迎えることになりました。今日の友達の輪には万像山心鏡院住職久我秀道さんからご紹介いただいた、司法書士の池上隆雄さんにお話を伺ってまいりました。池上さんは心鏡院の総代さんだそうです。

司法書士
池上 隆雄さん
本紙取材 高木 康夫

【高木】 総代さんをされているそうですね。

【池上(敬称略)】久我住職とは四、五才のころからの友人です。当家では祖父、父と二代に渡り総代をつとめており、私は、役所を退職した七年ほど前に前総代の後を受け引継ぎました。心鏡院の先代住職は浅草のかっぱ寺が実家であり、住職一家が上京されるたびに留守番を頼まれた祖母とともに寺に泊まったものでした。私の生家がお寺の近所でしたので、子供の頃は寺の境内が格好の遊び場でしたね。秀道和尚とは毎日よく遊んだものです。

【高木】 総代さんは主にどんな役割をお持ちなのでしょうか?


【池上】そうですね、大きな役割は住職と一体となって、お寺を護持し維持につとめることでしょうか。その為には多少の浄財をお願いしなければなりません。また、昔から僧侶は地域社会において、知識階級と見られておりました。ですから、住職と壇信徒の間に隔たりがありました。これからは壇信徒の方はもちろん地域の人々も仏の心を信じて慕われ、心が和らぐ寺、そして、住職と気軽に会話が出来る寺にするために、常々、住職と歓談しております。総代とは寺の相談役のようなものです。

【高木】なるほど。以前は検察庁にお勤めだったとか?どんなお仕事をなさっていたのですか?

検察庁で三十八年間
証拠品管理から捜査まで

【池上】東京地方検察庁に三十八年間勤務しておりました。検察庁は裁判所に起訴し、裁判遂行することが役割で、一次的な捜査は警察が行いますが、特殊事件や金融破綻などの経済事件は捜査から起訴までも行います。その検察庁で私はいろいろなポジションにおいて仕事をしました。ひとつは押収された証拠品の管理です。数十万点におよぶ証拠品のすべてを保全、管理しました。証拠品は多種多様で大きな物では電車や墜落した飛行機のエンジン、小さい物では毛髪までありました。それから、被疑者・被告人を拘束する事務を行なっていました。拘束された人々の人権を尊重し、不当な勾留にならないよう細心の注意をはらいました。そのため帰宅途中でいろいろ思い出し、ふたたび職場に引き返し仕事をしたこともありました。また、事件によっては政治家や、社会的地位の高い人など,拘束されている人は多様なので、それなりの対応が必要です。保釈中、裁判所で実刑判決があれば、直ちに身柄を収監し、東京拘置所に護送もしました。また、交通部にいたときは、交通違反や、人身事故の捜査も行いました。いずれにしましても、現職の頃は、職務上自宅の表札は出しませんでした。

【高木】たいへんなお仕事ですね。現在のお仕事はいかがでしょうか?

定年後
第二の人生へチャレンジ

【池上】定年で退職したのですが第二の人生として司法書士の道を選択しました。しかし、検察庁で扱ってきた事件などは刑事事件であり、司法書士が扱う範囲は民事に関わるものです。ですから、検察庁を退職された人達の多くは交通事故の損害賠償などに関わる裁判所の調停委員になる人が多いのです。私の場合は民事に関しては素人といえば素人の状態で、勇気を持って学生時代に学んだものを思い返しながら始めました。


【高木】
幸手にあった登記所が無くなってしまいましたが?

【池上】久喜に行ってしまいましたね。商工会長さんや市の有志の方々と法務局にたいして陳情をしましたが、およびませんでした。市民にとっては大変な痛手でした。しかし、これは幸手市だけでなく、越生出張所が廃庁になり、吉川出張所の管轄の一部が移転になったりしています。交通機関が発達してきており国の政策の中で行政機関の統廃合が行われており、これらの地域が対象として選ばれたものです。でも、これは第一段階で情報技術が進み、パソコンが普及するにつれ、さらに統廃合されることでしょう。


【高木】司法書士として今後はいかがですか?

これからの司法書士は
気軽に相談できる市民のための事務所

【池上】これからの司法書士ですが、不動産取引、会社・法人等の登記だけでなく、壱百万円未満の少額訴訟・財産相続・家の明け渡しなどの書類作成といった家事審判の分野にもフィールドを広げていきたいと考えております。また、成年後見人制度が本年四月から発足しました。これは社会的に弱い一人暮らしの老人や障害を持った人たちの財産を管理などしてその人たちを守る意味で法定後見人になる制度です。司法書士として地域社会に貢献する意味から、介護士、民生委員、社会福祉士の方々とも連携し、こういった後見人にも積極的に取り組んでいきたいと思います。従来の代書屋的な司法書士から法律的な考えを視野に入れ、敷居の高くない気軽に相談できる事務所にしたいと考えております。

【高木】趣味などは?

【池上】碁や将棋も好きなのですが、旅行が好きで夫婦で歩くのが楽しみです。ここ数年、春は桜を見に、夏は山へ、秋は京都、奈良へと俗に言うフルムーンでしょうか旅行を楽しみにしております。また、総代をしているからではありませんが、お寺が好きでお寺ばかりを歩き回ったりもしています。仕事柄、土日が休みといっても自営業で相手に合わせますので休みがあって無いようなものです。

【高木】そうですか。ではお友達をご紹介ください。


【池上】竹馬の友ですが(株)花輪工業の会長である花輪孝二さんを紹介致します。花輪さんは小学校からの友人で、現在、写真が趣味で、その作品を時々持ってきてくれます。玄関に飾ってある写真は花輪さんのものですよ。

【高木】ありがとうございました。いよいよ二十一世紀ですが、更なるご活躍を期待いたします。

(新しい司法書士の在り方として、「自ら、市民の為に働こう」というスローガンを抱え、司法書士事務所を敷居の高くない気軽に相談できる場所にして行きたいと語るとてもやさしいおだやかな方でした。)

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