2001年4月8日



城戸 京子さん さくらの花々の間から力強い緑の葉が輝き始めました。早いもので二十一世紀も4ヶ月目、そして明日は小中学校の入学式。小さな身体に大きなランドセルを背負った新一年生やちょっと大きな制服に身を任せ、緊張した面持ちの中学一年生など、期待と不安でいっぱいのことと思います。そんな季節の友達の輪には助産婦さんの谷古宇弘恵さんからご紹介いただきました八代小学校教諭の城戸京子さんにご登場願います。

八代小学校教諭
城戸 京子さん
本紙取材 高木 康夫

【高木】こんにちは。谷古宇さんから、小学校四年生の担任で読書の楽しさを薦めてくれた恩師と伺いました。本が好きになったのは先生のお蔭だそうですね。

【城戸(敬称略)】友達の輪は毎回楽しみに拝見させていただいております。谷古宇弘恵さんとはしばらく会ってはおりませんが、お母さんと時々お目にかかる機会がありまして、その時などに弘恵さんの活躍を伺っておりました。でも、教え子である弘恵さんからこの企画にご紹介いただけるとは思っておりませんでした。忘れずにいてくれたと思うととても光栄です。

【高木】先生にとっては嬉しいことですね。

大きな小学校から
   新しい小学校へ

【城戸】幸手東小学校に赴任した頃の思い出ですからなつかしいですね。当時、幸手小学校はとても大きな小学校で、そこからの大きな分離でしたから開校時、東小の教職員三十名の2/3は幸手小学校から配属された者たちでした。私もその中の一人として東小学校に移ったのですが、何もかもが新鮮でした。自分たちで新しいものを創り出していくことのたいへんさもありましたが子供たちとともに夢と希望に満ちあふれていました。何か新しい未来が拓かれていくという感じを強く受けたものです。

【高木】何かエピソードはありますか?

忘れられない
  職員室での入学式

【城戸】開校当時は十九学級、七二七名の児童数で、体育館もなければ校庭も整地されていませんでした。新入生の入学式の会場をどこにするかさえみんなで思案したものです。今思うと信じられないことですが、入学式は職員室を使って挙行したのです。とっても思い出深い入学式でした。また、開校しても校庭の整地工事が続いていますからダンプカーが入って来るのです。おかげで雨があがった後もしばらくはぬかるんだ校庭でした。体育の時間なども校庭が使えないことがしばしばありました。もちろん、休み時間に校庭で遊ぶこともできません。そこで、何か子どもたちに学校に来る楽しみをつくってあげようと思い、国語の時間はもちろんホームルームの時間も利用し、毎日、本の読み聞かせを始めたのです。子どもたちも楽しみにしてくれ、私よりずっと本好きになってくれたようです。

城戸 京子さん【高木】先生というお仕事は影響力も大きいですが素敵なお仕事ですね。どうして選ばれたのですか?

誉められて
  それが自信となって

【城戸】子どもの頃から赤ちゃんや小さな子どもが好きで、我が家に子ども連れのお客様が来られると、いつも相手をしていました。泣いている赤ちゃんをかまってあげるとすぐに泣き止んだりしたものですから、「あやすのが上手」と誉められました。それがきっかけなのでしょうか。自然と子どもに関わる仕事を選んで教師になったような気がします。現在の仕事で心していることは、子どもたちがとても良いことをしている時は見逃さずに誉めてあげるということです。自分を振り返っても感じるのですが、自分を理解してもらえたと思うと自分の中にない力まで引き出すことができたりします。不思議なものですね。それともう一つ心がけていることは、ひとりだけ良ければいいという考え方ではなく、些細なことでもみんなと共に出来たことを賞賛するということです。

【高木】
最近の子どもたちはいかがですか?

いいところいっぱい
   幸手の子どもたち

【城戸】低学年を担当することが多いのですが、子どもたちに教えられることのほうが多い気がします。東小学校から吉田小学校に移った時、車で学校に通うのですが子供たちが私の車をすぐに覚えてくれたのです。そして、私の車を見つけると並んで道の脇に寄りみんなが帽子をとって「おはようございます」と挨拶してくれたのです。その時はもう、うれしくてたまりませんでした。何気ない挨拶一つですが、純粋な思いはこんなにも人の心に伝わるのかと感動したものです。現在は八代小学校に勤務しております。先月もうれしいことがありました。ひとりの児童が「先生たいへんです。梅の花が折られています」と職員室に伝えに来たというのです。実はその小枝、職員のひとりが、みごとに咲きほこった梅の花を生ける際、切り落としたものだったのです。その子には事情を話して理解してもらったそうです。そして、その小枝が別の子どもたちによってウサギのお墓に飾られていたことも後でわかりました。まだまだ、幸手の子供たちは、あたたかい心を持っていてくれるとうれしくなりました。初めは幸手をサチテやコウテなどと読んでいたくらい何も知らない地域でしたが、私は幸手に来て本当に良かったと思っています。

【高木】やさしい子どもたちですね。それではお友達をご紹介下さい。

【城戸】娘が公民館で生け花を指導していただいてる先生をご紹介させていただきます。

【高木】ありがとうございました。明日の入学式や始業式でまた新しい感動の子どもたちと出会えますこと心からお慶び申し上げます。二十一世紀のひとづくりに更にご活躍を期待いたします。

(勤続三十年を迎えられ、リフレッシュ休暇制度を利用して職場を離れ気分転換にスペインの旅を楽しんでこられたそうです。好奇心旺盛で携帯電話のメール機能や、パソコンもはじめられてインターネットの設定までご自分で挑戦されたそうです。老後も広い世界に目を向け、何でも吸収したいと話される明るい方でした。)

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