海に山へと夏休みの行楽地は賑わっているようですね。さて、本日の友達の輪にご登場いただく方は鈴木青果の鈴木康之さんよりご紹介頂きました上高野にある野本こめ店の野本清一郎さんにご登場いただきます。
野本こめ店
社長 野本 清一郎さん
本誌取材 高木 康夫
【高木】こんにちは。毎日暑い日が続きますね。野本さんは代々お米屋さんなのですか?
【野本(敬称略)】代々農家でもありますが、元々は製麺業でした。メインは乾麺を作っていたようです。昔はこの地域でも小麦の生産があり、生産した小麦を農家が当店に持ちこんで、それを粉にして乾麺に加工していました。農家にとっては物々交換ではありませんが、小麦を持ちこみ乾麺を持ちかえるような形で取引していたようです。その後、お米の精米も行ないましたので地元では「精米所」と呼ばれていました。おじいちゃんの時代までは製麺業でしたが、父の代に製麺業を廃業して現在の米屋のスタイルになりました。現在も農業を営んでおりますのでお米の生産から販売まで一貫しておこなっていることになります。
【高木】お店にはたくさんの種類のお米が並んでいますね。
【野本】当店の特徴でもありますが、常時十二、三種類のお米を取り扱っております。なるべく、消費者のニーズに答えられるように、いろいろな種類のお米を、その場で精米し、つきたて販売をしております。ここ十年以上になりますがコシヒカリ神話が強くコシヒカリは消費者にも一番人気のあるお米です。それ以前はササニシキが人気商品でした。各生産地では打倒コシヒカリをもくろみ、なんとしてもヒット商品を開発し市場に出したいと新しい品種の開発に余念がありません。最近では秋田コマチやひとめぼれが大ヒットしましたが毎年たくさんの品種のお米が出ては消えヒット商品を作るのには大変な苦労のようです。なぜ、コシヒカリが人気かと言いますと、食味が良いということは当然ですが全国の広い範囲で生産できるということです。この地域でもおいしいコシヒカリが生産されております。北川辺のコシヒカリは特に有名ですね。
【高木】価格も人気のバロメーターですね。
【野本】お米の価格に付いては入札制度が導入されて、更に人気によって価格に差が表れるようになりました。二ヶ月に一度ですが東京と大阪で入札され全国の産地別品種別の価格が決定します。新潟産地のコシヒカリが一番評価の高いお米になっていますね。その中でも魚沼産のコシヒカリが特に高いのですが、関東で生産されたコシヒカリの倍の価格もざらです。しかし、魚沼産のコシヒカリといっても全国のお米から比べるとほんの一握りの量ですから、お米の流通の中で多くのニセモノが出回っているのも事実です。あまりにも安いものには、ご注意下さい。昨年BSE問題で牛肉が騒がれましたが、JASではお米の品種について判別できるDNA鑑定を導入しました。結果的には魚沼産のコシヒカリが更に高値になったようですが。また、違ったところでは古代米ブームもあります。百年以上前の黒米や赤米などですが、私どもの田にも黒米を栽培していますが、黒い皮の部分にポリフェノール等が多く含まれており、白米に5%くらい混ぜて炊くと薄いラベンダー色のご飯が炊きあがります。昨年の秋、みのもんたさんがTVで黒米特集をやってから大反響のお米です。
【高木】野本さんのお薦めするお米などありますか?
【野本】そうですね。最近は消費者のニーズも多様化していますが、その中でも得にミルキィークィーンがお薦めですね。一説によりますと、コシヒカリの突然変異の種子を増やして出来あがったものとも言われております。もち米とうるち米の中間の感触で冷めてもおいしいお米です。お弁当やおにぎりには抜群の食味で、味が濃いので好き嫌いがはっきり出るお米ですね。ですから、お薦めとしてはミルキィークィーンを20%〜30%ベースに秋田コマチやひとめぼれといったお米をブレンドして召し上がっていただくことをお薦めしております。お米も生鮮食品と同じですからつきたてが一番おいしいです。精米してから二、三日目から酸化が始まりますので常においしいお米を召し上がるのであれば精米したものはあまり多くストックしないでつきたてをこまめにお買い求めいただくことをお薦めしております。宣伝になってしまいますが、当店ではそれぞれのお客様のお買い上げのお米をコンピューター管理させていただいておりますので、いつでもお客様のオリジナルブレンド米をお届けすることが出来ます。遠方からわざわざお店を探して来ていただくお客様も多く、大変ありがたいことです。お店は正月三日とお盆の二、三日間以外年中無休で営業しておりますが、配達のみ日曜祭日はお休みさせていただいておりますので、どうぞ気軽にお越し下さい。
【高木】趣味とかする時間はあるのですか?
【野本】ヘラブナ釣りが趣味です。毎月一回は平日に仕事を休んで、仲間と二十人くらいで釣りに出かけています。ヘラブナは年間通じて楽しめる釣りです。夏ですと富士五湖や千葉や群馬のダム湖など夜中の一時ごろ集合して夜明けから一人一人バラバラに船を漕ぎそれぞれのポイントで釣りを楽しんでおります。ヘラブナ釣りは戦略があるのですが、練り餌だけでも百種類くらいありますので釣り人の丸秘特製ブレンドとしてこだわっています。場所や気候、魚とのかけひきなど奥が深く、はまってしまうと大変ですね。ですから仕事に影響しないように月一回と決めています。会社のみんなや家族も理解してくれていますね。(笑い)
【高木】なるほど、月一回のリフレッシュですね。それでは、お友達をご紹介下さい。
【野本】同級生で飲み仲間でもありとても親しい角田良禅君を紹介いたします。彼はお坊さんでですがユニークな人間ですよ。
【高木】ありがとうございました。これからも、おいしいお米を生産しながら消費者の嗜好にあったお米をご提供下さい。
(少年時代から田んぼでみみずを取って、近くの川で釣りをしていたと言うくらい、釣り好きな野本さんですが釣りの話をされているときと、お米の話を一生懸命されている姿は、共に純粋な少年の輝きを感じさせる方でした。)