新緑の季節も到来し、学生さんや新社会人などフレッシュな人たちが輝く今日この頃です。本日の友達の輪には小原流生花講師でいらっしゃる山崎光富さんにご紹介いただいた幸手市剣道連盟副会長の佐藤博さんにご登場願います。佐藤さんは以前この企画に登場された東京スプリングの小林さんの義兄さんで、現在相談役を務めておられます。そして、幸手市剣道連盟の創立に関わり少年剣士を永年にわたり指導された方です。
幸手市剣道連盟
副会長 佐藤 博さん
本紙取材 高木 康夫
【高木】こんにちは。山崎さんから伺いましたが、会社の中で剣道を教えられていたそうですね。
会社の構内で
早朝稽古
【佐藤(敬称略)】はじめまして。その節は当社社長がお世話になりました。山崎さんの息子さんと私の息子が同級生で、当社従業員のお子さんを含めた三人の子ども達に会社の構内で教えはじめたのが最初で剣道連盟のきっかけです。毎朝、学校前の六時に会社に来て七時まで練習するのです。それから食事をして学校に行くのです。山崎さんの息子さんはとても優秀なお子さんで、剣道の練習のとき「先生、勉強が出来るようになる方法を教えてください」と言うのです。私は「簡単だよ。それは予習だけしっかりやって、復習は授業でやってしまえばいいのだよ。学校で教わることが復習になるのだよ」と話した記憶があります。彼は見事に予習に時間をかけ、優秀な成績をおさめました。
【高木】佐藤さんはいつ頃から始められたのですか?現在の段位は?
【佐藤】私も小学校、旧制中学校、大学と剣道を続けてまいりました。私の場合は父親が剣道をやっておりまして、その影響で始めたものです。法政大学に在学中のことでしたが全日本の団体戦において決勝戦まで勝ち進みました。大阪府立体育館で開催されたのですが私はその時大将を務めており大将戦までもつれました。しかし、相手は強豪の中央大学で痛恨の一本負けを喫してしまいました。このときばかりは本当に悔しかったですね。剣道は八段が最高段で私は五段を取得しております。そして六段以上には錬士(れんし)、七段以上には教士(きょうし)、八段には範士(はんし)の称号が与えられます。昔は錬士取得後七年たつと教士の受審資格が出来ました。現在、私は教士をいただいております。
【高木】剣道は礼に始まって礼に終わると聞きますが?
【佐藤】剣道には、三つの礼があります。それは「神前」、「先生」、「お互い」に対してのものです。「神前」というのは、宗教的なものではなく人間以上のもの、つまり宇宙に対して礼を持つということです。「先生」に対しては自分を導いてくれる先輩であります。そして、「お互い」に対しては挨拶でもあり思いやりでもあります。結局、自分を取り巻くすべてに対して認識することによって自然や社会に対するあいさつを忘れないのです。それから剣道には善人教育が含まれております。子ども達の世界では縦と横の関係のように、先輩や同僚、後輩といった人と人とのつながりがあります。稽古でも打たれることによって痛みを感じますし、それが人の痛みを理解することになります。最近の子ども達には「自分の思い通りにならないとすぐ切れてしまう子ども達」がおります。剣道をやっている子ども達には見られないことです。剣道の礼儀を学ぶことはとても有意義と感じます。
【高木】年齢層も広いですね。
【佐藤】 剣道は日本の伝統文化で「切ること」が目的だったのですよ。それが、切らない形に変化していった訳です。殺人剣が活人剣になったのです。運動神経や反射神経の鍛錬が求められますが、死ぬまで出来るスポーツです。それは相手が打ってきたら手元を一cm動かせば当たらない訳で、無駄な力を必要としません。八十才、九十才といった先生に当てざかりの若者が打ち込んでいっても、壁に追い込まれて打たれてしまうことがほとんどです。当てる剣道、打つ剣道というものは剣道ではありません。たくさん打っているうちに無駄を知るのです。無駄を全部なくしてしまうことが剣道の究極であり、ゆえにメンタルな部分が前面に出たスポーツなのです。ですから、身体が動く間はいくつになっても出来るものです。
【高木】優秀な少年剣士も多いとか?