2001年11月18日



 幸手市の駅前通の大きなクリスマスツリーに、昨日、五万七千個の電球が点灯されました。冬支度をはじめた街並みも華やかなクリスマスモードに一変しました。さて、本日の友達の輪には遠藤薬局代表取締役である遠藤裕久さんからご紹介いただきました鴨田廣さんにご登場いただきます。鴨田さんは趣味が豊富で仲間で俳誌「草」の会に属して、月に一度主宰に自宅に来ていただき、例会を開いて毎号、本が届くのが楽しみになって五年になるそうです。

鴨田広さん俳句会・俳誌「草」の会
鴨田 廣さん
本誌取材 高木 康夫

【高木】こんにちは。遠藤さんからご紹介いただきましたが、ずいぶんと古いお付き合いだそうですね。

【鴨田(敬称略)】先代からのお付き合いで、遠藤さんは私よりひとつ年下ですが、息子同士が同級生と言うこともあって、ゴルフにまた、酒の席を一緒にお付き合いさせていただいております。

【高木】日本出版で役員まで勤められたそうですね。

営業一筋44年間
  信頼関係は退職後も

【鴨田】日本出版には定年退職するまで四十年間勤めました。書籍や雑誌は一般的に出版会社から出されるわけですが、全国の書店の取り次ぐ業務が日本出版の主な仕事です。わかりやすく言えば出版物の問屋ですね。出版会社としては、全国の書店と直接販売が物理的に不可能なわけで、販売会社の流通システムを活かして、販売から代金の回収までを任せて、良書の刊行に専念できるということです。私は入社以来、営業の第一線で本社、支店に勤務して、全国の数多くの書店とお付き合いしてきました。おかげさまで信頼関係を戴き、名古屋支店には二度十一年余り勤務し、商売上貴重な体験をしました。中でも北海道大手有力書店の社長には「死ぬまで付き合う」と言われるほど可愛がられ感激しています。職を退いても、各地の多くの書店の方々とお付き合いが続いているのが現在です。

【高木】なにかエピソードはありましたか?

百科辞典や文学全集
   新築ブームで需要?

【鴨田】そうですね。昭和四十七、八年のちょうどバブルが始まった頃のことです。住宅の新築ブームが起こり、建売住宅などがどんどん建ちました。この時は書籍販売におもしろい現象が起きました。百科辞典や文学全集などセット物の高額商品が売れ始めたのです。新築の住宅に百科辞典や全集などを飾りとして購入されたのです。日本文学全集などは二十巻、三十巻セットというもので当時二十万円もしていました。上り調子の時でしたから日本経済に活気があったのでしょうね。品不足が起こることもあって百科辞典や全集などの出版関係は予想外の需要に喜んだものです。

【高木】そう言えば我が家にも百科辞典がありました(笑い)しかし、最近は本離れが目立ちますが?

鴨田広さん

本は知識の泉
 子どもの頃が大切

【鴨田】そうですね。心配なことです。本は知識の泉でたくさんの本を読んでいる人には知識で勝てません。また、本を読むことによって、文字を知りますし、雑学でも何でも読めば読むほど身に付いていきます。おもしろいデータがあります。本の売れる地域には特性があり、学力レベルも高いのです。ですから、子どもの頃から本に親しませる事が大切ですね。本屋さんに行っても子どもの自由に本を選ばせるのです。手に取らせて、本になじませます。おかげさまで、我が家の子供たちも本好きな人間に成長してくれました。

【高木】趣味も豊富なようですが?

趣味は極めず広く浅くがモットー
 夫婦で作った「草」の俳句会

【鴨田】そうですね。菊、カメラ、俳句、習字、ダンス、山歩き、カラオケ、旅行、野菜づくり、お酒(笑い)と極めることをせずに、広く浅く趣味を持っています。先月までは菊づくりに励みました。見よう見まねの独学で始めたものですが、五月の連休時のさし芽から始まります。毎年五十鉢位作るのですが、「育てる楽しみと成果を喜ぶ」人に根分けをして薦めています。菊は一年がかりの作品です。俳句の季語にも百語からあり、大変やりがいがあります。コンクールなどに出品するのではなく、自分のいきがいとして野菜づくりと併せて楽しんでいます。先月25日頃が見納めで、これから来春まで冬至芽の管理に入ります。ですから旅行はこのシーズンに行くことが多いですね。また、他に月に一回ですが、親しいご夫婦と「無理矢理句会」という俳句の会を作っており、山へ行ったり、お茶をやったり、菊を見たりと俳句を作って楽しんでおります。先月は渡良瀬渓谷にハイキングに行ってきました。必ず句を読みますので、季節や景色を感じ取りながら散策したりしております。もちろん、お酒も忘れません(笑い)

【高木】昨年思い出深い体験をされたそうですね。

首都圏外郭放水路で
  イベントの聖火入場

【鴨田】昨年七月のことですが、庄和町の首都圏外郭放水路建設工事として施工してきたトンネルの貫通を記念し、記念式典および市民アートイベント「トゥインクルリバー計画」が開催されました。この催しは、深さ60mに位置する直径約10mの地下トンネルに数千本のローソクを配し、地底に光の川(天の川)を作るイベントです。事前に新聞などで告知され、私の誕生日に開催されることを知り、昭和二十二年の水害を体験した思いもあり、手紙を書いたのです。その手紙がきっかけで事務局からぜひ参加してとの連絡があったのです。当日は、市民が地下トンネルに足を踏み入れ、「七夕の願い事」を添えたひとつひとつのローソクに光を灯し、地底60mから世界に向けてメッセージを発信しました。私は、そのローソクに点火する聖火を持って入場する大役を仰せつかったのです。聖火から多くの人々の手で地底に作り出される巨大な光のイリュージョンは、工事現場を忘れさせる荘厳で幻想的な風景で、私にとっても大変貴重な体験でした。

【高木】素敵な一日でしたね。それでは、お友達をご紹介下さい。

【鴨田】国民学校から五十年間もの間、ずっと仲良しで来ている宮田耕作さんをご紹介致します。宮田さんとは、現在、公民館で一緒に習字も習っています。

【高木】
ありがとうございました。広く浅くたくさんの趣味をこれからも多くの友人と楽しんで下さい。

(とても仲の良いご夫婦で、趣味も同じくして多くの友人に恵まれた素敵な毎日を送られているようです。奥様から「人を集めてしまう人」と称されるように人望も厚く人徳もあり、若いときからスポーツで鍛えた五体から病気したことがないという、健康優良な方でした。近い将来、施設をお借りして「趣味で楽しむ人」の仲間で作品を持ち寄り発表会でも開催できたら、と益々意欲的にお話下さいました。それが本来の「友達の輪」でも言えるのではないかとの思いをしました。

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