2002年1月20日



 早いもので年明けから三週間が経ちました。本年お二人目の登場は幸手市社会教育委員長の出井宏さんよりご紹介いただきました島田信浩さんです。島田さんは鍵の専門家として各方面で活躍中の方です。

島田信浩さん島田合鍵製作所
代表 島田 信浩さん
本誌取材 高木 康夫

【高木】こんにちは。出井さんから進学セミナーの教え子で印象深い人と伺ってまいりました。防犯の関係で時々お会いになるようですね。

【島田(敬称略)】出井先生から僕のような者を紹介していただき、本当に光栄に思っています。出井先生には大変お世話になりました。先生の指導のおかげで進路が決まったわけで、縁とは不思議なものですが、その先には、新たなる出会いがあったのです。

【高木】出会いといいますと?

あの糸川英雄博士の
  実弟教授と妙な出会い

【島田】進路として選択した足利工業大学に在学中、あの糸川英雄博士の実弟である糸川民生先生という方と出会ったのです。実は、就職活動の時期を迎えたとき学内の就職ボードに金のインゴットの製造などをやっているマツダ貴金属という会社が目に付いたのです。これは自分にピッタリな会社だと直感しなんとしても入社したいと考えました。ところが、必要な単位が取れておらず、就職活動に必要な卒業見込証明書が出ないのです。困っていたのですが、マツダ貴金属にパイプのある糸川民生先生の存在を知って「なんとかならないかだろうか」と就職相談のお願いをしたのです。糸川先生とはまったく面識がなかったのですが、担当の先生の配慮で会う事が出来ました。しかし、あまりにも唐突な話しに「何がおまえにピッタリなんだ」「卒業見込が出ていないのに無理な話」と切り出されましたが、「絶対に卒業しますからお願いします」などと話をしているうちにあまりの奔放さにあきれたのでしょうか、逆に気に入って頂き僕のような一学生に、新宿駅で待ち合わせ会社訪問まで一緒に行って下さいました。なんとか、一月の後半には卒業も決まり、無事希望の会社に入社する事が出来たのです。それ以来、結婚式にも来ていただいたり、今でも親戚のようなお付き合いをさせていただいています。

【高木】よっぽど島田さんの印象が強いのでしょうね。それから鍵屋さんに?

他人の釜の飯を
   食う大切さ

【島田】皆さんが持っている鍵の中に、必ずひとつはFUKIというロゴの入ったものがあると思うのですが、僕の父はFUKIの創業者である後藤社長らと共に技術者として働いていました。その後、父の友人と共に鍵の製造や合鍵の製作などのメーカーとして独立したのです。FUKIにて培った技術と人間関係を持って独立しましたので大きな信頼をいただきました。ですから父は僕の就職に対しても「どんな仕事でもいいから、最低三年間は他人様の釜の飯を食って来い」と教えられましたが、いつかは後を継ごうと考え三年経過したころ糸川さんにも相談し「おやじ、家へ入るぞ」と父の仕事に入ったのです。三年間の勉強は今の基礎を作ってくれた社会勉強でした。以来順調に進んできました。二十九才のときに春日部に営業所を出し、三年前三十九才のとき現在の緑台に本社を移しました。日曜祭日は休みですが、緊急性があればいつでも飛んでいきますよ。

【高木】金庫も開けるそうですが?

島田信浩さん

指と感と経験こそ
     プロの世界

【島田】骨董品感覚で昔の銀行が使っていた大きな金庫を購入された会社がありました。買う前に僕も一緒にその金庫を見に行き、ダイヤルが回るか、扉は開くのかとチェックをしたのです。金庫は開いており、ダイヤルも回るので十分実用品として価値が見出せたのです。会社社長は金庫を購入しましたが、運送中に、ダイヤルが回ってしまい、扉がロックされてしまったのです。父と二人の共同作業で丸二日間かけて開けた思い出があります。この金庫は現在も使われておりますよ。また、学校の金庫でしたが、翌日に控えた入学試験の受験票が金庫に入ったまま取り出せないと言うのです。観音開きの身長以上もある大きな物でダイヤルをガムテープで固定し鍵のみで開け閉めをしていたのです。ところが、ガムテープの粘着が緩み、何かの振動でダイヤルが動いてしまったのです。しかも、ダイヤルナンバーがその金庫の中で、担当の先生達も慌てたようです。あっちこっち手を打ったらしいのですが、結局、夜の七時頃僕のところに連絡が入って学校に行ったのです。金庫は指と感と経験のみで開けるのですが一人になって集中し、四時間で開ける事が出来ほっとしました。(テープでの固定はしない方が良いですね)プロである以上「開けてナンボ」という世界なのです。それと、鍵穴からいろいろな人間模様が見えますね。

【高木】すごいですね。骨董の趣味もお持ちとか?

アンティークな物への
       あこがれ

【島田】市民まつりなどでも出店しておりますが、骨董品やアンティークなものに凝っています。これも、父親譲りなんですが、特に根付(ねつけ)には深い関心がありコレクションしております。古い根付はほとんど象牙で作られておりますが、飴色に変色してなかなかいい雰囲気を醸し出しておりますよ。ブリキやセルロイドのおもちゃから昔の映画ポスター、器や壷などの焼物などと幅広く楽しんでおります。自分の目利きレベルを楽しんでいるのだと思いますが、骨董を通じて多くの友人も出来ました。

【高木】それでは、お友達をご紹介下さい。


【島田】実は高木さんの弟である宏昌君を紹介したいのですが。高木さんも知ってのとおり、宏昌君とは同級生でもあり、青春時代を謳歌した仲間で、今でも一番の親友なんです。無理でしょうか。

【高木】えっ!そう来ましたか。島田さんと弟の付き合いは中学生の頃から知っているだけに、友達の輪と言うつながりからすれば自然なことでしょう。ただ、……。島田さんの紹介ですから、本人が嫌と言わない限りそうしましょう。

【島田】嫌とは言わせませんのでお願いします。

【高木】
わかりました。口説いてみてください。本日はお忙しい中ありがとうございました。地域防犯の観点からもますますのご活躍をご期待致します。

(幸手地方防犯推進協議会委員なども務められており、ピッキングや空き巣などの犯罪を防犯する上でも活躍されております。知られざる一面では高校を卒業したらニューヨークに行って画家になろうと真剣に考えたこともあるそうで、自分の可能性にストレートに進んでいるたくましさを感じさせていただきました。文字通り地域のキィーマンとしてのご活躍を期待します。)

[Image :logo.jpg]