1996年8月4日



ひまわりが似合う季節となりましたが、過日、宮内由子さんからご紹介いただきました三浦栄子さんと対談して参りました。

おにぎりの店「九栄」
おかみさん・三浦 栄子さん
本紙取材・ 高木康夫

【高木】毎日、暑い日が続きますね。宮内さんとは高校時代の同級生で、今でも親しい友人と伺ってますが。

【三浦(敬称略)】宮内さんとは、お会いになっておわかりのとおり、積極的になんでもこなす人で、高校時代からの仲良しです。現在「おにぎりの店」を主人と経営してますが、私はどちらかというと人前に出ていくタイプではないのですが、宮内さんの積極性に影響されたのか、いろんな意味で引っ張られ、仕事にも役立ってますし、いいお付き合いをさせて頂いてます。

【高木】おにぎりのお店ということですが、このお店は長いのですか。

『新潟でご主人と
 スタート』

【三浦】会社勤めをしていた頃もありますしが、以前ジョイフルホンダの前に「越後屋」というおにぎり専門店があったのです。そこでしばらく働き、主人と共に新潟でスタートして、春日部に念願のお店を開店しました。八年近く営業してましたが、幸手に戻り6年目になります。ずっとおにぎり専門のお店をやってますが、現在はおにぎりのメニューだけでも36種類あります。何でも握ってしまうおにぎり専門店です。

【高木】そうでしたか。「越後屋」には私も随分、夜食を食べにいった記憶があります。カウンターに種が並びお寿司屋さんみたいな雰囲気で、当時は若い人達のたまり場だったような気がします。

【三浦】そうですね。おかげで商売好きでなかった私も、いろいろな方とお話しできるようになり、今では楽しく仕事をしています。お客さんの層も、若い人から、お年寄り、ご家族連れなど幅広いので、顔見知りが多くなり、お友達がたくさん出来ました。

『私たちが
 授かった子供たち』

【高木】ご家庭との掛け持ちですが、ご家族は?

【三浦】子供が2人とおばあちゃんが一緒に暮らしてます。長男は高校1年なのですがダウン病症候群という障害をもってまして、現在養護学校に通っており、宮内さんのようなボランティアの方々や先生にも、とてもお世話になっているのです。ですから、子育てとお店の両立は家族全員で行なっているような感じです。

【高木】そうでしたか。ご苦労も多いでしょうね。

【三浦】長男が誕生したときには喜びいっぱいだったのですが、障害をもっていると知った時にはショックが大きく、育てる自信がなくて辛い毎日でした。でも、兄弟や両親などから「この子を育てられるのは、おまえたちしかいない。神様が授けてくれたのだよ」と励まされ、子供と共に二人三脚で頑張ってこれたような気がします。ですから、2人目の子供は随分悩みまして、6年も離れてしまいました。次男は、長男にとても優しくて、何でも手伝ってくれるのです。私たちが仕事の時にも、長男に母親代わりのことまでしてくれるのです。長男が1人で外に出られませんので、次男が毎日遊んでくれてます。優しすぎてしまい、「いや」と言えないような子供なんです。長男も弟が大好きで、とてもいい関係が感じられます。ですから、今になって思えば、長男も次男も生んで良かったなと思っています。

『子供たちから
 教わった事』

【高木】仲の良いご家族ですね。

【三浦】我が家は長男中心に回っているのです。でも、長男から人間として学ぶことはたくさんあります。健常者だけでは感じられない多くの勉強をさせてもらっているのだ。と感じています。「健康が当たり前でないということ。生きていることが当たり前でなく素晴らしいことなんだということ」。自分で気が付かなかったことを、長男を通じて教わっているような気持ちです。社会問題となっている「いじめ」などは、もっと優しさを通じて教えてあげないといけないのかな。何でそうなんだろうという疑問しか感じられません。

『家族そろって
 仕事が出来たら』

【高木】お休みの日等は。

【三浦】主人の趣味がドライブということもあり、休みの日には家族そろって旅行にいったりしています。いつも家族一緒の生活です。ですから、将来は家族そろってペンションのような仕事をしたいなと思っています。新潟に友人が多いので「こっちにおいで」なんて声を掛けてくれるのです。とても嬉しくなります。人の優しさは言葉一つでも通じるような気がします。でも、今は一生懸命このお店と子育てに頑張っています。

【高木】お店の営業時間は?

【三浦】午後5時から12時までです。

【高木】お忙しいですね。

【三浦】以前は続けて3時間以上寝なかったことはなかったほどです。もともと体は丈夫な方ではないので、体力をつけるために、週に2回ですが「アスカル幸手」でストレッチ体操をしています。これも何か運動をしなくてはと思っていた時に宮内さんに声を掛けて頂いたのですよ。何でも彼女が面倒を見てくれるので、親子そろってお世話になりっぱなしですね。(笑)

【高木】宮内さんとは本当に仲良しなんですね。ところで、ご主人はどんな方なのですか。

『持ちつ持たれつ
 二人三脚』

【三浦】仕事の上では「へんくつ」な人です。お客さんの相手などはほとんどしません。主人が言うには「お客さんにうまいものを食べさせるのが自分の仕事」と考えているようです。ですから、カウンターの中で、料理を作ることに専念しています。でも、家族思いの優しい人です。持ちつ持たれつの関係ってところでしょうか。(笑)

【高木】なるほど。おにぎりですが、おすすめは?

【三浦】若い人に人気があるのが「チーズの入った焼きおにぎり」年配の方に人気の「葉とうがらし」又、生うにやしおからのおにぎりも人気がありますよ。おにぎりの種の条件は海苔とご飯にマッチすることなんです。ですから、条件を満たすものは何でも握ってしまいます。

【高木】生うにや、しおからはおにぎりの中に入っているのですか?

【三浦】そうです。よく出ますよ。

【高木】今度試してみたいと思います。では、お友達をご紹介ください。

【三浦】20年前にお勤めをしていた会社で一緒だったご夫婦ですが、現在、緑台で(株)幸手エビナ電気の社長をされている山崎文男さんを紹介します。

【高木】ありがとうございました。当社本店の隣ですね。これからも、ご家族そろって優しさいっぱいのお仕事とご家族をお築き下さい。

【三浦さんとお話しをしていましたら、ちょっと前に大ヒットした「陽にあたる教室」という映画を思い出しました。人としての幸せの価値観を改めて教えていただいたような素敵なご家族でした。】

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