2002年8月18日



 お盆休みも長い方では本日の日曜日まで九連休だそうですが、海外や故郷で迎えられた方も多かった事でしょう。毎年のことですが全国の交通網は大変混雑しているようです。さて、本日の友達の輪には野本こめ店の野本清一郎さんからご紹介頂きました常光寺副住職の角田良禅さんにご登場いただきます。

角田良禅さん常光寺
副住職 角田 良禅さん
本誌取材 高木 康夫

【高木】こんにちは。野本さんから飲み友達と紹介されました。お盆はお仕事柄、お忙しい毎日ではなかったのでしょうか。

【角田(敬称略)】野本君は同級生です。特に親しくなったのは二十年前の二十歳の頃で、私が上野の弁天堂に勤めていた頃、彼も大宮でお米の会社に勤めていて、上野から大宮経由で野本君といろいろな話をしながら飲んで帰った仲間です。彼とは家庭環境も似ていて、二人とも父母と妹、弟がいる長男同士、また、趣味も魚釣りですからとても馬が合う友人です。野本君のお話の中にヘラブナ釣りの話がありましたが、実は彼の釣りの師匠は私です。でも、熱心な野本君にあっさり抜かれてしまい、私は趣味を釣りからゴルフに変えました。なんとか、オフィシャルハンデを11まで伸ばしましたので、今は、野本君にゴルフを勧めていますよ。(笑い)

【高木】角田さんは何代目ですか?

江戸初期に建立
  私は二十四代目

【角田】常光寺は江戸時代の初期に建立されたもので、私で二十四代目になります。比叡山で修行後下山して上野の寛永寺内不忍池弁天堂に勤め、幸手には結婚を機に十一年前戻ってまいりました。常光寺副住職のかたわら、幸手市下吉羽隆光寺住職を拝命しています。お寺の仕事というのは「安心を与えること」です。仏教用語では「安心」と書いて「あんじん」と読みますが、安らぎを与える事です。お寺を守るという事は檀信徒のご先祖様からすべての人々を守って安心を提供していく事です。朝のお勤めからはじまり掃除、ご祈祷、ご供養、事務的な仕事、などいろいろな勤めがありますが、特に法話を大切にしております。法話は仏様の教えを伝える事です。宗派によって若干教えが違うところもありますが、天台宗は日本仏教根本の教えでありますので幅広く伝えることが出来るのです。

【高木】前は会社勤めもされていたとか?

社会勉強で
   一般企業にも就職

【角田】実は社会勉強のつもりもあり、約二年間ですが一般企業に就職しました。その会社で一番親しかった先輩が昼休みのキャッチボールの最中、突然倒れて他界してしまったのです。とても信頼していた先輩で、非常にショックでした。その頃から、自分の進む道に仏門が開けたと言いますか、父の後を継承しようという思いが強くなってきたのです。タイミングよく修行の道となる同じ天台宗で上野の不忍池弁天堂に欠員があったので職場を頂くことが出来ました。弁天堂は芸能の仏様が祭ってあるところで、事務長として十年間勤めました。「谷中七福神参り」が有名ですが、弁天堂はその出発点でもあります。現在、弟が私とバトンタッチをして弁天堂には兄弟で二十年間勤めていることになります。

【高木】お盆にはお迎え盆とお施餓鬼(せがき)というのがありましたが?

迷いの世界六道から
   安らぎの世界を目指そう

【角田】お盆の行事は、ご先祖様を敬い、自らの行いを見直すことだと思います。仏教は迷いの世界六道から安らぎの世界に解脱する教えです。六道は下から、すべて苦しみだけの地獄、すべて飢えだけの餓鬼、ただ自分さえ良ければと身勝手な畜生、いつでも血生臭い戦いをしている阿修羅、そして私たち人間、楽もあるがそれを失う時の苦しみは地獄以上という天界があります。お施餓鬼は餓鬼道に落ちた先祖を供養する行事です。この六道を解脱することにより、安らぎの浄土の世界に旅立ちます。ここで考えていただきたいことは、人間の心はいつも地獄から浄土まで輪廻しています。苦しみ、怒り、争い。同じ一日を穏やかに過ごすのには、物事に対して感謝の心を持つことが大切です。当たり前の事を当たり前と思わず、ご先祖様、ご家族、友人、知人、天地のご恩恵に常にありがとう、おかげさま、と日々実践していただきたいです。角田良禅さん

【高木】奥が深いのですね。地域とのパイプも深いようですが?

寺と
 地域コミュニティ

【角田】羅漢信仰というものがあります。これは、豊かな表情の羅漢様の中に、ご先祖の面影を偲ぶことができるというものです。四年前ですが、歴代住職墓地の修理の際に、十八体の羅漢像を身寄りの無い無縁仏を中心に建立しました。無縁様のお参りを絶やさぬためです。また、八人の羅漢様を仏画で写して木片に書き上げ「今週の羅漢節」と題して書と共に表の掲示板に掲げております。面白いことに小学生が通学の時に立ち止まって見入っておりました。また、感心深げに立ち止まって下さる方々もおり、掲示板のおかげで地域コミュニティの役に立てればと思っております。

【高木】仏画と「今週の羅漢節」は角田さんの手作りですね。達筆ですね。将来の夢などは?

【角田】小学生から始めた書道で、本格的には二十才の頃から筆を執りましたが、なかなか上手にはいきません。しかし、自分の感性でいろいろな教えを掲示する事によって地域とのパイプが豊かになっていけば嬉しいと思っております。それから、夢ですか?夢というか、役目というか、多くの人に「安心」を提供し、「感謝」の教えが伝承できれば良いなと思っています。それと、ゴルフでは技と心のシングルプレイヤーを目指したいですね。(笑い)

【高木】それでは、お友達をご紹介下さい。

【角田】仕事柄、年中無休状態ですから、自分の子ども達ともふれあう機会が少なくなっております。そこで、間接的にでも子ども達に関わろうと考え、PTAや地域の奉仕活動に参加しております。そこで、子供が同じクラスメートであり、とてもがんばっていらっしゃる岩崎万紀子さんをご紹介いたします。岩崎さんのご主人は今年岩崎ハートフルクリニックを開院され、地域医療にも貢献されております。

【高木】ありがとうございました。殺伐とした世の中になってしまったような気がいたしますが、ぜひ、手作りの羅漢様のような地域に安らぎを与えるような環境づくりを期待いたします。
(とても落ち着いた温かさを感じる方で、困った事があったらなんでも相談にのっていただけるような羅漢さまそのものといったご住職でした。)

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