1996年7月7日



天の川がいちだんと輝く七夕の今日ですが、幸手さくら通り「わが家」稲葉賢さんよりご紹介いただきました幸手市栄にお住まいで、幸手和太鼓保存会会長の栗原仁良さん方へお伺いして参りました。

幸手和太鼓保存会
会長・栗原 仁良さん
本紙取材・高木 康夫

【高木】こんにちは。稲葉さんとは「わが家」が出会いのきっかけということですが。

【栗原(敬称略)】会社の同僚が雰囲気が良くて落ちついて飲める処があるからと、紹介されていったのが出会いですね。稲葉さんご夫婦も、とてもいい方でゴルフなどにも参加させて頂き、名のとおりわが家みたいにお付き合いさせてもらっています。

【高木】幸手和太夫保存会の会長をされてますが?

【栗原】今から四年前に幸手団地祭りの実行委員の反省会の席上で「太鼓を叩ける人を育てよう」というはんはしが出たんです。それで、言いだしっぺの私にその役が回ってきたんですよ。(笑い)

初めてバチ
 を握って

【高木】以前から太鼓はされていたんですが?

【栗原】まったくの初心者なんです。音楽に関しては学生時代に喫茶店をかりに切ってアマチュアバンドを集め、演奏会をプロデュースしたくらいで、自分ではハーモニカ位しかできませんでした。(笑い)でも、太鼓をやらずにあきらめることはしたくないので、とにかく自分でたしかめてみようと思ったのです。曲もありませんでしたから、見よう見まねのスタートで、自分で作った曲で練習しました。また、太鼓の盛んな地域へ出かけて研修会にも参加したりもしました。幼い頃、ガキ大将だったこともあって、負けず嫌いなところがプラスになって頑張れたような気がします。スタートラインが一緒ですから、個人の技量にも差があり、私が教える方なのに、教わる方が私より上手になってしまうんです。「何で出来ないのか」と自分の技量の無さに辛い日々もありました。また、発表するのですが、当日までにこなさなくてはならない練習などがうまく進まず自分のリーダーシップの無さを痛感しました。

やり遂げる
 姿と涙

【高木】6月29日にはアスカル幸手で3周年リサイタルを成功されましたね。

【栗原】子供たちの熱心な練習の姿や純真な涙が、ここまで引っ張ってくれたんです。会には小2から中3までの子供たちと大人(女性がほとんどですが)がいますが、皆真剣なんです。和太鼓は打ったことのある人ならわかるのですがとてもハードなんです。私は現在45才ですがスポーツは一応こなしてきかのですが、とてもきついものですた。今はなれましたけれど。太鼓は奏者の気遣いが必要でチームワークが最も大切なんです。練習がきつくなり涙目で叩いている子供たちを見ると、苦しければ苦しいほど、やり遂げる感動を与えたいと感じます。バチを握っている小さな手がお互いを助け合い空気が一体となった時、人としての感動が体を走るんです(挙に力が入って)

リズムと間合
 そして心

【高木】太鼓って人間的ですね。

【栗原】太鼓はリズムとし強弱しかないんです。譜面もあるんですが、一線譜に右、左とバチさばきが音符で書いてあるだけなんです。ですから、人間の心に響く太鼓を打つには人の心と人としての間合いが大切になってきます。太鼓のひびきは心身とも人間性を育成してくるような気がします。そんな和太鼓ですから、家族も太鼓にはまり込んでいましてすごく協力してくれます。幸手和太鼓保存会は以前、栄太鼓という名称だったのですが、もっと幸手といる広い地域に根ざした活動をしていこうということで、現在加盟している文化団体連合会へは5月1日よりこの名称になっています。現在22名の会員がいますが、多くの方に参加してもらい、何らかの役に立ちたいと願っています。

人の役に立つ
 人間になれ

【高木】日頃はどんな活動をしているのですか?

【栗原】さくらマラソン大会が4月に開催されましたが、開会式のイベントとして太鼓を披露したり、ボランティアとして色々な施設を訪問して太鼓を聴いて頂いています。耳の不自由な方たちに太鼓を聴いて頂いたときには、太鼓のひびきが聴骨(ちょうこつ)を通じてからだに感じると、とても感動してもらいました。敬老会でお年寄りに聴いて頂いたときには、子供たちの叩く姿に涙され、こちらがとても感動させていただきました。私の両親は亡くなっているのですが、親がいい続けた言葉に「人間は一人で育ったのではないよ。貧乏でもいいから、他人に迷惑をかけず、どんな形でもいいから人のお世話が出来るような人間になりなさい」ということを今実感しています。太鼓を通じて、自分もできる、役に立つという人生を歩んでいきたいと思っています。

【高木】たくさんの人に参加していただきたいですね。

【栗原】自分が年老いたときに太鼓の音が聞こえるような街に住んでいたいという夢があるんですが、御神輿(おみこし)や山車(だし)のように和太鼓でもお祭りが出来たらいいのになと思っています。練習は毎週木曜日の午後7時から9時までと、土曜の午後5時半から9時まで、日曜の午後4時から7時まで、栄第一小学校体育館で行ってますので、体に響く生の和太鼓を見に来てください。

【高木】練習などお仕事の兼合いは?

【栗原】私は五霞町(株)に勤務しているのですが、会社の人たちが良く理解を示してくれ、応援を頂いてます。練習などで時間を気にすることなく送り出してくれる、素晴らしい環境です。

【高木】家族を含め、協力してくれる人たちがたくさんいるということは幸せですね。それでは友達をご紹介ください。

【栗原】幸手和太鼓保存会の会員であり、スポーツインストラクターとして市内各所で活躍されています中4丁目にお住まいの宮内由子さんを紹介いたします。何でも積極的に行動しボランティアに力を入れ、とても素晴らしい方で尊敬しております。

【高木】ありがとうございます。和太鼓を通じて人のために役立つ奉仕の心をもった「ひとづくり」尽力ください。ご活躍を心よりお祈りいたします。

【栗原さんのお話しが太鼓の響きのように心に伝わってきました。子供たちの瞳に夢を大きく重ねていく姿が印象的でした。】

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