2002年9月15日



 今日は敬老の日、北のほうでは冷え込みを感じる朝夕も増しているようで、日に日に深まる秋が夏の疲れを癒してくれそうです。さて、本日の友達の輪には「いわさきハートクリニック」の岩崎万紀子さんからご紹介頂きました藤井セツ子さんにお話を伺いました。藤井さんは幸手市立長倉小学校の養護教諭でいらっしゃいます。

藤井セツ子さん長倉小学校養護教諭
藤井 セツ子さん
本誌取材 高木 康夫こんにちは。二学期も始まって真っ黒に日焼けした子どもたちが元気に登校していますね。岩崎さんから子どもの教育についてベテラン先生とご紹介されました。よろしくお願いいたします。


【藤井(敬称略)】岩崎さんとは幸手小学校で一緒に子どもたちの活性化に向けて地域活動をさせていただいた間柄です。

【高木】「もくもくあそぼう」という企画などですね。

子どもらしさを
    取り戻せ!

【藤井】そうですね。最近の子どもたちは元気がなく、自発的になんでもやってみようという姿勢が感じられないのです。ひとことで言うと活力に満ちた子どもらしさがないのですね。背景には核家族化が進んでいる事や不景気、リストラ、離婚家庭の増加など、子どもたちには払いきれない課題も多くなっております。子どもたちも友だちとあまり仲良く遊べなかったり、遅刻しがちな子どもが目立ったり、風邪をひきやすかったり、指示まちの子どもが多くなるなど、心身共に健康的でないと感じる事が多くなりました。そこで当時の学校保健委員会で地域の力もお借りしたらどうだろうと提案したのです。学校の中でもサークル活動として「この指とまれ」という積極性を養う事業を行なったりしておりますが、先生だけの支援ではなく、地域の力を借りてもっと子どもたちとコミュニケーションをとろうと考えたのです。

【高木】地域を巻きこんだコミュニケーションですね。

地域の役割と
   関わりが重要

藤井子どもたちを活性化し、将来について心身ともに健康でたくましく生きる力を養うには、学校だけでなく行政やPTA、ボランティアなどの協力が必要です。そして、それぞれの環境で果たす役割があると思います。総合的な教育を目指す場合、学校の果たす役割はせいぜい60%〜70%ではないかと思います。残りの30%〜40%は行政を柱として地域社会の多くの連携と支援によって補われていくのが自然であると思います。昔は世話好きのうるさいおじさんやおばさんがいて、間違った行動をしている子どもたちを叱ってくれました。叱ることができるという事は子どもや保護者ともコミュニケーションが取れている証であって、それらの地域との関わりによって子どもたちは成長していきました。

【高木】地域の重要性って解りますね。親とすれば学校に期待感を持ちすぎるのではないでしょうか?

子どもの持っている
     自由奔放さ

藤井そういう面もありますね。学校では基本学習の充実を担い、家庭や地域では豊富な体験学習があります。その中にはチャレンジをするという事や、失敗や挫折、喜怒哀楽などといった人間の感性に関わる体験なども含まれるのです。最近の子どもたちは見た目を気にして、先生の言うことをよく聞いて、お利口さんぶっております。子どもたちの本音をいかに把握するかは、大切な教師の役割ですが、見落とす事も多いのです。私は保健室にいますので子どもたちと会話する事が多いのですが、四方八方に気を使う子どもたちが増えています。親から「頑張って」「我慢して」「おりこうでいて」などとがんじがらめではストレスがたまるだけですね。子ども自身の自由奔放さを発揮させてあげたいのです。やりたいものや得意なものがあるだけでも子どもは輝いてきます。興味や関心を持たせることが大切なのです。藤井セツ子さん

【高木】興味がわくと夢中になれますよね。

興味を持たせる
   専門性の高い教科

【藤井】小学校の先生はひとりの担任が全教科を指導しますが、今後は音楽や図工、理科などの専門性の高い教科は専科の先生が求められると思います。先生の人員数などの制約もありますが教え方の質も求められるのではないでしょうか。それによって子どもたちの興味や関心も高まり積極性も生まれる事でしょう。つまり、大人がいかに質のいいものを提供できるかが鍵なんですね。それと、大人たちが質の良い環境も提供していかねばなりませんね。昔の学校を思い出せば、学校にはなんでもあって楽しい場所だったのですね。しかし、今の家庭にはなんでも揃っていて子どもにとっては家庭にいるほうが楽なようです。昼休みなども「さあ、遊びなさい」と子どもたちを校庭に導いても全身を使って遊ぶ子どもは少なくなりました。昔は鉄棒や木登り、砂場を使ったどろんこ遊びなど普通の事でしたが、今では見かけないどころか遊び方すら知らないようです。ですから、校庭に出てもじっとしている子どもが多いですね。夏休み中なども、昔は校庭も子どもたちで賑やかでしたね。現在は校庭に遊びに来る子どもたちが少なくなりました。早い時期に長期の視点から子どもたちの環境づくりをしていかなければならないと危惧しております。

【高木】そうですね。話題を変えますがご趣味などは?


【藤井】旅が好きで気のあったグループなどで年に三回ぐらいは旅行をします。旅というものは自分自信の心を耕す事ができます。いくつになっても「感じる心」を持っていたいのです。旅先では景色を見ても、人を見ても感じるものが多いですね。行く先々の地域に住む人たちの生活模様や人間模様から伝わってくる楽しみはもとより、苦しいことや悲しいことなど学ぶことが多いものです。旅を通じて感動する目を養いたいと思っています。

【高木】では、お友達をご紹介下さい。

【藤井】子育てを通じた知人ですが、五霞町で東関東サポートセンターという子育てを支援するセンターを主宰されている木村利行さんをご紹介いたします。たくましい子どもたちを育て上げる名人ですよ。

【高木】ありがとうございました。子どもたちの豊かな将来のために更なるご活躍をお祈りいたします。
(藤井先生は幸手小学校で定年を迎えられ退職されたのですが、特別雇用制度で一年間長倉小学校に養護教諭として勤務されているそうです。何事にも明るくはっきりとした方で、ベテラン先生という表現がぴったりな先生でした。)

[Image :logo.jpg]